とりあえずカンタレラに向かうとするか
ハクとエルミラそれにマーダスは今眠っているところだ。あれからハクは無事リドルスを地上まで降ろすことに成功した。だが、ハクも体力の限界であり、そしてそれはエルミラもマーダスも同様だった。
空の書は先ほど回収し終えたところだ。もともと空の書が入っていたケースに戻すと、空の書は外部に影響を及ぼさなくなった。ちなみに、なぜ空の書の入っていたケースが判断できたかというと、宝物庫で魔力を確認したところ、唯一魔力が残っていた箱があった。そしてその魔力をより詳しく観察したところそれが空の書のものと同じだったのでそれをそのまま使うことにした。これはハクが眠るまでに、エルミラを一度治癒した後行ったことだ。
だが今、水面下でもう一つ問題が起こっている。それはハクが取引をしたドラゴンがまだリドルスにいることだ。そして現在ハクたちはリドルスの王城前で眠っており、そこにドラゴンの群れが集まっている。現状起きているのはトレットとシェノセィーディオだけだった。
「久しぶりだな、イレオン・ドラド・ノイル。」
赤竜の長は少しだけ疲れた様子で、シェノセィーディオに話しかける。トレットはそれをあまり興味なさそうに伏せの姿勢で見ているだけだ。
「久しぶりだね。元気してた?」
シェノセィーディオは相変わらずごつい見た目とは裏腹に、気さくで明るい感じで答える。
「今はあまり元気ではないな、そこで眠っている男に倒されたあと、挙句の果てにこき使われたからな。正直久々に疲れたし、何よりも人間にいいように負けたのは、本当に久しぶりだった。」
「それはそうだろうね。君ほどの竜が人間に負けるなんてまずないだろうしね。」
「ふむ、それに何よりも清々しくも口惜しかったのは、この男がこの我に対し全力を出さなかったことだ。まさか一生で、人間如きに手加減される日が来るとは思いもしなかった。」
「はっはっは手加減されちゃったの?いやはや彼の戦っているところは見たことはないけどそこまで強いとわね。これはそのうち戦ってもらわないといけないな!」
「相変わらず元気そうだな。」
赤竜は相変わらず疲れた様子で答える。
「う~ん・・・。すこし寝ちゃったみたいだな。」
ハクが目を覚ます。そしてそこで会話をする竜と、シェノセィーディオを見る。
「なんだ?お前ら仲良しだったのか?」
「仲良しというほどではない、たまに会えば会話する程度の関係だ。」
赤竜がハクに目を合わせる。
「冷たいこと言わないでよ~。僕だって傷つくんだぜ。」
ハクはシェノセィーディオを冷たい目で見る。
「人間にそんな目で見られたのは生まれて初めてだよ。興奮するね!」
ハクと赤竜とトレットはシェノセィーディオを冷たい目で見る。
「ふむ、それより人間よ、一つ頼みがあるんだがいいか?」
「俺の名前はハクだ。そっちは?」
「む?我の名はドラゴ・レドラン。」
「それで頼み事ってなによ?」
「ふむ、戦った時から思っていたが、お前には相手が何かとかの概念はないのだな。竜にすら対等に接するとはな、面白い奴だ。」
「命に大小をつけるのは好きじゃないんだ。昔の経験上命の価値は結局すべて同じに思えたんでね。」
「そうか、それで頼みごとについて何だが・・・」
--2時間後--
ハクたちは車で移動していた。リドルスを出る前にローレンツに会わなくてもいいかマダースに聞いたが、会わなくてもいいそうだ。今回の一件の後マーダスはリドルスに移り住もうとしているので、いつでも師匠には会えるだろうとのことだ。そうして一同は現在カンタレラに向かっている。
シェノセィーディオはそれなりに体が大きいのでそのまま車に乗ることはできない。この車はもともと5人乗りなので、マーダス、エルミラ、トレットが座っているともうスペースはほとんどない。今はどう考えても落ちるのではないかと思われる、車の屋根の上で横になっている。
余談だがエルミラはあれから眠り続けている。そしてマーダスも一度目を覚ました後また眠りについてしまっている。




