沢山の点が線になるってよ
「ハク、私たちの今日の報告を聞いてよ。」
エルミラはなぜかニコニコしながらハクに今日の報告を始める。それに対してハクの顔は難しい表情をしている。それは調査機関に所属する謎の女性とあってから変わらない。
エルミラの報告は進む。そしてその中に気になるものがあった。それは電脳少女ZEROでも代表の家にあったPCでもない、代表の家に誰もいないという点だった。もちろんそれ以外の情報も今後に役に立つのは間違いないが。
「みんな情報収集ありがとう、非常に助かったよ。とりあえず、明日はみんな自由にしてもらって構わない。あとこれをどうぞ。」
ハクは携帯電話をみんなに配る。今日の調査の空いた時間で、携帯電話を買っておいたのだ。今までは別にこの世界に知り合いなどがいないし、その必要もなかった。だから購入していなかったが実はエルミラは携帯を持っていたりする。それでシルエラとたまに通話している。だが、今回はエルミラの分も新しく購入している。それはなぜかというと軍役時期の癖で、そういう極秘譲歩を扱う電話として別に使用してほしかった。もちろん公開して困る連絡などはほとんどしないと思うが。そして携帯はスマートフォンタイプのものだ。
「とりあえず何かあったら連絡するから持っていてほしい。」
「わかった。」
「おいハク、俺携帯渡されても使えないぞ。」
トレットが抗議をしてくる。
「電話は使えるだろトレットなら。そのうち別行動することになるかもしれないし、持っていてくれよ。」
「わかったぞ。」
スマートフォンタイプなら簡単に操作できるので、最低限犬の手でも使用することができる。
夜になり、ハク以外の仲間は眠りについたようだ。そしてハクはそこから行動を開始する。ハクは先ほどのエルミラの報告で気になった点を調査する為に夜間に外に出ることにした。
エルミラが言っていた代表の屋敷には誰もいなかったという点。俺の予想が正しければ、代表は夜も家にはいないはずだ。
ハクは代表の家に着いた。
「トレットついてくるならちゃんと一緒に行かないか?俺自身トレットがいてくれるのは嬉しいしさ。」
「そうか、さっきエルミラの報告を聞いた時の反応がおかしかったから。よるハクの気配に気を付けて、寝ないでいたんだ。」
トレットはハクの後ろでお行儀よくお座りしている。
「【ディオス・ヴァキオ】」
ハクは自分とトレットの両方に魔法をかけた。
「それじゃぁ潜入開始しようか。」
ハクは代表宅に潜入を開始する。ハクは代表の家に入ると、迷いなく報告にあったPCの部屋に向かう。
「あれ?家に誰もいないみたいだぞ。夜は流石に帰宅していると思っていたんだがな。」
「それはそうだろう。おそらくはこれは代表の家とされているものだな。本当の家ではないんだよ。」
「・・・?よくわからないがそうなのか?」
トレットは首をかしげている。
そして特に何事もなくハクはPCのある部屋にたどり着き、そしてPCに近づく。
「【トレース】」
ハクは病院の謎のPCに使用した魔法を発動する。半透明な白い触手がPCのケーブル差込口に挿入される。そしてまたPC内の情報がハクの脳内に流れていく。
今回の映像の最初は少女が真っ白な部屋にいるところから始まる。そう、爺さんの孫だ。部屋の真ん中にある、椅子座っている。頭の中で椅子の女の子に集中すると、その女の子の手には拘束具のようなものがされていて、動けないようだ。そしてその映像の中で声がする。『実験番号101失敗、死亡を確認しました。』、そして映像はちょうどそこで終了していた。PC内には他に情報といえるものはなさそうだった。
「・・・。」
ハクは音声を聞いて無言で、また思考を巡らしているようだ。だが、悲観的な表情はしていない。ハクの考える様子に気を使ってトレットも静かにしている。
10分ほどたち、ハクのシンキングタイムは終わったようだ。
「すまないトレット待ったか?」
「気にするな。それにしても今の魔法はまさかPC内の情報を見る魔法なのか?いつの間にかそんな魔法を覚えたんだ?」
相変わらずお座りをしているトレットにハクは部屋の中で立ったままだ。
「正確には違うんだが、これは人の魔法をまねる魔法だよ。もちろん無属性魔法に限るけどね。」
「そいつはすごいぞ。いつの間にかそんなことができるようになっているとは、相変わらずすごいな。」
