とりあえず魔人と戦うとするか
「フェリナスお姉ちゃんこの女邪魔だね。食べちゃおう。」
ケタケタと嗤いながらファリナスは残酷な提案をする。
「あらだめよファリナス、勇者はしぶといんだから丁寧に丁寧に苦しめて殺さなくちゃ。」
ケタケタと嗤いながらフェリナスも残酷な訂正をする。
エルミラは戦闘が始まってすぐに全力で黄金の剣を振り切った。その結果2体の魔人は王城を貫通して吹っ飛んで行った。だが追いかけて外に出てみれば、二人の魔人は無傷だった。いつのまにかエルミラは町中まで戻っていた。
「あら、あなたその剣はヘルゲイルのものじゃない。彼やっぱり死んじゃったのね、弱いのに調子に乗って一人で行くから。あなたが倒したの?」
フェリナスはエルミラの手元の黄金の巨剣を見つめながら言う。
「倒したのは私じゃありません。むしろ私は殺されかけましたから。」
「あらあら聞いたかしらファリナス、そんな実力で私たちに挑もうとしているようよ。」
「お姉ちゃん、早く殺しちゃおうよ。この女どうせ弱いよ。」
「言ってろ三下魔族、私の本来の力を見せてやりますよ。」
「アハハッ!!!!!!」
急に笑い出したかと思うと一瞬でファリナスが消える。気づいた時にはエルミラはファリナスに背後を取られてしまっていた。すぐさま後ろを振り向き、黄金の巨剣でファリナスの突き出した手刀を防ぐ。いつのまにかファリナスの黒い爪は30㎝ほどまで伸びている。剣が爪にあった感触からして、この黄金の巨剣と同じかそれ以上の硬度を持った爪であることは間違いない。
「【ダークネス・アビス・オールダーク】」
いつの間にかどこからかフリルのついた短めの傘を取り出し、それをこちらに振るようにして呪文を唱える。明らかに触れたらただでは済まなさそうな真っ黒なオーラがフェリナスから放たれる。
「【ライトニング・オーバーブラスト】!!!!」
エルミラから雷の奔流が圧倒的な勢いでフェリナスの魔法へ放たれる。暗黒のオーラはエルミラの魔法の前に散るように消え去った。
「あらあら淵属性の魔法を相殺されてしまったわね。雷属性ならでわね。」
一瞬そなことを言うフェリナスに気を取られた瞬間、ファリナスの爪がエルミラに襲い掛かる。何とか黄金の巨剣で応戦するエルミラ。だが巨剣一本ではファリナスの爪に完璧に対応することができない。徐々にエルミラの体に切り傷が増えていく。
「【ライトニング・ボルテックス】!!!!」
ファリナスの周りに円を描くように雷の竜巻が起こる。
「ああああああああぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁ!!!!!!!!」
ファリナスの断末魔が響き渡る。魔法は直撃したようだ。雷の竜巻が終わると、ファリナスの黒焦げの死体が不自然に血をまき散らしながら出てくる。
「【ダークネス・アビス・ブラッドリバース】」
フェリナスが呪文を唱えると、ファリナスの周りに不自然に飛び散った血が、ファリナスに戻っていく。そして見る見るうちにファリナスの傷が回復していく。まるで逆再生を見ているようだった。
「お姉ちゃんやっぱり光属性の魔法は痛いよ~~~。」
「あらあらファリナス。どうせ私がいれば死なないんですから、いいではないですかそれで。」
ファリナスは少しだけ首をかしげるとまた笑い出す。
「アハハッ!それもそうだねお姉ちゃん。」
「でも私の妹がかわいそうだから少しだけ本気を出してあげるわ。【ダークネス・アビス・ブラッドドレス】」
ファリナス、フェリナスの体から血が不自然に飛び散ると、今度はその血が二人に張り付く。見る見るうちに二人のゴスロリドレスは赤黒い色に変わり、不自然な光沢をもったものに変貌した。
「【ダークネス・アビス・ブラッドクロウ】」
ファリナスの長い爪が黒色から赤色に変化し、触れるだけで命を取られそうな危なげな印象を受ける。
「アハハッ!!!お姉ちゃんとばすね。これじゃすぐに勇者死んじゃうよ。」
「あらあらファリナス、それは脆弱な人間が悪いのよ。」
「ふーーーーーっ。」
エルミラが大きく息を吐くと気合を入れなおしたように堂々と宣言する。
「さっきから気になっていましたので冥途の土産に教えてあげます、私の名前はエルミラです。これはあなたたちを消し飛ばす勇者の名前なので覚えておいてください!!!!。」
物騒なことを宣言しながらエルミラが改めて黄金の巨剣を正眼に構える。
本格的な戦闘が始まろうとしていた。




