文化って大事だよねー
エルミラはノイルとトレットを連れて魔導書の手がかりを探し始めた。
このメンバーで調査するのはもう二度目だ。
以前はノイルに助けられていたので、今回こそはエルミラも活躍したい。といっても以前も十分に活躍していたが。
「どこから手を付ければ魔導書にたどり着くと思いますか?」
「う~ん、どうしようか。」
エルミラとノイルは困った様子で道を歩く。
「ハクがZEROで調べていたんだが、この国は古代超文明が作ったらしいぞ。おそらくはここに巨大な地下空間を作るのに魔導書が使用されたとハクは考えていたぞ。つまり足掛かりは、古代超文明になるな。」
「なるほど、古代超文明に関してまずは調査します。・・・もう敬語やめてもいいですか?」
エルミラは今更トレットとノイルをじっと見る。
「うん、いいよ。ていうか最初から必要なかったけどね。」
「もちのろんだぞ。」
「よしっ!それじゃ出発進行!!!!」
エルミラは早速歩き出した。
「やっぱり国のお年寄りに聞くのがこういうのは一番だと思うの。」
「それ、前にもやっていたよね。効果はあったけど今回は変えてみたら?」
「俺的には普通に文化会館みたいなところから攻めるのもありだと思うぞ。」
「文化会館?あるのこの国に?」
「ZEROに聞いてみたらどうだ?」
もちろん携帯にZEROは共有していて、それぞれ使うことはできる。ちなみにトレットの携帯はリアムの魔改造で、音声操作に対応できるようになっていた。
「ZERO、マリトルムの文化会館、または博物館見たいのがあったら教えて。」
『かしこまりました。どちらもございます、ここからは文化会館の方が近いですがどちらから行きますか?』
「そう、文化会館でお願い。」
『ご案内を開始します。』
一人と二匹はナビゲーションに従って、歩き始めた。
「それにしてもいろいろなお店があるんだね。」
エルミラは周囲をキョロキョロと見まわしている。
「人もそれなりに多いし、明らかに戦闘を生業にしている人も多いね。なんというか身のこなしが普通じゃない、ブラックな人間も多く混じってるね。人が多い分そういう人が混じりやすいんだろうね。」
ノイルは冷静に分析している。確かに言われてみれば、そういった雰囲気をうまく隠していそうな人がたくさんいる。もちろんあえて隠してなさそうな人も多くいるが。もしかすると治安はそこまでよくないのかもしれない。
『まもなく右手に見えてくるのが文化会館です。』
「了解。」
大きく、マリトルム文化会館という看板がたった施設が見えてくる。さすがに中心部近くにあり、人々が多少は集まるようだ。
「今回は侵入でもなんでもないから、さっさと情報収集しちゃおうか。」
「そうだね。」
一人と二匹は早速文化会館へと入っていた。幸いわいなことにここは無料で利用できる施設のようで、マリトルムの歴史について取り扱っているところにさっさと向かう。
歴史会館と扉の上にかいてある場所を発見した。
中に入ると、ところどころにガラスケースがあり、その中に文化財が飾られている。だが数はだいぶ少ない。おそらくは博物館の方にあるのだろう。
エルミラたちはそれぞれを見て回った。
ガラスケーズの中には歴史がまとめてある紙も飾られている。それを読めばある程度この国の生い立ちがわかりそうだった。
「最初にトレットさんが言っていたことしか書いていないね。古代超文明に関しての詳細な記載などはないみたい。」
まぁもっとも文化会館なのでそれが正しいのだ。マリトルムの歴史こそあれ、古代文明の歴史はここではおさらいされていないらしい。それは博物館の領域だろう。だが、もしもマリトルムの歴史上で重要なものが発見されていれば、こちらにも記載くらいはあるかもしれない。
「エルミラ、これを見て。」
ノイルがエルミラを呼び、ガラスケースの中を指さす。
「・・・これは?」
ノイルの指さす先にあるのは模写で、そこには最初にこの地下空間を発見した時の模写が飾られていた。かなり繊細に描かれていて、この空間発見当初の全貌がわかる。模写は一枚だけではなく、数十枚はある。
それぞれその模写を観察していると、ある一点が目についた。
「やはり発見当初はこの空洞にすでに建物がいくつもあったんだ。説明分にはすべて土でできていたって書いてある。」
この模写した人物が相当な技量を持っていたらしく、絵を見ただけでも家が土製であることは見て取れた。
いろいろな場所、角度から描かれていて、当時の感じがかなりわかる。もしかするとこの空洞を現代的に改造した際、当時の古代文明をたたえる気持ちも込めて、こうした記録に残したのかもしれない。
「ここ、この文章ってつまりはそういうことなの?」
エルミラが指し示した文章にはこう記されている。
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当時マリトルムができる前のこの空間の上、つまり地上は灼熱に包まれていた。その後他国との戦争に敗戦した今のマリトルムを築いた民たちがこの地下空間を発見し住むこととなった。そしてここに記録と感謝を込めて模写を書き残した。だがそれでも当時から今の今まで解明されていないことがある。それはこの膨大な地下空間の成り立ちだ。人間が作り上げたとは考えずらい、それに地表との距離を考えても、この空間が過ごしやすい温度を保てている理由も不明だ。当時ここを研究していた学者の論文の最後にはこう記されている。【人為的には考えずらい何らかの力が影響を及ぼしている可能性が高い。そしてそれはこの空間を築いた古代文明が持った驚異的な力ではなく、偶然古代文明が手にした超人的な力である。そうでなければ古代文明が神に等しい力を持っていることになるのだから。】
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「なるほどね、つまりはここを研究していた学者もそういった外部の力が働いているという結論に至っていたんだ。知識がなきゃこれがただの魔導書の力だなんて信じられないだろうしね。」
ノイルもこの記載を見てうなずいている。
トレットがある模写をじっと見つめていた。
「どうかしたのトレット?」
「・・・この絵なんだが、おかしいとは思わないか?」
「特にはわからないけど・・・。」
エルミラは模写をもう一度見てから首をかしげる。
「それぞれの絵をパズルみたいに結び付けていくと、この空間の当時の様子をかなり詳細に描いているのがわかるはずだぞ。」
「・・・?」
エルミラは今も疑問気に小首をかしげるだけだ。だが隣にいるノイルは先ほどよりも真剣な様子で模写を見ている。そして何かに気づいたように目を見開いた。
トレットはこの模写を撮影していいことに気が付いた。
「これを携帯カメラで撮って、ZEROに分析させてみてくれないか?」
「了解。」
エルミラはとった写真をZEROにお願いして調べてもらう。
『なるほど、トレット様の言いたいことがわかりました。こちらの模写ですが、一枚以外はすべて同一の空洞を描いたものです。』
数瞬間があいた後にエルミラもハッとした様子で驚いている。
「一枚以外・・・、つまりはさっきトレットが見ていた模写は別の空洞を描いたものってこと?」
『そういうことになります。推測ですが、模写があることも考えると、この空洞とマリトルムはつながっていて、行く方法もあると考えられます。』
「俺もそう思うぞ。」
「僕もそう思うね。」
ノイルは顎に手を当てて考えていた。
「とりあえずここで得られる情報はもうないみたいだね。博物館に行ってみようか。」
エルミラもトレットもそれにうなずいた。




