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お嬢様とお嬢様AI  作者: てんきどう
第二章 ちょっとだけ外に漏れた音

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14/17

14話 もっと聞かせてくれ


 会場の外にいたファンが、ふと足を止めた。

 微かに聞こえる音に耳を澄ませる。


「……今の音、何?」


 一人、また一人と、会場の近くに人が集まってきた。


「レオン?」

「いや、違う。新しい演奏じゃないか?」

「これは……レオンが99歳のバースデーライブで奏でたソロ演奏よ。あのライブ限定の曲だわ!」

「なんだって!?」

「あ、また変わった……これは?」

「これは…………、レオンがまだ売れない頃に演奏していた曲だ!」

「何が起こってるの?」

「静かに! 聞こえない!」


 演奏を聞いたファンたちは、次々とSNSに投稿した。

 そして、会社には問い合わせが殺到した。


「今の演奏をもっと聴きたい」

「今日のライブでもやってほしい」

「誰が演奏しているんですか?」


 その頃、ギターAIはまだ演奏を続けていた。


 会場の外の騒ぎを聞きつけたスタッフが、ブルーの部屋のドアを叩くいた。インターホンを鳴らしても応答がなかったからだ。


 しばらくして、不機嫌そうなブルーが出てきた。眉間には深い皺が刻まれている。


「何事だ? まだバンドメンバーが到着する時間じゃないだろう!」

「それがですね、レオンの演奏が聞こえると外で大騒ぎになっていまして……、問い合わせも殺到しているんです」

「なんだと!? どういうことだ!」


 ブルーは焦った。

 レオンの遺品であるギターAIに、何かあったのかもしれない。

 大金を払って、紅光院家お抱えのロボットAI博士に仕事を依頼したというのに。


 ブルーは慌ててスタッフと共に、ギターAIの部屋へ向かった。

 その途中、どこからかフェンダーの美しい音色が聞こえてきた。


「……これは…………」


 ブルーは唇を固く噛み締めた。

 何も言わず、音の聞こえる部屋へと走った。



 ギターAIは軽やかに演奏を続けていた。


 頓出茂博士も満足そうに指を振っている。

 岸矢や愛瑞は、楽しそうに踊り続けていた。

 突然 扉が大きく開かれた。


 ブルーが入ってきた。


 全員が固まった。

 ギターAIは演奏を止めた。


 ブルーは重々しい雰囲気をまとい、しばらく黙っていた。

 その体は小刻みに震えている。今にも火山が噴火しそうな雰囲気だった。

 ブルーとともに駆けつけたスタッフは、恐怖で青ざめ、ブルーを見つめている。

 やがて、ブルーは重々しい口を開いた。


「……もっと聞かせてくれ」


 ギターAIは、ゆっくりと弦を鳴らし始めた。



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