アルドだよねー
ハク達はあれから、研究所をすぐに出た。正直あそこで研究されている発掘品に興味はあったが、魔導書探しがかなり複雑になってきているのですぐにでも探しに行きたかった。
そして今例の入り口に来ている。
「ゾーイから紹介されいる。ここを通してくれ。」
この前の男とは別の男がハクに対応した。男は一度うなずくとハクに道を譲る。
男が行き止まりの建物に近づくと、ある一か所をノックした。
その箇所が開くのかと思ってハクはジーっと見つめている。
「どこが入り口か知られると困るからここからは転移魔法陣で移動してもらう。」
「なるほど。」
ハクは周りをキョロキョロと再度見渡した。
「帰るときはもう一度転移陣まで戻れ。そうすればもう一度転移させる。」
男は周りを観察しているハクを怪しげに見ていたが、それだけで何もわかるわけはないと思っているのか、特に何か言うことはない。
「世界協定がどうのこうのということは言うなよ。」
男の案内するままにハク達は急に現れた魔法陣にのった。
「最後に一つ確認したいんだが、お願いした行き先に行くことはできないのか?」
「お前がどこまで知っているのか知らないが、ここから行ける場所はただ一か所、アルドだ。」
「・・・なるほど承知した。ほかの空洞に出入りするときは?」
男は当然のことを言うようにハクに説明した。
「安心しろ、ここのように移動方法を隠してはいない。その必要もないからな。」
ハクは一度天を見上げ、また男に視線を戻した。
「確かにそうだな。」
男は一度うなずくと、口を開いた。
「それじゃ転移させるぞ。」
男が右手を肩まで上げて、前後に振った。転移陣が光りだす。
数秒後、ハクたちはその場から消えた。
「ここがアルドか。」
ハクは再度周りを見渡している。こちらの地下空間もかなりの広さを持っている。だがマリトルムのように建物が沢山あるわけではない。どちらかというと屋台のようなものが多い。
「なるほどな、ブラックマーケットってわけか・・・。」
「面白そうな匂いもかなりするね。」
「俺的にはシンプルに少し臭いぞ。」
「私的には少しだけ食べ物に興味がある。」
それぞれがそれぞれの思惑に胸を躍らせていた。
そしてそれぞれがある一か所に視線を戻す。
転移陣のそばにゾーイが待機していたのだ。
「連絡が来たから案内してやろうと思ってね、ここで待っていた次第だよ。」
ゾーイが妖艶な瞳でハクを見つめた。
一瞬エルミラの顔がイラついたような気がするが、それは無視しておく。女性関係にきたない男だと思われたのかもしれない。
上記の内容をハクは思考しているが実際はそうではない。それなりに長くハクと過ごすうちに深層心理は変わってくるものだ。いい方向にも、もちろん悪い方向にも。今回はいい方だと思われるが。
「それじゃ案内してくれ、まずはホテルに行きたい。そこで少し話ができればいいと思っている。ここら辺について俺も知りたいことばかりだ。」
「まぁいいけどね。とりあえずあたいのアジトに来な、アルドに宿泊施設は一切ない。ここに来るのはその日限りの客ばかりだからね。」
「なるほど普通に考えればその通りだな。」
確かにこういった非合法の市場に長居するものは少ないだろう。ここには店の店員という名の居住者とその日限りの客ばかりらしい。
ハクたちは素直にゾーイに従って、あとをついていく。
トレットはしきりに地面のにおいを嗅ぎながら歩いている。
ノイルは人をよく見ているみたいだ。
エルミラはもちろんご飯の方を見たりしている。
ゾーイのアジトはその髪のように赤く輝いている。それなりの大きさで見るものの視線を集める。
正直デザインにはいくらか言いたいことがあったが、それでもハクたちは終始無言でアジトに入った。
最初に入った部屋は大広間になっていた、何席も椅子やテーブルがあり、それぞれの家具も赤を基調としている者だった。ガラの悪そうなものから、人のよさそうなものまで大量にいる。
「お前達の部屋はこっちだ。ここと、ここ・・・それにあそこを使ってもいい。」
この建物は全部で5階建てになっている。ハク達は2階に案内された。
真っ赤な扉をゾーイが指さし、ハクたちは案内した。
ハクは一同に部屋を割り振った後自室を確認、その後さらにゾーイに案内されて5階まで上がっていく。
ちなみにこの建物には普通にエレベーターがあったので使用した。
5階にはゾーイの部屋があるらしく、そこに通された。
ゾーイの部屋には椅子はゾーイともう一人の分しかなかった。仕方なくはハクはその椅子にどっかりと深く座る。正直エルミラに譲ろうかと思ったが、予想通り気にしてはいなそうだ。
ハクは椅子に座ると早速口を開いた。
「ところでここはどこまでが軍人なんだ?ゾーイ以外はどれくらいいる?」
ゾーイは特に表情を変えることはない。
「何を言っているかはわからないね。」
ゾーイは席に着くと、ペンを取り出し何か書類仕事を始めてしまった。
「それはそうだろうな。まぁいいや、人身売買をしている奴隷商に行きたい、明日案内してほしいんだ。」
「それならお安い御用だ。明日は一日中アジトにいる予定だから行きたくなったら声をかけてくれ。」
「わかった。それじゃよろしく頼む。」
ハクたちはゾーイの部屋を後にして、今日はもう眠りについた。




