とりあえずリドルスを降ろすとするか
エルミラはイザベラとの戦いを終え、マーダスのもとへ向かっていた。雷の如き超高速で、宝物庫までかける。そしてほとんど時間もたたず到着し、宝物庫に侵入する。
「これは?すごい、金銀財宝が浮いていますね。」
部屋に入ると、そこには幻想的な光景が広がる。
「やぁエルミラ君、結構な重症じゃないか、あまり動かない方がいい。」
マーダスがエルミラを観察すると、それなりに重傷を負っていた。
「私は今手が離せなくてね、君を治療してあげたいが今はリドルスを浮かせるほうが最重要項目なんだ。」
エルミラは自身にかけていたライトニング・カムイを解いた。
「リドルスを浮かす?」
「そうだね、まずは事情を説明しようか。」
エルミラはマーダスから今起きていることを聞く。
「なるほどだから先ほどハクさんとあったんですね。正直幻覚かとも思いましたけど。」
エルミラはふらふらと壁際まで歩くと、そこに横たわるようにして座る。
「それでは私はいったん寝ます。流石に・・限界です。」
「君が限界なのは察するが、正直ハク君が失敗したときのことを考えて作戦を立てて起きたい。最悪の場合二人でこの事態をどうにかしないといけない可能性もある。」
「いや・・・その必要はありませんよ。ハクなら・・・大丈・・夫。」
エルミラはそのまま眠りについてしまう。
「やれやれ、私はまだ彼とはそこまで付き合いが長くないので、あんまり信用できないんだが、それでも信じて待つしかないか。」
先ほどから魔力で島を浮かしている状況だが、その限界ももう近い。マーダスもかなりの魔力量を保有しているが、リドルスを長時間浮かせるほどの魔力は有していない。
「お待たせしますた。」
扉の向こうから無傷のハクが現れる。
「え?ハク君どう見ても傷一つ追っているように見えないんだが、それってもしかして失敗したのか?」
「え?いや普通に戦ってきたけど。」
「でもどう見ても傷がないんだけど。まさかドラゴンの量がそれほどでもなかったとか?」
マーダスは魔導書に魔力を通すことに必死になっているが、それでもハクに疑問をぶつける。
「群れで来たよ、すごかったんだからもう。でもそれでも緊急事態というか、あんまり芳しくないかも。」
「緊急事態とはなんだ?」
マーダスはハクにまだまだ聞きたいことが山ほどあったがいったんそれらは放置し、緊急事態について言及する。
「いやさ、途中でこっちの都合で竜を呼んでそれを大量虐殺するのかわいそうになっちゃって。まぁそれでも竜から魔力をもらってきたけど、たぶんこれでもまだ魔力が足りない・・・。」
余談だが、通常群れの竜から魔力を一人の人間が受け取ることは不可能だ。ハクが行っている技術を説明すると、竜から受け取った魔力を自身に取り込むことはせずに周囲に循環させ続けている。
「でもまぁたった今できた作戦があるんだが、それにかけてみようか。」
「なんだって?」
「まぁそれが成功するには、まずはお前に姿を見せてもらわなきゃいかないわけだが。」
のっそ、のっそと音がなる。そして黒色のライオンが姿を現す。
「ばれちゃってたのか。さすがに君は面白いね。」
「シェノセィーディオ!?」
マーダスは驚いた様子だ。だがハクは魔力の流れを常に探っている状態のためにそこまでは驚かない。
「なぁお前、力を貸してくれないか?このままじゃここ落ちそうなんだ。」
「それ僕もわかるよ、でも無料じゃなぁ~。」
ライオンはけらけら笑いながら告げる。
「なんだよ、とりあえず何が目的か言ってみてくれ。俺としては正直お前とは戦いたくはない。それ以外で頼む。」
黄金の瞳がハクを見つめる。
「僕を君の旅に同行させてくれないか?最近退屈でね、君のそばなら退屈しなさそうだしさ。もちろん君の旅に同行する限り、人間のルールに合わせるしそれなりに君の言うことを聞く気もあるよ。」
「なるほど、OKわかった。その条件でいいならこっちも願ったりかなったりだ。正直なんでそうなるのか気になるところだが今は一刻を争うしな、力を貸してくれ。」
シェノセィーディオはハクにのそのそと近づく。
「それじゃぁ、リドルスをゆっくり降ろすとするか。ちゃんと力を貸してくれよ。」
ハクは魔力の操作をマーダスから引き継ぐ、そしてゆっくりと魔力を魔導書と循環させ、コントロールし、この巨大浮島を降ろす。
「おいおいハク君結構揺れているけど大丈夫かねこれ!?」
「う~ん、今集中しているから話しかけないでくれ。」
さすがのハクでもここぞとばかりに集中力を高める。
このコントロール意外と難しいな。そもそも真理の魔導書を扱っているんだから当たり前と考えなきゃダメなのか。でもまぁ俺が下手って方が説得力あるな。空の書を無事手に入れたら練習してみるか、今後も似たようなことがあるかもしれない。
徐々にリドルスは地上へと降りていく。雲を潜り抜けリドルスがゆっくりと地上へと降りていく。その様はどこまでも幻想的であった。
「くぅ~~面倒くさい。これは結構面倒くさいぞ。」




