マリトルムだよねー
ハクは今ディアスゴルトにいる。
イライジャと会った次の朝、ハクはすぐに飛行船に乗って、ディアスゴルトまで帰還した。
そして現在ホテルの一室にみんなで集まっている。
「イズラに行ったときにマスターと会って、次の目的地を決めてきました。その発表をこれからいたします。」
ハクはフリップを持って机に座り、みんながその周りに立っている状況だ。
「それでは次の目的地はこちら!【時の書】【マリトルム】です!!!!」
フリップをひっくり返して、みんなに文字を見せる。
「なるほど、マリトルムか。」
ノイルがフリップを見ながらうなずいている。
「マリトルム?」
エルミラはそのかわいらしい小首をかしげている。
「マリトルムは地下に都市を築いているのにも関わらず、かなりの大都市だからね。昔から少し気になっていたんだ。」
相変らず面白そうなことが好きらしく、ノイルはすでにわくわくした表情だ。ライオンとは思えない。
エルミラは目的地が決まると部屋の中で、ライメイをブンブン素振りしてやる気十分だ。ていうか危ないからやめろ。
「それじゃもう出発するけど、みんなまだ必要なものとかあるか?」
みんなを見まわすが特になさそうだった。
「じゃぁホテルを出ようか。」
ハクたちはすぐにホテルを出た。
トレットにお願いして車を出してもらう。
ハクはいつも通り運転席に乗り込むと、ZEROを車にセットして運転を始める。
『案内を開始します。目的地までは一日もあれば到着します。』
イズラからここまで来たのを考えるとかなり近く感じた。
「そんなもんでつくのか、だったら今日中にたどり着いてやるぜ。」
ハクはアクセルを踏み込んだ。
ディアスゴルトを出ると、また道には何もなくなる。たまに集落みたいなのが見える程度だ。
こういったところは異世界独特で、本当にただ道路だけがずっと続く感じだ。アメリカの田舎道に近い。
だがこういった何もない道を車で走るのは案外面白い。もちろん景色があまり変わらないと退屈だが。それでも混んでる道でしばらく渋滞につかまっているよりは遥かにましだ。
「ZEROなんか適当な音楽をかけてくれ。」
『かしこまりました。歌います。』
「え?」
ハクはてっきりこの世界にもあるであろう音楽をかけてほしくてお願いしたのに、急にZEROが歌い始めた。
だがZEROは歌がめちゃくちゃうまく、普通に聞き入ってしまった。
空もどこまでも青く、地平線が続く、今日もいい日だとハクは思った。
結局ハクはマリトルムまでノンストップで走破した。いつも通り、みんなは爆睡していた。だがZEROがいるのでたまに話し名がらここまで到着することができた。
マリトルムは貿易都市と聞いていていただけあって、門はかなり混んでいる。
いろいろな荷を乗せた車がここまで砂ぼこりまみれで行列を作っている。
おそらくは遠くから商品を運んできたのだろう。
正直この列に並ぶのはかなり、億劫だったが仕方がないので黙々と並んだ。
3時間ほどたってやっと入国することができた。
門番にホテルの位置も聞いてある。
ハクは目的地をホテルに変えさっさと向かう。何とか一日でついたといっても今は夜。今日は何もできずにホテルで眠ることになりそうだ。
ホテルまでは門から5分ほどでつくようだ。かなり広い国なので、相当隅っこの方のホテルになる。明日からはちょっとずつホテルも移動しながら調査を開始しようとハクは考えていた。
とりあえずこの国でやらないといけないことは二つ。
【地の書】の確保、マスターに頼まれた奴隷の解放だ。
ちなみに面倒くさそうだったので、この奴隷解放に関してはハクはあえて何も聞かなかった。
さっさと買ってさっさと開放する予定だ。
マスターから聞いた奴隷の特徴はこの三つのみだ。
一つ目が女性、二つ目が黒髪、三つ目が絶世の美女ということ。
ヒントがかなり少ないと思われたが、マスターを問い詰めても後は見ればわかるとしか言われなかった。
この時点でハクは100%面倒くさいことになるのは理解できた。