「トレット、話は少し変わるが今日はもう少し、行きたいところがあるんだ。」
「わかったぞ。」
そうして屋敷を出るハク。ハクの魔力は無制限なのか、魔法はかけられているままで移動をし始める。目的地はわからない状況でもトレットは素直にハクに着いていっている。
今回の目的地はホテルだ。そしてハクとトレットはホテルに着く。
「なんで急にホテルに来たんだ?」
トレットはまた首をかしげると、不思議そうにハクに聞いた。
「それはな、やっぱり放置できない気になることが先ほどの映像でできたからだ。」
そしてハクはすたすた歩いてホテルの部屋のある一室に入った。
「おいっすー。ちょっといいか?」
「えッ!?」
グラサンを変えたスーツの女性が驚きながら振り返る。
「どうしてここにいるんだ?」
「最初に君を追っていた時点で、このホテルのこの部屋に君のどくどくな魔力のラインが、大量に集中しているのがわかっていたからな。ここが君の行動拠点だとすぐにわかったぞ。」
「だからってこんな夜更けに急に、それも勝手に扉をすり抜けて入ってくるなんてどうかしているぞ。」
「俺が正攻法でこの部屋に入ろうとしても君はきっと逃げただろから。」
「・・・。」
女性は図星だったのか、目を見開きその後ため息を一つくと、部屋のソファに座った。
「まず最初に聞いて置きたいんだが、君が調査機関の人間であることは本当なのか?」
「ええ、本当。」
「そうか・・・。色々あったんだろうが、聞かせてくれ、君は実験ナンバー何番なんだ?」
女性はまた目をまた見開くと、あきらめたように話し始める。
「そう、そこまでばれてしまっているの。ならもう隠しても無駄ね。」
先ほどハクたちの部屋に侵入したときのようなとがった口調が取れ、非常に女性らしい口調になった。
「私は実験ナンバー、という枠組みで解除されていないわ。しいていうのであればオリジンっていうところかしらね。」
「・・・なら君にはイライジャ・ホートルというおじいさんがいたりするのか?」
女性はまた目を見開くと、今度少しだけ前かがみになり急かすようにハクに質問をする。
「おじいちゃんを知っているの!?どう?元気にしていたの?」
ハクは急な女性の態度の変貌に驚きつつもしっかりと返事をする。
「元気そうだったよ、彼に頼まれて、君を探していたんだ。」
「そうなの?おじいちゃんったら、相変わらず優しいのね。」
女性はうつむく。
「改めて聞かせてほしいんだが、君の名前は?」
「私の名前はアリアよ。アリア・ホートル。」
「そうか、ここからは俺の想像と、推理を合わせたようなものなんだが、聞いてくれ。まず話は君のおじいさんが入院するところまでさかのぼった方がいいだろう。あのおじいさんが、5年も入院できていたのは君のおかげだろ?そして君はそこでこの国の代表に声を掛けられる、こんな小さな島の人間が払うことのできない5年もの入院費を稼いでみないかと。」
「ええ、そうよ。あの時は本当に焦ったわ。大好きなおじいちゃんが急に入院するんだもの、それで入院費用が払えずに困っていたら、突如あの男が現れた。もちろん私はあの病院からおじいちゃんが出れたなんて知らなかったわ。当初は入院期間は未定だったのよ。」
「そして君はある実験に使用された。それがクローンの作成だろ?」
女性はここでまた目を見開く。
「驚いた、まさかそこまでわかっていたの?」
「そうだね。ついでに言えば代表がいる場所も感づいているよ。」
「そこまでばれているのなら、もう何を隠しても無駄ね。あなたはいい人そうだから、巻き込みたくなかったんだけど。」
女性はゆっくりとサングラスを外す。すると女性の目は右目が黒色、左目が義眼なのがよくわかった。そして義眼の方にゆっくりと手を当てる。
「そうね、あの男に声をかけられて、私を迷いなくついていったわ。おじいちゃんを助けるには他に手がなかったの。あの男に提案された時は本当にうれしかったのよ、これでおじいちゃんを助けられるってね。本当に嬉しかったわ、でもこんなことになるとは思いもしなかった・・・馬鹿よね。まずあの男はこの国を発展させるには一番足りないもの、人手をある本を使用して私をもとに増やしたわ。あんなことができるなんて私は本当に知らなかったの。もともとあの男は天才で、人手を手に入れてからありえない速度でこの国は発展していったわ、文字通り驚くほどにね。」




