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Phase.604 『それなりに慣れて』



 ゴブリン共に襲撃をされた者達が、助けを求めて俺達の拠点に逃げ込んできた。そしてその中には、重軽症共に負っている人達がいて、予断を許さない状態にある。更に、ゴブリンがその襲った転移者達を追って、俺達の拠点近くまで来ている恐れもある為、警戒をしなくてはならいないとクラン全体に伝えた。


 成田さんと松倉君は、慌ててパブリックエリアと草原エリアの方からバリケードを見て回ると言って慌ただしく駆けて行った。


 既にゴブリンが何処かバリケードを突破して、何匹か内側に侵入してきているかもしれない。破壊されていれば、修復しないと二次災害というかそこからゴブリン以外の危険な魔物が侵入してくる事だって考えられるし、何かの形跡があったりするかもしれない。だから2人は、慌てて飛び出して行ったのだ。


 未玖やアイちゃんや児玉さん、そしてうららにもパブリックエリアやスタートエリアにある不死宮さんの所へ行って、負傷者の治療を手伝うように言った。


 パブリックエリアには、今一番人が集まっているし、未玖達をその辺りに居させた方が安全と思ったからだった。


 最上さんと団頃坂さんには、そのまま川エリアにいてもらい、拠点北側と西側を警戒してもらっている。何かあったら、直ぐにこっちに知らせるようにと伝えてあった。


「おい、椎名。準備ができたぞ」

「え? ああ」


 鈴森が、やる気満々で現れた。その後ろには、マッチョ軍団が続く。トモマサに、トモマサの弟分である我星君と狗柴君。更に佐竹兄と岩城さん。岩城さんは、俺や鈴森と同じような体型なので、ホッとした。


 いや、しかしでもプロレスラー3人に佐竹兄がいると、もう何が相手でも負ける気がしないな。迫力がある。


「待ってくれ。俺も行く」

「小貫さん」


 小貫さんが加わった。


 狙ってそうした訳じゃないけど、俺と鈴森意外を見るとトモマサ率いるプロレス軍団に、佐竹さんファミリーになっていた。どちらにしても、これ以上ない位に心強い。戦闘力も申し分ないメンツだろう。


「それじゃ、これから拠点の外に出る。皆、持っていく武器をもう一度、確認してくれ。問題がないなら、ついてきてくれ」

『おお!!』


 俺はもともと臆病な人間だ。異世界に憧れ

ていたから、異世界を冒険してみたいと思った。その気持ちが僅かに勝っていたからこそ、今があるといってもいいだろう。その証拠に何度も、恐怖に押し潰されそうになった。でも今回に置いては、緊張はしているものの、恐怖に押し潰されるというような感覚はない。これもデカい筋肉の集団に囲まれているからだろうと思った。圧倒的な頼もしさを感じる。


「よし、それじゃ皆、くれぐれも気をつけてついてきてくれ。ここのバリケードから外にでるぞ」


 パブリックエリアの東側。バリケードを潜って、拠点の外に出る。ゴブリンに襲撃されたという人達が、逃げてきた方向だった。


 俺と鈴森で先頭に立とうとしたら、何も言わずズカズカとトモマサ達プロレス軍団が前に出た。


「おい、気をつけろよ、トモマサ」

「ああ? 誰に言ってやがる。俺に任せとけって! でもお前らは、気をつけろよ。いくら根性があるって言っても、頭に矢が命中したら一撃で天国だからな」

「お、おっす!!」

「大丈夫ッス!! 警戒しますんで!!」


 トモマサを挟んで、狗柴君と我星君が前を歩いた。鈴森が近づいてきて言った。


「敵はゴブリンなんだろ?」

「ああ、そうらしい」

「数は?」

「沢山だそうだ」

「訳わかんねー」

「森の中で、いきなり襲撃を受けたそうだからな。先制で矢を射られて、その後に剣や槍で突っ込まれたんだろう。何人か殺された者もいるらしいし、それが決定的な打撃になって命からがら死に物狂いで逃げてきたんだろうな」

「殺された奴がいるのか」

「そう聞いたけど」

「なら、ゴブリンだけじゃなくて、ゾンビにも警戒をした方がいいな」

「……」


 どうしてそうなるのかは、解らない。だけどこの世界で命を失えば、ゾンビとして復活する。陣内に成子……佐竹さんの仲間の戸村さん……既に仲間がそうなるのを何度か見て来たのだ。


 拠点の外へ出て、50メートルは離れた。草木の多い場所に入ると、俺は仲間に合図を送った。


「トモマサは、2人と一緒にそっちへ行ってくれ。佐竹さん達は、向こう」

「俺はどっちについていけばいい?」

「小貫さんは、佐竹さんと岩城さんと一緒に頼む。鈴森は、俺と一緒な」

「ああ、了解」

「ここからは、逃げ込んで来た者達がゴブリンに襲われて駆けてきた場所だ。奴らが潜んでいる可能性が高い。焦らずにゆっくりと先へ進んで、ゴブリンを見つけたら速やかに討伐する」

「距離は?」

「とりあえずこのまま3組で少し広がって、500メートル程進んでみよう。それでゴブリンの気配が無ければ、拠点に戻る。いいな」

『おう!』


 同じクランメンバーになって、一緒に笑って泣いて怒って楽しんで。互いに信頼できる仲間になった。皆、それなりに統率もとれて、連携もできるようになってきた。


 だけどまだそうなっていない狗柴君と我星君は、トモマサがちゃんと率いてくれる。そして佐竹兄と岩城さんは、小貫さんが……まあ、そっちは小貫さん以外に岩城さんがしっかりしている感じだし、別段気にする必要もなさそうだな。


「よし、それじゃ行くぞ。気をつけろよ、鈴森」

「ああ、任せとけって」


 俺達は3組に分かれて、拠点から更に東へと向かう。そこは、緑の多いエリア。できれば人を襲ったゴブリンを早々に見つけ出して、ここで全て討伐をしてしまいたかった。


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