ハクが少し考え事をしていると、すぐにホテルに着いた。かなり広い国なので、まず明日は探検することになうだろう。そして、なるべく動きやすいところに拠点を移す。
みんなでホテルに入り、さっさと眠りについた。
次の日の朝、全員が起きた後に今日の作戦を告げる。
「とりあえず今日はこの国を歩く。昨日車の中で話したと思うが、俺はマスターの件をどうにかしないといけない。なのでまた魔導書に関してはエルミラとノイルに頼みたい。もちろんトレットは連れて行ってくれて構わない。今となってはトレットがどこにいても一緒だしな。」
「了解!」
エルミラが元気よく返事する。
といってもとりあえず今日は国の中心部付近まで行って、まずはホテルを変えるだけだ。
それにしてもこの国はすごい、まず国全体に天井がある。なんというか、今にも土とか降ってきそうな感じをしている。かといって天井が低いわけではない、まさしく超常の力が働いたとしか言えないほど天井が高い。だが綺麗にドーム状になっていて、中心に行くほど天井が高くなる。つまり隅の方はだいぶ天井が低くなっているようだ。そして天井が高くなると、どんどんビルなどの建物が増えていく。
余談だがハクが入国するときにはとても長いトンネルを通って来ている。なのでハクが見た最後の地上にはまだ緑があった。今この天井の真上はミーティング緑も一切ない灼熱の空間が広がっている。そして原理的に考えるのであれば、通常この空間内は超高温で蒸されているはずだが、それもない。そもそもが不思議な現象なのは間違いない。
「なんというか、街灯とかがめっちゃあるから暗くはないんだな。」
「そうね、こんなに天井が近いんだけど暗くないのはすごい。とんでもないお金が動いてそうで怖い。」
エルミラがマリトルムを見まわす。
「結構面白そうな気配が蠢いているね。これはかなり強者がこの国に集まっていると思うよ。」
ノイルは相変わらずわくわくしている。
「あとご飯も行きたい。お腹減った。朝から食べてない。」
急にエルミラがカタコトみたいに飯を要求してくる。
「わかったよ、この国のグルメも結構気になるしな。」
とりあえず、今は天井が低めの隅っこの方で宿をとっていたので、それなりに周りの建物も低い。
だが屋台のような出店もとても多く、それなりに食事ができそうだ。
「よし、こういった感じの場所ならとりあえず、立ち食いしながら歩くとするか。行儀は悪いけどな。」
ハクは早速目に入った屋台に近づく。その屋台で取り扱っているのは、焼き鳥だった。怪鳥ベルガルモと書いてあるのはとりあえずスルーだ。
「この櫛、同じものを4本ください。」
「いや、10本ください。」
ハクが注文を終わらせる前にエルミラが割り込んできた。
「おっ、嬢ちゃんかわいいからサービスしちゃうよ!」
結局櫛は15本になった。明らかにサービスしすぎだったが、ここはエルミラの美人が凄すぎたということにしておこう。
とりあえず戻って各一本ごとに食べているが、エルミラに関しては両手の指の隙間に綺麗に挟んで、8本一気に食べている。行儀悪さの極みに一歩近づいているがそれは見逃してやろうと思う。
油がしっかり乗った、素晴らしい鶏肉だ。なんというかカモ肉に近いのかもしれない。噛むとジューシーな脂が染み出し、ソースと絡む。味のはっきりとした甘辛いソースがまた食欲をそそる。ご飯と食べても間違いなくおいしいだろう。
「ハフ、あのヤハイもタヘタイ。」
エルミラが口をぱんぱんにしながら要求してくる。
どうもあの屋台も食べたいといっているようだ。せめて飲み込んでから話してほしいものだが。
「了解。」
ハクはエルミラの指し示した屋台へと向かう。
今度の屋台は戦豚丼書いてある。戦う豚の丼ぶりなのだろうか。
さすがに焼き鳥だけでは足りないだろうから、とりあえずは全員分買っておいた。
どんぶりを歩いて食うことは不可能に近いので、道のすみで止まって食べる。
「お~ここまで来ると、豚じゃなくて牛みたいだな。」
