進軍⑦
俺たちは街に帰ってきていた。
やっとだ。やっと街に帰ってこれた。なぜだかここが故郷のように感じるな。
さて、現状を確認しよう。
俺が遠征している間に、このまえ偵察で怪我をした殆どのひとが回復したらしい。もう動けると言ってくれている。
そして、これから俺がやらないと行けないことは3つだ。
魔獣を倒す、なつかせる、それと死の森を発生させる。
魔獣関係はあと3日、死の森に関してはあと10日ほどある。
それはそうと、死の森がなんなのかはわからない。それも含めて情報収集していかないといけないな。
そして今回の遠征や偵察でわかったことがある。それは、俺たちというか俺には軍事的な知識があまりにも足りていないということだ。
たしかに俺が成長することもできるだろう。だが、それよりもそういうのに得意な人を仲間に入れるほうが楽に解決しそうだ。
今のところそんな人材はいないが。
それと解決しないと行けない問題がもう一つある。
それは、ガイムについてだ。
正確にはガイムの主についてだな。
ガイム曰く、相当強いらしいから、注意しないといけない。もしかしたら敵になるかもしれないのだから。
まあ、ガイムは重宝されていたらしいし、彼を交渉に使うことでなんとかなればいいのだが・・・。
その話はまた時間があるときにしよう。ひとまずはガイムの役職を決定しないとな。
俺の目には、彼は非常に信用に足るひと(虫)に写った。
この街に変える途中、幾度となく魔物と出会ったが、その殆どを彼が倒してくれたのだ。
俺と戦っていたときはわからなかったが、相当強いらしい。ここらへんの魔物だと話にもならない。
そうだ、魔物といえばもう一つ問題があった。
スケルトンだ。
あれは元この国の住人である可能性がある。どう処分すればいいのやら。
それに、他の魔物と比べて攻撃性が低いようにも見えた。放置しといてもそんなに問題がないのではないか。
でもそれで人的被害があったら怖いし・・・。
うーん、とりあえず保留だな。
さて、他にも問題はたくさんある。
食料問題、崩壊問題、あとは戦闘力に関する問題だ。
まずは食料問題から。
これに関してだが、ひとまずは問題ないようだ。この街にあった食料、そのすべてをフル活用すれば、あと一ヶ月は持つらしい。
逆に言えば、それだけしか持たないということを意味する。
体感的にはかなり短いが、それよりも崩壊問題が優先だな。
あと思ったのは、他の地域からもらえないかということだ。
今回の遠征で俺は確信した。この世界に、少なくとも群馬県にはこの街以外の街が存在しない。
もともと、今回遠征で行った場所にはいくつか街があってもおかしくないのだ。むしろないとこまる。
だが一つもなかった。つまり、この群馬県にはもう街は残されていない可能性を示唆する。
その街にいたひとは一体どうなってしまったのか。建物はどこへ行ったのか。
そういった疑問は尽きない。だが、今のところ判断するのは困難だ。だから保留させてもらう。
もし方法がわかれば積極的に救っていかなくてはならない。
それで、さっきの考えにもどるが、この街の他に街がないのであれば、自給自足を余儀なくされる。
つまり、農業を始めないと行けないのだ。
幸い土地はたくさんある。
あと気になるのはスキルツリーの農業についてだが、これはこの国の崩壊の危険がなくなったら調べるようにしよう。
さてと、次に考えるべきなのは、この国の崩壊についてだ。
群馬県を統一する。
実感はないが、それは達成できたらしい。
だが、次の魔獣系は今やったのより遥かに難しいだろうし、死の森を展開するに関しては、何をどうすればいいのかすらわからない。
ひとまずは情報を集めよう。
おっと、その前にやらないといけないことがあったのだ。
それは軍事演習。
俺の予想だと、スキルポイントが発生するとおもうんだけどなあ。
どうなるかは神のみぞ知るってやつだな。
俺は軍事演習をおした。
すると、まず
人数を指名してください
とでてきた。
これは、最初だし100人ほどでいいだろう。
すると、
何を訓練しますか?
