博物館だよねー
エルミラたちは分解会館を後にした。
次の目的地は博物館になるわけだが、そこでエルミラはZEROにお願いする。
「おいしいご飯屋さんを教えて。」
『かしこまりました。お好みのジャンルをお聞きしても?』
「今日はお魚が食べたい。」
『・・・検索完了いたしました。それではご案内いたします。』
エルミラたちはまたZEROの案内に従い、お店に向かう。
5分程が立ち、お店に到着した。綺麗なお店で、店内はオレンジ色の光がともしてある。
「いい感じね、ありがとうZERO。」
『承知しました。失礼します。』
エルミラたちは早速お店に入った。店内に入ると、すぐに店員が来てお冷とメニューを置いてくれる。
「ふむ・・・どれもおいしそう。」
エルミラはメニューを見て深く迷っていた。
「僕はもう決めたよ。」
ノイルはメニューをおよそ三十秒ほどしか見ていない。
「俺ももう決めたぞ。」
ノイルもほぼ同じくらいしか見てない。
二匹はエルミラをせかすように見つめてくる。とくにトレットの忠犬さながらの愛らしい目線は強力だった。
「待って、焦らせないで。」
エルミラの鋭い視線が二匹へと飛ぶ。
二匹はさっと目をそらした。
「・・・決めた!店員さん。」
二匹と一人は注文を澄まし、食事をとる。
エルミラが頼んだのは鮮魚の酒蒸しだった。なんとなく香り高いお魚が食べたかったのだ。
「お、美味しいです。」
エルミラはあまりのおいしさに、思わず以前の敬語が出る。
正直お肉とは違い、魚には脂肪が少なくジューシーな味わいは出ない。エルミラは当初そう考えていたが、この魚はとても強い旨味と、噛めば油が噴き出す。
二匹もとてもおいしそうにしていた。
「そういえば、この空洞と似たような空洞がほかにもあるみたいだけれど、そこに魔導書もあるのかな?」
「う~ん、どうだろうね。今回わかったのはほかの空洞があるっていることだけだから、それが魔導書と関係あるかはわからないってところだね。」
ノイルがフォークを少し傾けながら話す。
「そういえば、あの模写にかいてあった空間が本当にあるとして、模写があるってことは当時のマリトルムの民はあの空間に気付いているんだろう?でもこの国からあの空間に行く方法は特に見当たらなかった。」
トレットが頭の中を整理している。
「そうだね、あの空間はこの国の人たちに隠蔽されている可能性が高い。それが国民すべてが関わっているとも今の状況では考えずらいから、たぶん国の上層部のみが知っている秘密だろうね。」
「やっぱりそうなるのか・・・。」
エルミラより普通に頭の良い二匹が現状を整理しているようだ。
「もしもこことは別の空洞に魔導書があった場合、たどり着くのは相当厄介なことになる。最悪この国の王が持っている可能性も考えたほうがいいかもね。」
ノイルとトレットが見つめあい、ため息をつく。
「とりあえずは博物館に行って情報を集めようよ。そんな悲観的になったら得られるものも少なくなっちゃうよ。」
エルミラが二匹を励ますと、それなりに二匹は元気づく。案外この一人と二匹は相性がいいのかも知れない。
「それじゃお会計済ませて出発しようか。」
お会計を済ませたエルミラたちは早速、博物館に向かう。
エルミラはまたZEROに案内をお願いした。
『かしこまりました。ご案内いたします。』
今度は少し時間がかかったが、無事に博物館までたどり着くことができた。
「それじゃ早速入ろう!」
エルミラは謎の意気込みとともに入る。
博物館は石造りになっていた、とても厳かな雰囲気を持っている。
中に入ると、通路の灯りはろうそくでともされていて、少しだけくらい。
どうもこういった雰囲気を大事にしたデザイナブルな建物なのかもしれない。
最初の大きな通路の奥は行き止まりになっており、そこには一面にとても大きなステンドグラスがある。
天使のような女性が描かれており、その女性が太陽の光とともに空から降りてくるような絵が描かれている。
「幻想的・・・。」
エルミラのつぶやきが通路に響いた。
ステンドグラスから差し込む光が通路の後半を明るく照らしていた。
一人と二匹は受付に入館料を払い早速調査を開始した。
「う~ん、ここを発見した当時の古代文明が使用していた生活用品が並んでいるだけ・・・。」
エルミラは周囲を観察するが、どこにでもある博物館といった感じだ。
とりあえずは当時発見された遺産を見ているが、残念ながら魔導書はなさそうだ。
「当たり前だけど、さすがにないか・・・。」
「さすがに魔導書はないね・・・。当時発見されたもののリストとかがあると、便利なんだけどとってあるかな・・・。」
ノイルは色々と観察したが、ここには特にいい情報はなさそうだと感じていた。
それでも一応調査を続けるが、やはりヒントになりそうなものは見つかりづらい。
「当時の人たちはこんな道具を使用していたんだ。」
古代人が使用していた道具はそのほとんどが魔法具だった。もちろん中には魔畜具もあったが、それでも本とんどが魔法具だった。かなり高度な魔法社会を気付いていたことはすぐに理解できた。
現在この世界では電気も、魔法も使用した複合社会が完成しているので今の方が便利なのは確かだが、それぞれの魔法具はかなり複雑で現代でこれらを再現できるのは本当にごく少数の人間だけだろう。
「ここまでの魔法文明社会は僕の生命の中では今のところ珍しいほうだね。彼らが魔導書を使用できた可能背は高い。あれは簡単に使用できるものではないから。」
ノイルがガラスケースに顔を寄せるようにして告げる。
ノイルの目には魔法具そのものが持つ、使用者の格のようなものがはっきりと見えていた。おそらくは誰にも言うことはないだろうが、それでも魔法具の使用者一人一人が尋常じゃないほどの実力を持っていることは明らかだった。
「僕が時間移動魔法を使うことができたら、当時に飛ぶんだけどな・・・。」
「・・・?時間移動魔法なんて存在するの?」
「するよ、全盛期の僕にすら使用することはできないけど確かに実在する。」
「そんな希少な魔法をなぜ・・・?」
エルミラは小首をかしげながら腰に手を当てて片足に体重を預ける。
「一度だけ使用者を見たことがある。彼は未来から来た・・・。今はどうしているかは知らないけどね。」
「なるほど、そんなことが。」
もちろん現状過去に戻るすべはないので、そんなアグレッシブな調査は不可能だ。何か他の手段を探す必要性がある。
「でも今できることもあるよね。とりあえず、博物館の人に当時のリストとかないかは聞いてみようよ。」
エルミラが提案する。
「・・・ここの博物館は国営だろうから、あんまり気が進まないな。見るならそっと見たほうがいいかもよ。」
ノイルがにんまりと笑う。
「・・・まさかまた魔法ですか?」
「もちろんその通りさ、魔法は便利だからね。」
「でもまぁ国営の施設が俺たちに素直に情報を公開するとは考えずらい。昼食中に情報を整理した通り、国ぐるみである可能性が高いいじょう、そういった手段をとったほうがいいかもしれないな。何が出てくるかもわからないし、万が一のために。」
トレットが話をまとめる。
正直エルミラも今回はあまりいい予感がしてはいなかった。