本当にそのままで油でジューシーな丼ぶりだった。味付けはネギ塩みたいな感じだ。程よい塩味と、野菜が醸し出す自然な辛味が口の中で、オーケストラを作り上げている。
ハクは異世界の屋台料理のうまさにも驚くことになった。
あまりのおいしさに5分もすれば丼は空になってしまった。
ごみ処分してまた一同は歩き出す。
天井が少し高くなってくると今度は普通のお店みたいなのが増えていく。雑貨、服、簡素な家電、魔法具、武器といったお店たちだ。今まで来た国のどの店とも違い、どうも秋葉原の裏通り的なアンダーグラウンド感がある。取り扱っている商品はどれも安い、だが見るに粗悪品というわけではなさそうだ。中にはそういうものも混ざってはいるが。
どうも貿易国というだけあり、この国にあるお店、商品は総じてクオリティが高いらしい。エルミラは服を欲しそうに眺めている。
「まだ時間はあると思うから見たいところがあったら、ジャンジャン行ってくれ。」
「それでは行ってくる。」
エルミラが一瞬で消えた。正直こういった一目の多いところで人外の速度で動かないでほしいものだ。
「お客さん。」
エルミラが言った店とは別の店から声を掛けられる。
「今の動きを見るに只者じゃありませんね。どうぞ私の店をご覧ください。お求めの商品をそろえさせていただいています。」
声をかけてきた男の後ろにあるお店を見てみると、暗器屋と書いてある。
「いや、殺し屋ではないので結構です。」
あまりのエルミラの速度に暗殺者だと思われてしまったようだ。
「そうですか、機会があったら是非見てくださいね。」
そういうと店主は店に戻っていった。おそらくあの店に足を運ぶことはないだろう。
服屋の外から見ると、エルミラが3人くらいに見えるくらいの速度で服を物色している。服屋の店員もその様子を見て唖然としている。
どうもこの店はいわゆる古着屋で、いろいろなビンテージの服が売っている感じだ。
とりあえず、待っていても暇なのでハクも店に入る。
そしてそれはその瞬間に起きた。ハクが入店した直後にいつの間にか、試着室らしき場所に押し込められていた。
もちろんハクはエルミラの速度を目で追うことができるので、それがエルミラの仕業だということはすぐに理解できた。
それでも入店直後で少なからず動揺して、エルミラの思うがままにされてしまう。
次々に勝手に入れ替わっていくハクの衣服。エルミラに一瞬で着替えさせられているようだ。
それが終わると次々にレジに洋服が積みあがっていく。どうも着替えさせられたうちどれかはエルミラが気に入ったものだったようだ。
数分後、エルミラの動きが停止して、ハクに声をかけてくる。
「次はノイルを呼んできて。」
「はい。」
ハクは素直にお店を出てノイルに声をかける。明らかにノイルは嫌がっていたが、それでも仕方がなく入店する。そしてまた瞬間移動みたいに消えて試着室に押し込められる。
「エルミラと服屋に来るといつもこうなのか?」
「そうだぞ。ノイルはエルミラの着せ替え人形とかしているぞ。」
ハクは世界最強の獅子の有様に頭を抱えた。
エルミラの買い物は数十分にもおよび、ようやく終わりを迎えた。
ハクは少し疲れた表情で一同に告げる。
「それじゃ今日はもうホテルに向かおうか。」
疲れてしまったハクは今日は素直にホテルに行って休むことにした。
なるべく中心部に向かいつつ、それなりのホテルに泊まることになった。
ちょこちょこ、奴隷商を探したがそれは見つからなかった。明日からは聞き込みをはじめ、魔導書、奴隷少女を目的として本格的に活動開始だ。
新しく小説書いています。
もしよろしければこちらもよろしくお願いいたします。
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【king G】~神で魔王な俺は同時にGでもある~
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