とでてきた。
その右にはいくつもの項目がある。
筋トレ、走り込み、サバイバル、戦闘技術・・・。
相当本格的だな。
だが、剣術や弓術などもあることにはあったが、道具や指導者がいないのでできないようだ。
となると・・・。
俺は100人規模のグループをいくつもつくって、それぞれ違う訓練を行わせることにした。
これで我が国の軍事力も相当強化されたはずだろう。
すると、注意書きがでてきた。
『指導者がいません。指導者がいないと、訓練の効率が大きく低下します』
それは大変だ。
だが、誰か指導できそうな人はいたかな?
そうだ、適任がいるじゃないか。
早速指導者の欄に
ガイム
と入力する。
完了を押すと、選ばれた人たちの行動はすぐに変化した。
それぞれどこかへ向かっていくようだった。
試しに筋トレの人たちについていってみる。
彼らは前まで街一番の大きなビルがあった場所、その跡地にいくと、なんと集団で筋トレを始めたのだ。
こいつら、すげえな。
俺は率直にそう思った。
俺が近くまでよると、何人かが俺に気づいたようだ。
「王様、おはようございます」
「一緒に筋トレしますか?」
「しないよ」
誰がこんなむさ苦しいところなんか。
俺は笑いながらそうこたえる。
俺が次の場所に向かおうとすると、こちらに走ってくる人がみえた。
「龍之介様、どういうことですかっ」
それはガイムだった。
「どうしたんだ?」
「どうしたんだ、じゃないんですよ。訓練の監督を見たら俺の名前があったんですけど、どういうことですか?」
やば。こいつに許可取ってなかったんだ。
「あれ、言ってなかったっけ? ちょうどいいからお前が訓練の監督ね」
「知りませんよ。だって保留にするって言ってたじゃないですか」
そう言いながらもどこか嬉しそうなガイム。
やっぱりこいつはおにいちゃん的ポジが似合っているな。
「じゃあ、任せたから。よろしく。何か要望があればきくからな。言ってくれ」
「わかりました。まあ、できるだけやってみます」
そういってガイムは俺が来た方へ進んでいった。
後ろから筋トレする人にむかって怒鳴る声が聞こえた気がしたが、それは気のせいだろう。
おおこわ。まざんなくて良かったぜ。
さて、何か変化はあったかな?
そう思ってスキルツリーをみにいく。見に行くと言っても開くだけなのだが。
おお、スキルポイントが溜まってる。
俺は少し感動した。
今溜まっているポイントは12ポイント。だが、短時間でこんなに増えるのだから、これはかなり貯まるだろう。
そして、俺はもう一つ大きな発見をした。
これはもしかして、重大な発見なのでは・・・?
それは、新しいスキルツリーの発生であった。
その名も軍事施設。
そしてその最初の取得可能スキルは、
【防衛機構:死の森】
そしてスキルが強化されたのか、取得に必要なスキルポイントの数も表示されるようになった。
死の森に必要なポイントは500。
正直かなり高いが、それでも間に合わない数字じゃない。
それに死の森の効果も気になる。
防衛機構というくらいだから、この街を守るためのものなのだろうが、検討もつかない。
とりあえず間に合わせよう。
そういえば他のスキルの次に獲得できるスキルはなんなのだろうか。確認していなかった。
俺は再度スキルツリーを見る。
農業と産業に関しては、農業知識と産業知識だった。
どうやら御三家のツリーの最初のスキルはこれなようだ。
そして、軍事の次のスキルはいくつかある。
それは、
魔獣系:テイム、戦闘技術:剣、遠距離伝達:狼煙
この3つだった。
まてよ、魔獣系:テイムだと?
