1-16 鉱石を採掘するだけの簡単なクエストだと思っていました。(1/2)
あらすじ:
シアンが寝ぼけてシルバーの上に乗って寝ていた。
現在地:
シルバーの家2階・寝室
補足し忘れ:暴走ダメージ
魔法を放った際、魔力が暴走すると通常より大きいダメージを与えることができるが、この時ダメージ上限が上がっている。
ダメージ上限が250の魔法なら999、999の魔法なら4999、2500の魔法なら9999といったようにある程度の決まりはある。
16時、シルバーが起きるとシアンの姿はなかったが、その代わり1階からいい匂いがしてきた。
「多分、料理してるな⋯」
シアンの料理の腕を知らないので不安が混ざるが、ベッドから起き上がって寝室の扉を開ける。
シルバーは階段を降りてキッチンに向かった。
「シルバーくん、おはようございます。
時間的にはこんにちは、ですけどね」
シアンはエプロンを着けて料理をしていたが、シルバーの声に反応して振り返り、赤い瞳でこちらを見る。しかも微笑み付き。
………可愛すぎるでしょ!? 何なんだこの生物は!?
「…えっと、シルバーくん。どうしましたか?」
「いや、なんでもない」
まさかの自覚なし。心の中で最早呆れるシルバーだが顔には出さず、シアンを見守る。
「本当に、なんでもないのならいいのですけど」
声色が若干拗ねている気がするが気にしたら負けだろう。
シルバーはそう思いリビングのテーブルで待つことにした。
それから10分ぐらい経った。料理は完成してテーブルに置かれ、向かい合って手を合わせる。
「「いただきます」」
太陽は沈みかけ、空の青が消えていく。
しかし、そんな様子を見て素敵な言葉が思い浮かぶことはないので飯を食う。
「ん、美味しい。シアンって結構料理するの?」
「鮭を焼いただけなのに、料理するのと言われましても………」
シアンが作った焼き鮭は別に普通だが、何故か自分で作るより美味しく感じる。
正面を見るとシアンが若干照れているような表情をしているのだが、これがまた可愛い。
「そうだ、言い忘れてたけど、今日受けようと思ってる依頼でツルハシを使うんだけど、地下研究室にいっぱい置いてあるから好きなやつ持っていって」
今日2人で受けようと思っている依頼は鉱石の採掘である。
本来、冒険者登録をしてすぐの冒険者はこういったモンスターとあまり戦わない依頼をこなすのが良いためそれにしようと思ったのだが、シアンの実力を考えると巨大モンスター討伐の依頼でも良かった気がする。
だってさ、おかしくない!?まだレベル10なのに魔法攻撃力が300もあるんだよ?普通60超えたら良い方なんだよ!?
シルバーの脳内の勢いがどんどん強くなっていく一方でシアンは何の事なのかわからずに焼き鮭を食べる。
というか、シアンが焼き鮭を頬張っている様子がマジでハムスターすぎる。可愛すぎる。挿絵がないのが悔しい。
そもそもの話、ハイクオリティな絵を描けないんだけどさ⋯⋯⋯
太陽はほぼ沈み、夜の帳が下りてきた頃2人は家を出てギルドに向かう。
ホワイトアストラル領西の雪原は歩いているとモンスターが結構やってくるのだが、今日は運が良いのか全くモンスターが来ない。
「今日はモンスターが少ないですね」
「たしかに、いつもならもう8匹ぐらい倒してる頃なんだけど⋯ん?」
霧で見えにくいが、かなり遠くのほうでモンスターの亡骸が大量に落ちていた。そして、その近くにはまだモンスターを狩り続けているアイスドラゴンがいた。
「⋯⋯⋯なにあれ、怖ぁ」
「ほんと、野生って恐ろしいですよね」
見つかったら致命傷で済まないところだが、幸い自分たちとは反対方向に向かっていったので気にせず城下町に向かう。
ホワイトアストラル城下町の西門に着いた。相変わらず見張りの兵士は寝ている。
特になんとも思わず素通りし、そのままギルドまで歩く。
「なんか、人の視線を感じませんか?」
シアンはシルバーの腕に抱きつきながらそう話す。
「人の視線を感じるって⋯そりゃあそうでしょ
周りから見てどうなってるのか考えてみたら?」
通路で男の腕に抱きついて歩いている少女がいたら視線が集まるのは冷静に考えなくてもわかる話である。
「まわりからみてどうなって⋯?
