帰宅なーの?
「といってもこの亡者たちは戦いはしない。安心するといい。」
バルドはそういうと亡者たち一人一人に手をかざす。
「我が力となることを許可する。」
するとダーク・ゲートから出てきた魔人たちはすべてバルドの手の中へと吸い込まれていった。
そしてバルドから可視化できるほどの黒いオーラが立ち上る。
「こうすると俺は亡者がいる限り無限に力を得ることができるわけだ。」
バルドはにんまりと笑っている。
「なるほどそれは強そうだな。」
特に興味もなさそうにハクはから返事をする。
「さてお前も適当にパワーアップしたらしいし、トレットも来たから今度は万々俺から仕掛けていくぞ。」
ハクはまたバルドの正面に一瞬で瞬間移動し接近戦を挑む。ハクはバルドが魔法を得意とする戦士だと考えていた。
すぐさまバルドに連続で拳を放つ。だがバルドはそれを器用にかわして、ハクから距離をとりつつ魔法を使い始める。
「近距離でウロチョロされるのはうざいな。【ダーク・ブラスト】」
バルドの闇属性初期魔法がハクに放たれる。広範囲に広がる魔法でハクをけん制する。
ハクは漆黒の右腕を前にかざすと鉄壁を張る。
するとバルドの魔法はそのシールドにはじかれた。
「随分固くなっているな・・・。攻撃があったった感じでわかる。」
ハクはその防御力を確認するように右手を握ったり開いたりしている。
「その装備をしてからお前は随分と力を上げているようだ。」
バルドがまたハクの方へ指を突き出すと、その指が一瞬ピクリと揺れる。
「ふむ・・・なるほど、お前を殺してその装備を奪いたかったが、これはこれで仕方あるまい。」
バルドはそういい残し唐突にその場から瞬間移動して消えた。
「・・・!?完全に魔力反応が消えた・・・。」
ハクが辺りを見渡すがバルドの反応はもうそこにはなかった。
「完全にいなくなったっすね。」
ティナにも感じることができないらしい。
「それにしてもあれが魔人っすか・・・。以前うちが戦った奴よりだいぶ強いっすね。」
「それには俺も同意見だ。かなりの力を持っていたなあいつは。」
「そうだな・・・、我がインベスティガもっと力を蓄えなくてはとても魔王と戦うことはできない。」
エティエンヌが非常に深刻そうな顔をしていた。
そう、バルドが使った魔法はどれも初級から中級の闇属性魔法だった。全力をほとんど出していない可能性が高かった。
「いずれあいつとも決着をつける時が来るのか・・・面倒だな。」
ハクはまた天井見上げてうめく。
トレットがハクから解除され犬の姿に戻る。
「ふむ、とうとう俺も瞬間移動ができるようになってしまったぞ。」
トレットはにやけながら後ろ足で頭をかいている。
「それはそうだがこの世界転移魔法が禁止されているんだろ?こういう戦闘の時は仕方ないとしても、普段使いできないからな・・・。」
ハクは無能を見るような目をトレットにジトーっと向けている。
「おいおいハク君そういう見方はやめてほしいぞ。」
「おいおいトレット君ごめんよ。」
二人は最近マイブームのやり取りを繰り返す。
「今日はもう遅いから眠ろう。」
リアムのこの提案にのり全員その日は眠りについた。
次の日の朝、ハクは夢の中でうなされていた。
何かがずっとお腹の上に乗り、重しをかけてくる謎の夢を見て。
ハクは一気に覚醒した。すると自分が寝ている布団の上にツタンカーメンのようなポーズをしたティナが眠いっていた。
ハクは無言で布団ごと、ティナを床に落とした。だがすやすやと眠ったままだ。
「悪夢見たよ、お前のせいで。」
ハクは一通り準備を済ませると、トレットも目を覚まし、頭をかいている。
「トレット、最近ありえないくらい頭かいてるけど、ノミでもいるのか?」
「可能性はある、ハク毛づくろいしてほしいぞ。」
ハクの朝の仕事は決まったようだ。
ベッドに戻り、胡坐をかくと、そこにちょこんとトレットが座る。
ハクは早速毛づくろいを開始した。
「おいおいトレット君本当にノミがいますよ。」
「おいおいハク君、とっておくれよ。」
ハクはひたすらノミとりを続ける。
すると少ししてティナが目を覚ます。
「ウガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
ティナは雄たけびを上げると、ベッド事ハクを天井に吹っ飛ばした。
ドスンという音とともにトレットとベッドが落ちてくる。トレットはかなり驚いたのか、なんかハフハフ呼吸をしている。
「う~ん、おはようっす、ハクさん。」
ティナは寝ぼけているのかまだ目をこすっている。
だがティナがいくら周りを見渡しても、ハクの姿はない。
「ハクさん?」
「ハクなら、天井に刺さってるぞ。」
トレットの話を聞いてティナが天井を見ると、そこに突き刺さってぶら下がるハクの姿があった。
「私はついに人を殺してしまったんすか?」
「あれぐらいじゃ死なないと思うが、なんか可哀想だから抜いてやってほしいぞ。」
ハクはいまだに天井に頭が刺さり、ぶら下がままだ。体のどこにも力が入っていない様子で天井からただぶら下がっている。
「そうっすね、本当寝相が悪くて申し訳ないっす。」
天井に刺さったハクはなんとなく泣いていた。




