ITだよねー
「今日はもう遅い。一度寝てから調査を再開しよう。」
「りょうかーい。」
博物館を出ると外はすっかり暗くはなっていなかった。それもそのはずでこの地下大国マリトルムは、灯りを一日中ともしているようだ。
だが形態を確認すると、実際は相当暗いようだ。
余談だが、ハクはトレットを装備する兼ね合いで腕時計をしない。エルミラに聞いたところ、戦闘を生業にするもので、腕時計をしているものは大体遠距離職の者のようだ。
今は全員ホテルに到着している。トレットとハク以外が別の部屋に入り、眠りについた。
次の日の朝、ハクが目を覚まし部屋を出ると、全員がすでにエントランスで待っていた。
「みんな優秀だな、まずは朝飯でも食いに行こうか。」
「朝ごはん。」
エルミラが大きな声とらんらんとした目で反応した。
そういえば昨日は夕飯を食べずにホテルに戻ってしまったことに気が付いた。
「確かに俺も腹が減った、まずは飯にしよう。」
ハクはホテルを出た。
「ZERO近くに美味しいご飯屋はないか?」
『かしこまりました。どういった食事にされますか?』
「朝なんで、優しい感じで頼む。」
『それでは美味しい定食屋にご案内いたします。』
ZEROの案内が始まった。
ハクたちはすぐに定食屋までたどり着いて食事を済ませてしまう。
ハクが食べたメニューは魚定食だ。ナマズのような魚が焼いてあり、香草が添えられていた。それ以外はスープに、ご飯といった感じだ。とても落ち着く美味しい料理だった。トレットが教えてくれたが、魚の名前はマッドルというらしい。身は淡白で、油もそこまでは乗っていない。非常にシンプルな味わいの魚だった。朝にはちょうどいい。
「ZERO、研究施設に案内してくれ。」
『かしこまりました。マリトルム研究所にご案内開始します。』
ハクがZEROに一瞬目をやるとまた何かを隠すようなそぶりをしていた。今度こそ何をやっているのか質問しようかと思ったがとりあえずやめておく。今は研究所が優先なこともそうだが、何よりZEROにも自我があるのだから、個人的に何かすることはあるだろうと思った。
研究所までは十数分歩けばすぐについた。やはり重要施設はどれもこの地下空間の中心付近に固めてあるらしい。
「まぁ予想していたがこう来るよな。」
入り口には一般人立ち入禁止と書いた看板があった。
ハクは一度両手を天に伸ばしながら、全身で伸びをした。
「それじゃ今日も魔法を使って潜入しようか。」
一同はまた少しだけ通りに入り魔法を使用する。相変らずの魔法で周囲にハク達を認識できる者はいなくなった。
研究施設はただでさえ大きかった博物館よりもさらに大きなものだった。地球風に例えるならば、東京ドームくらいある。
というかまさしくドーム状の施設で、とても先進的な見た目をしている。そのサイズ感のドームが全部で三つこの敷地の中にあるようだ。
ハクたちは早速門の中に入った。
「どうだ?エルミラ直感でどこから攻める?」
ハクは勇者の直感に頼り、魔導書に辺りを付けようとする。もちろんこの中に魔導書がある可能性もあるのだ。おそらくはないと思ってはいるが。
「この施設はどれも調べて方がいいって感じがする。」
エルミラはそれぞれのドームを真剣な瞳で見つめていた。
「なるほどな、それじゃ正面のドームから調べていくか。」
敷地内を隅まで見渡すと、小型の移動車が複数置いてあった。この研究所の敷地は広いのであれに乗って移動するのかもしれない。
もちろんあれ事透明化させて動くのは得策ではないので、無視して正面に入った。
ちなみに三つのドームの配置は【品】この漢字の配置と同じだ。
ドームに入ると研究所内は白を基調としたデザインになっていた。だがリアムの施設みたいに無駄な広間がみたいなものがない。ある意味リアムの施設も研究所を兼ねているだけなので、いろいろな部屋があって当然だが。
一同は迷いもなくするすると奥まで進んでいってしまう。
「とりあえず地図もないし、人に聞くわけにもいかないからしらみつぶしに探していくしかないな。」
『私から一つ申し上げてもよろしいでしょうか?』
「いいよ。」
『私を床においてください。』
「・・・わかった。」
ハクは携帯を床においた。
『拾い上げてください。』
ハクは携帯を拾い上げた。
「それで?何がわかったんだ?」
『特に何も。』
「じゃぁ俺は何をしていたんだ?」
『スクワット運動をしていただきました。』
「なんで?」
『気分です。』
「怒っても?」
『ダメです。』
「なんで?」
『嘘だからです。』
「というと?」
『今私は超音波を出して近辺の仕組みを分析しました。』
ハクはもう一度画面の中のZEROを見た。
「なるほど、じゃぁどの部屋に?」
『右の部屋に入ってください。そこにPCがあるはずなのでまた私をその上に置いて下さい。』
ハクは言う通りにして、部屋に入ると確かに奥にPCがあった。ハクはそこまで歩いていくと携帯を置いた。
「これで次はどうなるんだ?」
『ハクさんと同じです。このPCをハッキングします。私はあなたと違って魔法を使う必要はないですが。』
画面の中のZEROがなにか取り出した。画面は見ずらいがタブレットを取り出したようだ。
「最近こそこそしてたのはそれか?」
『そうです、私はここ最近私を使う貴方たちがうらやましくて、これを製作しました。』
思いっきり感情を振りかざしてきたZERO、かなり珍しいが少しずつZEROにも感情が宿ってきたらしい。ハクからしたら最初からかなり、感情を持っていたが。
『この施設の仕組み、データはすべて取り出すことができました。』
「この施設のすべてがこのPC一台に管理されているとは思えないが?」
『でもサーバーで管理はされていました。ですからそこをハッキングしてすべて取り出しました。』
「・・・そうか、ありがとう。資料はデータでも管理されてたってわけか。」
『そういうことになります。すべてでは無いようですが。』
「すべてではない?」
『ここにある資料はごく一部でした。別施設にそれらの情報があるみたいです。』
「おいおいそれってまさか。」
『そういうことです。こことは別の空洞にあると記されていました。それぞれの空洞の名前もこの研究所にデータとして残っていました。空洞は全部で7つあります。それぞれに名前がついていますが、聞きますか?』
「一応聞いておこうかな?」
ハクは頭痛を抑えるように人差し指と親指で眉間を抑えている。どうもここ以外に空洞が7つあることにまいっているらしい。
『かしこまりました。アルド、カルド、サルド、タルド、ナルド、ハルド、マルドです。』
「単純な名前だな。俺らの目的地はわかるのか?」
『魔導書はどれも非常に強力なものでそれぞれ別の場所で研究されているようです。リストにかいてあった魔導書はそれぞれ3つ、7番、45番、90番でしたね、それぞれの研究所は7番がカルド、45番がサルド、90番がハルドです。』
ハクはいまだに眉間を抑えている。
「なるほど、大体理解できた。とりあえずほかの空洞には昨日知り合った知り合いが案内してくれるだろうな・・・。それにしても今回は本当に面倒くさい。なんか市役所でたらいまわしにあっている気分だ。」
ハクはうつむきため息をゆっくりとついた。