これってこの帝国の崩壊を防ぐために必要な条件の一つだよな。
俺は急いで【魔獣系:テイム】の必要ポイントを確認する。
その数は200。
思ったより少なかったようだ。
そして今持っているポイントは89。
どうやら俺が作業をしている間にもかなり増えたらしいな。
この調子なら、今日中にこのスキルが開放できそうだ。
だが、魔獣のテイムなどどうやってやるのだろうか。何か特殊なものが必要なのだろうか。
まあ、このスキルを取れば何かわかるか。
俺はゆっくりと待つことにした。
その間は暇なので、各所をみにいくことにする。
たしかこの世界の大体の国の破滅理由は、内部からの反乱やクーデターだ。だから民からの信頼がどうなっているかしっかりと確かめなくては。
そうだ、そういうときに便利なスキルがあったんだ。
【人民把握】
人口:11500人
戦闘能力:25000
満足度:89
健康度:76
士気:100
なんということだ。
まずはじめに驚くべきなのはその戦闘力だ。
人口が減って戦闘力も衰えたかのように思えたが、ガイムなどの新しいものや、遠征などで一人あたり二倍くらいになっている。
これはすごいことだな。
そして満足度。
80代に落ちてしまってはいるものの、高い水準をキープしている。この程度なら問題はないだろう。
そして健康度だ。これは怪我を負っている人がいるからなのだろな。
この世界には回復魔法はあるのだろうか? あるとしたら早く見つけなくては。
そして最後に士気だ。
もしかしてこの士気は減ることがないのか?
何か減らない原因があるのかもしれないな。これも追って操作だ。
その後俺は応急処置が行われている場所へ行った。
データだけじゃなくて自分の目で見ることも大事。そう思ったからだ。
そこは、なかなかにひどい状況であった。
骨が折れたもの。腕を失ったもの。そういったものが並べられていた。
看病をしているのは、看護師や医者だった者たちだ。
「これはこれは。龍之介様」
医者の一人が近寄ってきた。
「この人たちは、どのくらい持ちそうだ」
「もって1週間でしょうな」
「そうか」
「あなた様のせい、だとお思いになっていますか?」
医者は唐突にそういった。
「ああ。実際そうだろう」
「違いますぞ。怪我をしたのはコイツラのせいなのです。だからあなた様が気にする必要はないのです」
「といってもな」
「そもそも、私達は一度死んだ身。ここに生きられるだけでも幸いなのです。だから、どうか私達を使い潰してくださいませ」
そう行って医者は去っていった。
そんなこと言われたら、余計に助けたくなってしまうではないか。
俺は彼らを絶対に救うことを誓った。
鍵はスキルツリーだ。
俺はそう思った。
その中でも、軍事、農業、産業は違う。だからあるとすれば軍事施設だ。
俺はツリーをたどっていく。
そして見つけた。
【医療施設:???】
具体的な内容はまだわからない。だがそれでもこれが最後の命綱になることは間違いないだろう。
崩壊を防ぐために【魔獣系:テイム】は取るとして、ほかのスキルポイントは軍事施設に回したほうがいいかもな。
今回見つけた【医療施設:???】は軍事施設のツリーの枝分かれした、1つ目にある。
死の森を取ってしまえばすぐに手に入れられるだろう。
待てよ、今結構ポイント溜まってないか?
俺は確認する。
210ポイント。
だいぶ溜まったようだ。
これなら【魔獣系:テイム】を取得できる。
なかなか緊張するな。
俺はスキルツリーの【魔獣系:テイム】を押した。
その瞬間
『魔獣系:テイムがアンロックされました。説明は入りますか?』
そんな声がしてきた。
もちろん説明はほしい。
『使い方:テイマーを指名します。彼らは魔獣と意思疎通することができるため、魔獣と交渉し、配下に加えます。言うことを聞かない魔獣には、力の差を見せつけましょう』
なるほど。
ぜんぜんわからん。
もっとこう、詳しい説明はないのか?
・・・・。
ないようだ。
さて、さっそくやるか。
最初に、テイマーを指名する、か。
とりあえず一人は俺でいいかな? あとは適当にランダムに決めるか。
その瞬間、俺の体に変化が起こる。
そして、そこらじゅうで話している動物たちの気配がしてきた。
わかる、動物の言葉がわかるぞ。
俺は感動していた。
よし、早速魔物をテイムだ。




