調査開始だよねー
「それでは今日から本格的に調査を開始します。とりあえず俺はマスターの件を調査するので、そちらは魔導書についての調査を開始してください。」
エルミラは勇者なので、魔導書関係は世界を救うことにつながる。探索をエルミラに任せておけばありがたいお導きがあるかもしれなかった。
「わかった。」
「了解だよ。」
「わかったぞ。」
それぞれに返事をする。
一同はホテルを出て早速調査を開始した。
ちなみに今回のホテルはあまり大きくはなく、ハクとトレット以外は全員別室となっている。
ハクは一人に、エルミラとノイルとトレットはともに行動する。
「マスターの言っていた奴隷か・・・。とりあえず今日は発見だけでもできればいいんだが。」
今日のハクの狙いはそんなに沢山はない。朝方、午後をこうして散策に費やし、夜は手ごろなバーで情報を収集しようと考えている。
つまり今から行うのは散策だ。とりあえず目的地は決めずに、それらしい奴隷商、または怪しそうな通りなどを探して見て、何か手がかりをつかもうとしている。
マリトルムの外側から中心に歩いていく時に観察していたのだが、あまりブラックな店は見当たることはなかった。
可能性としては、広い国なのでただハクが見つけることができなかった場合。またはアンダーグラウンドのような地域があり、表面上にはそれが露出していない可能性。
とにかく考えようと思えば可能性はそれなりにある、今日は散策と聞き込みで効率よく調査できればいいとハクは考えていた。
「それにしてもこの国は本当にお店が多い。そもそもがお店に人が住んで、とりあえず誰かが商いをやっている感じだ。」
ハクは色々なお店を見ている。なんというかこういったお店が沢山ある地域はどの店もある程度うさん臭い様子だ。なかなか何かを感じ取ることはできない。
「どれも怪しいっちゃ怪しいんだよな。」
ハクは歩きながらめちゃくちゃ失礼なことを考えている。
今ハクは、なるべく大通りなどは出ずに裏通りなどで、何か怪しい取引などが行われていないが探している。
国自体が地下にあるためにこうした建物の隙間の道に入ってしまうと、さすがに暗い。この国で暮らしている人たちは、よく時間間隔を失わないものだ。
「地球だとこういうところが結構怪しかったんだけどな。」
いわゆる路地裏には特に何もない。だがこんなところにもそれなりにお店が立ち並んでいる。
「お店にでも入ってみるか。」
ハクは適当に目に着いたお店に入ってみようとする。
「ここは女性用の下着店ですよ。」
「失礼しました。」
ハクは一旦お店を出た。
そしてもう一度お店を見る。
「・・・・。」
ハクはもう一度お店に入った。
「ここは女性用の下着店ですよ。」
女性店員(笑)はハクがもう一度来店したことに目を見開く。
「そうですか・・・。」
ハクは女性店員(笑)をもう一度観察する。
「あなたは何者?」
「あら女性を口説く文句にしてはダサいわね。」
ハクとおかまは目を合わせる。
「間違いなく一般人ではないな?」
ハクは女性店員(笑)をもう一度見る。そのおかまから明らかに商いだけで暮らしているとは思えない量の魔力が漂っている。
「う~ん、何度も言っているけどここは女性用下着を扱っているお店で私は普通の店員なの。昔はちょっとは名の知れた戦士だったけどね。目覚めたのよ。」
「・・・目覚めたのか?」
「そうよ。」
「そうか・・・ちなみに奴隷商とかって知ってる?」
「・・・知ってはいるけどあそこはかなり危険よ。」
ハクは女性店員(笑)を見る。
「ちなみにあなたの名前は?もちろんその情報にそれなりに金を払う準備はある。」
女性(笑)はハクの方を見る。
「とりあえず私の名前は、バラモよ。あなたはそれなりの実力がありそうだから、裏に来なさい。」
バラモがハクを手招きして、裏に招き入れようとする。
「変なことするなよ。」
「しないわよ!!!見損なわないで!」
ハクはしぶしぶとバラモの店の奥に入っていった。
ハクが奥に入るとバラモは店の表に出て看板を下げ、いったんお店を閉めた。
バラモに招かれた部屋にはいろいろな女性下着のデザイン用紙がぶら下げられていた。どれも男性のハクの目から見ても、非常にかわいらしいもので才能を感じられた。マネキンが数体いて、どれも下着をつけている。
「へぇ凄いもんだな・・・。表の下着も全部バラモさんが作ったのか?」
「ええそうよ。この仕事を始めてから随分長いわ。といってもこんな路地裏のお店しか借りれなかったんだけどね。」
バラモは少しさみしそうに自分の下着デザイン用紙を触る。
「そうか。」
ハクは適当な椅子に座った、深入りすることはない。お互い他人なのだから。
バラモはデザイン用の椅子に座る。バラモの正面にはイーゼル(絵画立て)があり、それを使ってデザインを描いているようだ。
「それじゃ本題に入りたいんだが、とりあえず聞きたいのは奴隷商の場所だな。」
バラモはハクを見る。
「あなた相当強いみたいだから一応教えてあげるわ。それでも行くことはお勧めできないような場所にあるけどね。この国には来てどれくらい?」
「今日で二日目だ。」
「それじゃ知らないのもしょうがないわね、この国にはある秘密がある。一般の人間が深入りしてはならない領域とでも言いましょうか。」
「それは?」
ハクは生唾を飲み込む。
「この国は古代の超文明が作り上げた空洞のもとに成り立っているのは有名よね?でもね、この空間は一つではなかったの。」
「つまりこういった空間が他にもあるってことか?」
「そうよ、この国、というより空洞はアリの巣上になっているの。でもほかの空洞への良き道は巧妙に隠されている。なぜならそこはブラックマーケットだからよ。」
「なるほどな、ここをいくら探してもないわけだ。奴隷商はそこにあるのか。」
「当たり前でしょ。世界協定で奴隷の取り扱いは禁止されているわ。でもブラックマーケットのある場所では普通に奴隷が使われているの。」
「・・・そうかこの世界では奴隷は禁止されていたのか。普通に会話に出てきたからてっきり当たり前のことかと思っていた。」
あたりまえだがハクはこの世界から見たら異世界人なので、普通にこういった常識には疎い。
「随分田舎から出てきたのね。世界協定の決定を知らなないだなんて。」
バラモは驚いた様子だ。
「そのブラックマーケットへの行き方はわかるか?」
「そうね・・・残念だけど私にはわからないわ。今の話も庶民の間で密かにささやかれる単なる噂話だしね。」
「なるほどね・・・。」
ハクは話を聞くと立ち上がった。
「どれか見繕ってくれるか?友人に下着を買っていくよ。ここのは随分おしゃれだ。」
「あら、ありがとう。そうね・・・これとこれなんてどうかしら?」
バラモはハクにいくらか下着を見繕ってくれた。買っていくのはキャミソール的なもののつもりだったが、容赦なくブラやパンツがレジに並べられていく。
調査成果としてはかなり申し分ないが、これをエルミラに渡したときになんといわれるか、ハクは少し心配になった。




