飛行船で移動なーの
またティナはエティエンヌに部屋に呼ばれていた。
「飛行船をチャーターできた。ティナはドラゴンを問題なく倒せるか?空中戦になってしまうが。」
「余裕っすよ。うちからしたらドラゴンはトカゲっすから。」
自信満々のガッツポーズをとるティナ。
「それならば飛行船で行こうか。」
エティエンヌは飛行船の画像とデータを見ながらどれが適切か選んでいる。選択肢はそれなりに多いようだ。
魔法による空中停止ができる飛行船を選んだ。おそらく、というか歴史から見ても空中移動をしようとすればドラゴンが絡んでくるだろう。ドラゴンと交戦する場合速度ではかなわないので、ティナの戦闘中空中で停止していなければならない。
「これなら一日かからずにつきそうだな。」
一番ネックの移動が簡単に終わりそうでエティエンヌは安心した。
「それでは今日の会議は終了だ。」
ティナは退出した。
部屋に残ったエティエンヌは事務処理を済ませている。ここまでの巨大組織の長ともなると、それなりに事務処理にも時間がかかる。
これはエティエンヌの主義の話だが、なるべくインベスティガが現在請け負っている任務はすべて把握しておきたいので、格部署長たちには請け負っている任務を全て紙で提出してもらっている。
規模から考えればこの管理法はありえないことだ。
どんなに組織が大きくなってもこれだけは変えないことにしているエティエンヌのルールだ。
おかげで睡眠時間は削られるし、ほとんど自分の時間もない状況だが。
余談だが組織に所属するすべてのメンバーの顔と名前を一致させ覚えている。
ようは馬鹿まじめすぎるのだ。
エティエンヌは今日も電話する。
「もしもし、アリアか?そっちに異常はないな。」
「エティエンヌ会長、こちらに異常はありません。リアムは今も落ち着いています。」
「そうか、我々は明日の夜にはそちらに到着する予定だ。」
「了解しました。」
電話を切った。
そしてパソコンを見る。
そこには一通のメールが入っていた。
-どうも、私はイズラのリアムだ。君からしたらかなりタイムリーな人物だろう。もしも私のところに来る場合はハクという男もつれてきてほしい。ただあの男は一筋縄ではいかない、男だからお気をつけて。-
メールの文面はそれだけだった。
正直、エティエンヌはどうやって自分の連絡先を調べたのか非常に気になった。だがそれよりもこのハクを連れて来いということ、未来予知レベルの情報網。その価値についてまた考えていた。
もしもインベスティガが制御できた場合想像を絶する利益になるだろう。
「確かにあの男は厄介だ。直接行くしかないだろうな。」
エティエンヌは面倒くさそうに天井を見上げる。
そして眠りについた。
次の日の朝。
預かっていた真の電話に一本の電話がかかる。
もちろんそれはハクだった。
エティエンヌはおすすめの病院を紹介し、そこで待ち構えていることにしていた。
ちなみにティナはもうすでに飛行船に乗っている。
ハクが病院に到着したのは12時を過ぎていて、このままでは夜にイズラに着くことは難しい。
ハクがお腹を抱えつつ病院から出てきた。
「腹が痛すぎるが自業自得か・・・さて・・・どうするか。こころ辺りはあるが、この体調で運転していくのは難しいな。」
「ハク殿、昨日ぶりだな。」
ハクが病院から出ればそこに、エティエンヌがいる。
「どうも、どうしたんだ?」
「ふむ、今日はイズラに視察に行こうと考えていたんだが、昨日リアムから連絡があって君を連れて来いといってきたんだ。」
ハクは首をかしげる。
「リアム・・・が?」
ハクの頭は光速で回転している。この未知の毒をリアムならその日中に解毒剤を作ってどうにかできるのではないか・・・と考えた。
「その話のった。いどう手段は?」
「飛行船をチャーターしてある。」
「飛行船?ドラゴンがいるからこの世界には存在しないのでは?」
「作ってはある。ただし、ほとんど使われていないだけだ。」
「なるほど・・・。」
ハクはすぐに車に乗せられた。長いリムジンだったが、容赦なく詰め込まれる。
「知っていると思うが俺はかなり、腹の調子が悪い。あまり雑に扱われると、腹の中のテロリストが暴れまわるかもしれない。」
「何を言っているのかわからないが、とりあえず飛行船の中は揺れが少ないから安心してほしい。」
「わかった。」
ハクはリムジンに揺られてしばらくたち、飛行船までたどり着いた。
「凄いな・・・これが飛行船か・・・。」
ハクは飛行船を見上げた。
普通のファンタジーゲームの限界は飛行船だろうと思いきや、なんとなく丸みを帯びた形状で、地球の物とは形状がまるで違う。
「早速出発しよう。だいぶ出発時間から遅れている。」
エティエンヌはさっそうと飛行船に乗ってしまった。
ハクもそれに続く。
すると飛行船の中には見慣れない少女がいた。
「うっす。うちティナっす。」
ハクが乗ることは事前にティナに伝えてある。
「お、おう、俺はハクだ。」
かなり癖の強そうな少女だと思い早速あまり触れないでおこうとするはく。
適当な席に着いた瞬間、隣にティナが座ってきた。離陸が近づきシートベルトを締める。
他の席に移動することは不可能だった。
「するっすね。強者のにおいが。」
隣でティナがスンスンしている。
「嗅ぐな嗅ぐな、何してんのきみ?」
ハクがギョッとして隣を見ている。さらに奥を見ればアイマスクをして、エティエンヌが爆睡していた。
乗車してからまだ5分ほどしか立っていないのに、いつの間にか眠っていた。
そんなハクの様子を見てかティナが口を開く。
「道中でドラゴンが来るかもしれないいっすよ!ガオーッって!」
わざわざポーズまでしてくる。
「ドラゴンか、といっても移動するだけならなんの問題もない。【ゼウス・ヴァキオ】」
ハクは飛行船に手を置いて魔法を使う。これでこの飛行船はこの世にあって次元だけずれている状態になった。今回はステルス状態にしてある。
「音とかも全部消したからドラゴンが来ても特に問題は無い。」
「・・・え?」
ティナは疑問気にしている。そのままハクも眠ってしまった。
ハクが言っていたことはどうも本当の事らしく、特に何も起きずに飛行船は進んでいく。
ティナは想像以上の退屈さに、自分も眠ることを選択した。




