資料室だよねー
ハクは現在ふらりぶらりと歩いてるように見せかけて、エルミラたちに合流しようとしていた。
もしほかの空洞へと行きたいのであれば、エルミラたちを放置する手はない。特にハクは多少手荒だっとはいえ、他の空洞へ行くチケットのようなものも手に入れている。これで置いていけば次に合流するのは少し面倒臭い。
「ZEROエルミラたちのもとへと案内してくれ。」
『かしこまりました。ご案内いたします。』
ハクはZEROの案内に従い歩き始める。
この国をそれなりに観察したが、不自然な箇所が結構多いことに気づいていた。
まずにこの国の建物の配置には規則性があること。これは先ほどハクが到達した怪しいやつらのいるところしかりだ。ちなみにそう言った箇所は後数か所あった。
次に人だ。この国の国民は幸福度の低い顔をしている。まぁバラモみたいに幸福度の高い顔をしている人間もいるが。
この国がもしもブラックマーケットに関与しているのであれば、そのせいかもしれないが。
「それにしてもエルミラたちの調査は無事に進行しているだろうか。あいつらは仲いいから大丈夫だと思うがそれでも心配だな・・・。」
ハクはみんなを心配してか、なんとなく空を見上げた。
『皆さんが心配なのですか?』
「・・・まぁな、もうそれなりに付き合いも長くなってきたし、心配だよ。」
『そうですか・・・私にはその気持ちはあまりよくわかりません。』
「例えば仮に、今ZEROが画面からいなくなったら俺はZEROを心配するよ。」
『リアム博士に相談すれば、また新しい私をインストールしてくれます。』
「そうだけどね、俺と一緒に今を過ごしてるZEROはもういなくなっちゃうだろ?」
『・・・今ですか?』
「そう、今。人生・・・というか時間っていうのはさ、一瞬の連続だから・・・この一瞬は今過ぎたら二度と戻ってこないんだ。」
ハクはまだ地球にいたころを思い出す。いろいろな人の死をほぼ毎日のように見ていたあの頃を。一度失ってしまえばもう二度と戻らない今を。ある意味一生の価値を確実に知るには人の死は必要不可欠なのかもしれない。
『そう・・・ですか。』
ZEROがどこまでハクの言っていることを理解しているかはわからない。だがハクは確かに人工知能であるZEROから感情のようなものを感じとっていた。それが果たして感情といっていいのかは謎だが、それに近しい何かは確かにZEROの中にある。
「今はわからなくてもいい、でももしいつかZEROが何かを辛く感じた時は俺を頼ってほしい。そして俺の仲間が辛くなった時はZEROが助けてやってくれ。」
『それは私も仲間だからですか?』
「ハハハ、さすがZERO、よくわかってるじゃないか。」
ハクは画面の中のZEROに笑顔を向ける。
もちろんこの世界のほとんどの人は人工知能を知らない。画面を見て笑うハクをほんの少しだけ怪しんでいた。
ハクはZEROの案内に従いつつ歩き続け、とうとう博物館にたどり着いた。
早速入館してエルミラたちを探す。
「おい、エルミラ!」
ハクはすぐにエルミラを見つけることができた。というか銀髪は正直目立つのだ。
「ハク!?どうしてここに・・・?」
エルミラは急なハクの来訪に対応することができないでいる。
「実はな・・・。」
ハクはこれまで自分の身の回りにで起きた出来事を皆に一通り説明する。
5分もしないうちに説明は終わり、それぞれにうなずいていた。
ハクもノイルから情報を教えてもらい、得た情報をほとんどうなずけるようなものだったことに感動する。
ただし、現状証明されているのはこの空洞に似た空洞がほかにある可能性が高いというだけだ。
「それにしても潜入か、この人数ならちょうど俺の魔法範囲内だな。一旦博物館を出てから魔法を使おう。急にこの場で透明化したら、監視カメラに映って怪しまれるかもしれないしな。」
ハクたちは一度博物館を出た。
「【ディオス・ヴァキオ】」
少しだけ通りに入り、人目を見計らったタイミングで魔法を全員にかけた。これでよほどの実力者でなくてはハク達を発見することは不可能だろう。
「よし入ろうか。あとなるべく俺から離れないようにしてくれ。」
早速一同は博物館に潜入した。
受付嬢はまるでハクたちの存在に気付かない。
「相変わらず凄まじい魔法だね。ここまでの隠密ができる魔法は存在しないよ。」
ハクの魔法にノイルは驚愕し、両手を挙げてお手上げポーズをする。
受付嬢のそばで話しているのに、まるで気が付く様子もない。
「やっぱりこの魔法を使用していればしゃべっても大丈夫なんだね。」
「そうだな。見えている景色は同じでも、この次元とはずらしている。ずらしている次元で俺たちは次元を共有しているんだ。だからこうして会話できてる。」
「・・・ちょっと複雑だけど、少し違うこの世界で、ハクと僕たちだけがそれを共有しているってことだね。」
「そういうことだ。」
ハクはどんどん奥に進んでいく。もちろん壁は無視して。
「壁は簡単に通り過ぎるのに、床を通りすぎるわわけは?」
「この次元で共有するものはすべて俺だけが決められる。」
「本当に便利な魔法だということはわかったよ。」
「とりあえずバックヤードの資料室に行けばいいだろう。」
ハク一同はさっさと資料室まで進んでいった。誰もがいる世界で、お互いだけを共有して。
投稿日時の設定をまた間違えてしまいました。ごめんなさい。