⋯⋯⋯⋯⋯あっ」
気づいたのだろうが、シアンの顔が少し赤くなった。
シアンは即座にシルバーの腕から離れた。
「えっと、ですね、その、いまのは、なかったことに、してください、ね?」
「今さらでしょ、だってあそこにいる人も''良いもの見たなぁ''って目をしてるし」
「………さっさとギルドに行きましょう」
シアンはこれ以上恥ずかしい思いをしたくないのかギルドに走って向かった。
しかし………
「言うの遅いかもしれないけど、そっちにギルドは無いよ?」
シルバーはシアンにこの城下町の地図を渡したはずだ。
「え?でも、地図にはこっちにギルドがあるって………あれ?こっちが北?」
どうやら、シアンは地図が読めないらしい。
シルバーはシアンを引っ張ってギルド方向に歩く。
「私、これでも頭はかなり良いのですよ?」
「じゃあ、今いるのはどこ?」
「えっと⋯⋯⋯」
シアンは地図を見て名前を確認した。そして自信満々に⋯
「ホワイトアスパラガス城下町ですね!」
「⋯⋯⋯駄目だわこいつ」
地図を見た上で間違えた。本当に頭が良いのか疑うとかのレベルじゃない。
ギルドに入ると、相変わらず甘いお菓子の匂いが漂う。甘党がいつもどこかで食べているからだろう。
「ここって、甘党が多いのですか?なんか、角砂糖の気配がそこら中からします。それに、シルバーくんから美味しそうな血の匂いが………♡」
「角砂糖の気配…?」
シアンは超甘党であり、甘いものがあると脳が溶けやすい。そのため、シアンは現在酒で酔っているような感覚に陥っている。
そんなシアンのことはどうともせず、シルバーは依頼書を取って受付に持っていく。
__________________________________________________
突然だけど、ミスリル鉱石が結構必要になったから依頼を出すね!
大体1kgくらいあれば十分かな?
大分無理難題を言ってると思うけどお願い!
そういえば最近、大魔王様が行方不明になったんだけど、何かあったのかな?
記憶を失っていてこの世界の何処かで彷徨っているって噂があるみたいだけど⋯
推奨ランク:E-↑
推奨レベル:20↑
危険度:D+
__________________________________________________
「い、いちきろぐらむ………ふぇっ」
「でも1kgだから、割とすぐだと思うよ」
2人はこの依頼を受注し、ホワイトアストラル城下町を出てドレイク鉱山に向かった。
=====================================
【Quest No.009 ミスリル鉱石の採掘】
ミスリル鉱石を1kg採掘しよう!
=====================================
「そうだシアン、危険度D+だからって油断はしないほうがいいよ。後ろからモンスターが襲ってくる可能性があるからね」
流石にそんなことないとは思うがシアンなので一応言っておく。
ドレイク鉱山の地図をシアンに渡し、ミスリル鉱石があるところまで進む。以前、ドラゴンの討伐で来たときは地上部分しか探索していないが、今回はここから地下に向かっていく。
シアンが地図を持っている時点で若干危ういが、そんなことは気にしない。
「えっと、ここの分岐で左に進むと下の階層に⋯⋯⋯
ところで、北ってどっちですか?」
「北?書いてあるじゃんここに」
「でも、現在地がわからないから、北が分かったところで⋯」
「現在地はこの赤い印だよ?ほら、動いてるじゃん」
シルバーが持っている地図はかなり高性能で、某国民的RPGの最近の作品のような機能が備わっている。それはさておき、北がちゃんと地図記号で書いてあるのにどの向きが北なのか分からないのはかなり致命的だと思う。
「シルバーくん、何か言いたげな顔をしてますよ?」
本人は自身のポンコツ具合をあまり自覚していないらしい。
「ここらへんに分岐があるから、ここを左に曲がると下り道があって⋯⋯⋯」
「無視しないで!」
「この少し先のほうに鉱脈があるから、ここらへんなら沢山採れそうだな」
「無視しないでください!!!」
「1kgって言ってたけど、自分でも使うかもしれないしもっと取っておこうかな」
「だから!無視しないでください!!!!!」
シアンが不服そうな顔をしてシルバーの腕を叩くが、当然痛くない。
シアンが方向音痴気味なせいで時間が掛かったが、無事にミスリル鉱脈のエリアに辿り着いた。
シルバーはツルハシを取り出して早速ミスリルを採掘する。
その様子をシアンが見ている。というか、見とれている。
「シアン、君も一緒に掘るんだよ?」
「えっ⋯あ、はい!」
シアンもツルハシを取り出してミスリルを採掘するが、遠くに宝箱があるのを発見する。
宝箱の周りにミスリルが沢山転がっている。なんか怪しくない?
