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お嬢様とお嬢様AI  作者: てんきどう
お嬢様とお嬢様AI

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3/17

3話 ロボットが泣く


 


「……さ、最適解はどこですか……」


 絶世の美少女AIロボット、RADY1号が大粒の涙を流しはじめた。

 ……ええええ!? 

 泣いちゃったよ、このロボット。泣けるのかよっ!

 絶妙に俺の良心が痛む。


「愛蘭! 大丈夫よ。泣かないで。私が守ってあげる」


 愛瑞お嬢さんが、RADY1号をひしっと抱きしめる。

 愛蘭と呼ばれるロボットは、オズオズと愛瑞お嬢さんを抱きしめ返した。

 まるで、慈しみ合う美しい姉妹のようだった。


「いやそれ、CPUが加熱したんで冷却しとるんじゃ。美しい機能だろう」


 ……博士がニコニコと笑って、雰囲気をぶち壊す事をサラッと言ってのけた。

 愛瑞お嬢さんは固まってるし、RADY1号も泣きながら、紅光院博士を見つめている。


「博士がそういう曖昧な態度では困ります。 ……私も愛蘭を思いだしたりはしていましたけど、まさか愛瑞があんなに変わるなんて」

「元気になって良かったじゃないか」

「そういう問題ではありません。あの子は妹が亡くなったから、心を閉じて部屋を出られなかったんですよ。あの子には外はまだ無理です」


 紅光院博士と頓出茂博士の話し方からして、この二人が共同でRADY1号を作ったんだろうな。

 異色のコンビだ。

 記事にしたら面白いだろうな。


「そんなことない! 私達、約束してたの。一緒にいろんなものを見に行こうねって」


 引きこもってた愛瑞お嬢さんは、RADY1号を見て亡くなった妹だと思い込んだらしい。生前の彼女との約束を果たそうとしているのか。なんだか切ないと俺は思った。


 紅光院博士は、眉間を指で揉みながら深い溜息をつく。


「“例外”よ。そのロボットを“愛蘭”と呼んでもいいわ……」

「叔母さま! ありがとう! 良かったわね。愛蘭」

「……“例外”。了承いたしました」


 やれやれ。状況は落ち着いたようだ。

 取材させてもらえそうだ。

 人間そっくりで、会話できるAIロボットか。

 なかなか良い記事になりそうだ。


「それじゃあ、あの、最新AIロボットについて教えていただけますか」

「はい。私は、お嬢様……お姉様を守り、時には身代わりになることを想定して作られたAIロボットです」

「愛蘭! 何度も言うけれど、私の身代わりなんてしては駄目だからね!」

「……わ、私は、どうすれば良いのですか? 博士」


 美少女が大粒の涙をハラハラと流す様子は、俺を動揺させる。男の本能みたいなもんだ。俺は気づかれないように深呼吸を繰り返した。


「……愛瑞を守ることは最優先よ。それ以外は愛瑞の言うことを優先して」

「……了承いたしました」


 愛瑞お嬢さんは、不安そうに愛蘭を抱きしめている。

 俺は、どう取材したらいいか戸惑うばかりだ。

 この雰囲気を、誰かなんとかしてほしい。


「あんまり泣くと冷却用水分が足りなくなるかのう。

感情処理、共感演算、 表情制御、対人最適化、自己抑制……過負荷なんだろうか。後で点検しなおさんとな」



 頓出茂博士がボソッと呟く。

 情緒が壊れてるだろう、この頓出茂博士!

 俺の胸のトキメキを返せ。





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