お嬢様、旅立つ(1)
私と流星がフランスへと旅立つ日が訪れました。
両親はやっと言うことを聞いてくれた!と狂喜乱舞し、全く反対もせずに送り出してくれました。
ってヲイ。
齢十五の愛おしい娘が、キングオブ女たらしと遠い地へと旅立つんだぞ。
少しは心配せんかーーーい!!!
と思わなくもありませんでしたが、顔には出さずあくまで慎ましい可愛い娘♡を貫きました。
この演技力、是非とも文化祭で披露したかったですわ……。
宝の持ち腐れ過ぎて泣けてきます。
「じゃあ行こうか、美麗」
「ええ」
流星に促され、お馴染みのロールスロイスへと乗り込む私。
迷いが全くない、と言えば嘘になります。
心の何処かで、未だ山田への想いはくすぶっていて。
けれどいずれきっと、徐々に薄れていくでしょう。
走馬灯の如く駆けていく景色を眺めながら、ぼんやりと考えを巡らしていたら、
「やっぱり、今の君には超能力がないんだね」
唐突に流星が声を掛けてきて、私はハッとして向き直りました。
彼は相変わらず飄々(ひょうひょう)としていて、心情が汲み取れません。
……ってハァァァ!!??
ど、どれだけ察しが良いんですの、この男は……!
マジで次回作は『人の心が読めるキングオブ女たらしが目をつけたのは、宇宙一の美貌を誇る超絶美少女でした』になるんじゃなくて!?
し、主役の座が危うい上に、R-18の匂いがプンプン致しますわ……本作よりも人気が出たら悔しすぎます……。
それはさておき。
否定も肯定も出来ず、海辺に打ち上げられた魚のように、口を開閉させていると、
「僕の思惑に全く気付かないんだから。心が読めてたら、騙されないよねぇ」
流星はクツクツと肩を揺らしーフッと。
目を細めて、こちらを見据えました。
「僕は、君を心から愛してる。今付き合っている女の子の中では、断トツでナンバーワンだ」
うん、後半はいらねぇな。
何正々堂々浮気宣言してんだよ。
数秒間の感動を返せ!!!
……けれど、もしかしたら何か意図があるのかもしれません。
訝しげに首を傾げる私に、
「でもね、僕はやっぱり、自分を愛してくれる子がいい。きっと君は、フランスに行っても山田を忘れられないよ」
「……」
図星をつかれ、思わず目を見開きました。
今更ながら流星に対して、いえ自身に対しても、無礼な行動をしていたと気付きます。
いくら失恋で弱っていたとは言え、他人の好意を利用するなど卑怯千万、誉められたものではありません。
彼はいつしか私が後悔するであろうことを、見抜いていたのです。
……狡い男です。
彼を好きになれたら、幸せになれるかもしれないのに……(女性関係は除く)。
人間の感情というものは、何と愚かで、扱いが難しいのでしょう。
呆然としていると、
「ああ、ちょうどいいタイミングだね」
流星はそう言い、おもむろに車の窓を開けました。
そして目線で外を見るよう誘導します。
私は恐る恐る、彼の瞳の先を追いました。
そこにはー。
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いよいよ佳境に入って参りました~。