シルバーは心配になってシアンについていく。
「これだけでも十分かもしれないですね」
シアンは鼻歌交じりで宝箱の近くのミスリルを拾う。すると⋯⋯⋯
「シアン?なんかさ、その宝箱怪しく⋯⋯⋯あっ」
宝箱が勝手に開き、シアンに噛みついた。
「ひゃぁっ!!!」
﴾ シアンに73のダメージ! ﴿
シルバーは急いでシアンを引っ張って杖を構える。
「ほら、やっぱりミミックじゃん⋯」
﴾ シルバーはヒールを唱えた! ﴿
﴾ シアンのHPが68回復した! ﴿
シルバーは咄嗟にシアンを回復し、ミミックから少し離れたところで魔法の準備をする。
「あれ、若干血濡れてるでしょ?」
「た、確かに⋯」
「宝箱が不自然に汚れていたりしたらミミックの可能性が高いから、気をつけてね」
そう言いながらシルバーはアイスランスでサーモバーストで攻撃する。
﴾ シルバーはサーモバーストを唱えた! ﴿
﴾ ミミックに74+69のダメージ! ﴿
﴾ ミミックはフレイムショットを唱えた! ﴿
﴾ シアンに58のダメージ! ﴿
﴾ シアンはアイスランスを唱えた! ﴿
﴾ ミミックに98のダメージ! ﴿
﴾ シアンはフレイムショットを唱えた! ﴿
﴾ ミミックに92のダメージ! ﴿
﴾ ミミックはシアンに噛みついた! ﴿
﴾ シアンに70のダメージ! ﴿
﴾ シルバーはヒールを唱えた! ﴿
﴾ シアンのHPが72回復した! ﴿
「うーん⋯私達が使える属性では弱点を突けなさそうですね⋯」
「それに、ミミックは多分シアンを集中攻撃してるっぽい」
ミミックは1人を集中して攻撃する習性があるため、最初に攻撃を受けたシアンが攻撃され続けている。
とはいえ、この状況を逆手に取るとシアンしか攻撃されないということなので、ひたすらシアンを回復し続けるだけで良いということである。
「じゃあさ、僕がシアンを回復し続けるから、シアンは攻撃してくれる?」
シルバーが言い切る前にシアンは魔法の準備をした。
「えっと、これ初めて使うんですけど⋯⋯⋯サーモバースト!」
シアンはミミックが口を開けるタイミングを見計らい、サーモバーストを唱える。
﴾ シアンはサーモバーストを唱えた! ﴿
﴾ シアンの魔力が暴走する!!! ﴿
﴾ ミミックの弱点を突いた! ミミックに999+999のダメージ!!! ﴿
シアンは的確にミミックの弱点を突き、自分でも驚いているのか手先が若干震えていた。
「シアンさ、ミミックの倒し方知ってたの?」
「知らないんですよ?でも、なんとなく感覚でこれだなって
⋯⋯⋯嘘ついてるって思ってますよね」
シアンは勝手にシルバーを疑い、シルバーに目を向ける。
「まだミミックいるんだけど?」
「あ⋯⋯⋯え、えっと、決して、忘れてるわけ
﴾ シルバーはサーモバーストを唱えた! ﴿
﴾ ミミックの弱点を突いた! ミミックに250+250のダメージ!!! ﴿
﴾ ミミックをやっつけた! ﴿
ではないんですよ?⋯⋯⋯あれっ?」
シルバーはその隙にミミックを倒した。その勢いで地面に落ちているミスリルを拾い、ついでにミミックが落とした橙色の宝石のようなものを獲得する。
「それじゃあ、ミスリルを採って帰ろう?」
「 」
シアンは話せなくなっていた。折角活躍したのにシルバーのことに集中していた挙げ句気がついたら出番がなくなっていたからそりゃそうではある。
シルバーはツルハシを取り出してミスリル鉱石の採掘を再開する。
さっきまで戦いがあったとは思えないほど輝いており、さすがミスリルといったところ。
一つのことに集中すると、あっという間に時間が過ぎるのはシルバーもシアンも同じで、気がつくとミスリル鉱石が3kgぐらい集まっていた。
「だいぶ集まったね」
「そうですね。これだけあれば、一旦は不足しないでしょう」
2人は納品用の1kgと自分たちで使う用の2kgに分けて鞄に入れ、ホワイトアスパラガス城下町に帰ろうとする。
しかし⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯あ〜これだいぶ面倒くさいことになったね」
「ですねぇ⋯⋯⋯」
後ろを見るとドラゴンが近づいてきていた。
更新遅れてごめん
補足:ミミック
HP:2500 MP:999 EXP:750 GOLD:2000
AWM:null SWM:7.5x
宝箱に擬態したモンスターで、危険種の一種。
攻撃力が高く、一撃を食らうだけでもかなりHPが削られるため、できる限り攻撃は避けたい。
属性弱点がないため、どの魔法を使ってもダメージはあまり変わらない。
特殊弱点は口の中。




