↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様とお嬢様AI  作者: てんきどう
お嬢様とお嬢様AI

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/17

2話 ファンシーな親子?


「困った子ね、愛瑞《あいず》。記者の方は、研究所の方へ案内するように伝えたでしょう。RADY1号まで、応接間に連れ込んで……」


 凄い美女が現れた。

 俺が入ってきた扉の方から、部屋に入ってきたのだ。

 目の前の美少女によく似ている。確か写真で見たことがある。


 紅光院愛織《べにこういん いおり》

 財閥当主の妹で、優秀なAIロボットの博士だ。

 写真で見るより華やかで上品な知的美人だ。赤いブラウスの上に白衣を着て、髪を緩やかに束ねている。もの静かで、どこか危うい雰囲気を感じた。



「叔母さま! この子は愛蘭《あいら》よ。そんな名前で呼ばないで。私には分かるの。この子の中には愛蘭がいるの」


 愛瑞お嬢さん達は、取材に来た俺を無視して話し始めた。

 俺は空気か……。


 「RADY1号は、愛瑞の為に作った護衛ロボットなの。このロボットはあなたの身代わりになって壊されても、修理すれば直るの。あなたの安全の為に作られたロボットなのよ。あなたに外は危険なの」

「私の為の身代わりなんて、絶対にしちゃ駄目だからね、愛蘭!」

「あなたは、深く考えなくていいのよ」

「そんなんじゃないわ。叔母さま、お願い。分かって……」


 愛瑞お嬢さんに抱きしめられたRADY1号は、フリーズして、どんどん顔が赤くなっている。

 なんとかしてやりたいが、どうしたらいいか分からない……。




「困ったのう。マシンガントークすぎて、話しかける隙が見つからんわい」

「あ、俺もそう思いました」


 考えていた言葉が聞こえて、俺は思わず同意してしまった。

 声の主は、いつの間にか俺の隣に立っていた。

 そこには、場違いな感じのファンシーな親子がいた。


 ……どう表現していいのか、一瞬迷う。

 白髪に白髭、頭部が眩しい白衣を着たチビの爺さんと、ニコニコした笑顔が可愛い緑の妖精みたいな格好の男の子だ。

 なんだろう、この人達は。


「博士!」

「頓出茂《とんでも》博士も言ってやってください! Rady1号は護衛兼身代わりに作ったAIロボットだって」


 愛瑞お嬢さんと紅光院博士が叫んだ。

 ……爺さんの名前に覚えがある。


 頓出茂那伊《とんでも ない》博士。

 確か異端のAIロボットの研究者だったはずだ。

 爺さんは、キラキラした目をしている。

 これは、好きな事をやってきた人間の特徴だ。

 博士は、こんな小さな爺さんだったのか。

 隣の子は、お子さんかな。


「博士! お願い! 証明してください……。この子の中には愛蘭の魂が入ってるの。私には分かるの」

「愛瑞ちゃん。残念ながら、魂の観測研究はまだ未熟なんじゃ。証明はできん」


 愛瑞お嬢さんは、その言葉を聞いて瞳に大粒の涙を浮かべた。

 ……おいおい、博士。もうちょっと言いようってもんがあるんじゃないか?


「まだ研究段階だからのう、確証めいたことは言えん」

「それじゃあ、愛蘭じゃないって事も断定できませんよね!」

「……博士も困った方ね」


 あ、駄目だ。この博士、ポンコツだ。

 場の雰囲気を全く読めていない。紅光院博士が溜息ついて困っている。

 愛瑞お嬢さんと紅光院博士の言い合いは、さらに激しくなりそうだった。

 RADY1号も、顔を赤くして震えていた。


「はわ……状況定義が不可能です……」

「あなたは妹の愛蘭。私は姉の愛瑞よ。大丈夫、そのうちにきっと分かるようになるわ」

「愛瑞、だからね……」

「魂とAIロボットのテーマか。新課題だのう」


 つまり、愛瑞お嬢さんを守る為に、彼女そっくりなAIロボットを造った。すると愛瑞お嬢さんがAIロボットを亡くなった妹だと思い込んだ。そして揉めてるってことだろうな。

 困ったな。取材どころじゃないぞ。


 ふと見ると、少年だけがニコニコと笑っていた。真剣に揉めてる中で、唯一まともに話が出来そうだった。

 俺は親しみをこめて、笑顔で頭を撫でようと手を近づける。


「君は博士のお子さんかな。少し話を聞いてもいいかな」


 少年は急にスッと真顔になった。

 あれ、嫌われたかな。なるべく優しく話しかけたんだけどなあ。警戒されると落ち込む……。


「過剰反応の必要性を貴方に感じません。通常反応に切り替えます」

「え? 過剰反応って何?」

「何の御用でしょうか、滋賀内様」

「その子もAIロボットよ、記者さん」

「……え!? この子がロボット!?」


 紅光院博士が説明してくれた。

 俺は顎が外れそうなほど、間抜けヅラを晒してしまった。

 今まで人間だと思って話してたのに!

 頓出茂博士が、得意そうに話し出す。


「名前は“SSS《スリーエス》じゃ。カッコいいだろう!!」

「SSSって……。そんなイタイ名前を付けたら可哀想じゃないですか? すぐに次のモデルが作られるのに」


 驚いたあまり、俺は本音が飛び出した。

 博士の顔がトマトみたいに赤くなった。

 白衣のポケットからスパナを取り出して握りしめ、俺に飛びかかってきた。


「SSSを馬鹿にするな! 何も分っとらんくせに!」

「博士。落ち着いてください」

「記者さん、博士の前でSSSを馬鹿にするなんて無謀ね。SSSは、博士にとって永遠の最高級品なのよ」


 SSSが博士を宥めてくれた。

 そして紅光院博士が説明してくれる。


 あれか。小さな子が宝物に凄い名前をつけたがるやつか。

 博士はすごい目つきで、俺を睨みつけている。

 俺は完全に、頓出茂博士に嫌われてしまったのだ。

 今回の取材は、大失敗だ……。

 



最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも何かを感じて頂けたら評価とブックマークで応援いただけると執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。