空にはいけそうらしい
「一つだけ確認しておきたいことがある。結局コーヒーのベルガとドルガって何だったんだ。」
「ん、あれか?地球には確かになかった気がするな。あれを説明するにはそもそもこの世界のコーヒーカップの仕組みから説明するぞ。この世界のコーヒーカップは層で分けられていて、内側の層、外側の層、間の層となってるんだ。で本題に戻るんだが、ベルガとドルガってのは内側の温度が冷たいか、あったかいかを表しているんだ。長く冷たい状態で飲みたい場合は、内側を冷たく、その逆もしかりだ。この方式のカフェの優れているところは内側を冷たく、飲み物をホットで入れることによって、はやく温度が下がるんだぞ。そうすることによって程よい温度を保っているんだぞ。」
「なるほどな、この世界はコーヒー一杯にも温度調節したり全力だってことか。」
この異世界はギルドといい変なところをこだわっている。簡単に言ってしまえばおっさんのロマンを追究している節がある。単純にこだわりの強い人間たちが作る世界なんだろうけど。
「ふふふん、そういうことですよ。」
なぜかこのタイミングでエルミラが誇らしそうに笑う。
「それにしてもコーヒー屋の店長さん何者だったんでしょうか。」
「そうだな・・・。」
あの店長は結局空への行き方も教えてくれた。空島は【リドルス】という土地らしい。俺としてはこの世界の技術力ならば、飛行機や、ヘリコプターで行くことができるのではないかと考えていたが、実際はそうではないらしい。空に行くと、そこには異世界らしくドラゴンが飛んでいるらしく、かなりの確率で襲われるらしい。昔から空を制しているのはドラゴンで、それをうまく避けてバスなどで人間は移動しているらしい。
では店長はどういう方法を提案したかというと、これには店長に昔の話をしていた祖父が重要なことを話していた。まずリドルスはもともと鉱山を生業とした土地だった、そしてもともと住む種族はドワーフだったらしい。ただ鉱山から国を建てられる箇所まで少し距離があった、人が歩こうと思えば歩けない距離ではないが、ドワーフたちは体が小さくそれに比例して、足が遅かった。そのせいでこの地味な距離でもとてつもなく作業効率が落ちる。そこでドワーフは自国の財政を強固にするために考えた。優秀な魔法士にお願いして、自国と、坑道をつなぐ移動型転移魔方陣を制作してもらおうと。だがそれは魔法士に断られてしまった。
そもそもが移動できてどこにでも一瞬で行ける転移魔方陣など危険だ。この世界では国の警備面を考慮し、緊急時以外は転移を禁止している。それは世界協定で協議されたことらしい、つまりそれを覆すのは無理だろうと考えられてた。だがリドルスからとれる鉱石は世界規模で考えても希少で利用価値があり、それを十分に考慮したうえで、転移をいろいろな条件付きで使用することを許可したのだ。つまり、飛んで行ってしまったリドルスとこの地上をつなぐ転移門が高確率で坑道にまだある可能性があるらしい。
だが俺たちとしても疑問はいくつかあった。
まず第一の疑問として、価値のある鉱石が取れる坑道であれすでにほかの国が使用しているのではないかという点だ。これに関しての店長のアンサーは単純で、原因は不明だがリドルスが空に飛んでいってからやけに強力な魔物が坑道に集まるようになり、危険だからどこの国も手を付けたがらなかったらしい。
第二に現在も移動型転移魔方陣は使えるかつリドルスにつながっているのかという点だ。まず使えることは間違いないらしい。当時その魔方陣を用意した魔法士は世界水準で見ても相当な実力者だったらしく、いまでも彼の作成した数多くの道具たちは現役だからだそうだ。そして魔物の影響下のおかげで逆に転移魔方陣をいじるものはいないだろうとも考えられる。
第三にドワーフたちの中に地上に残ったものはいないのかという点。これに関しての回答は簡単だ、少なくとも確認できたものはいないというものだった。
第四にその魔方陣をハク一同が使用することはできるのかという点。これに関しては魔方陣を起動するための魔石がいくらか必要になるらしい、だが道中の危険な魔物たちを倒すことがでできれば魔石をそこから採集できるそうだ。
ここで魔石について簡単に説明すると、魔物は人間の構造とは違い体内に魔力を循環しておくことができない、なのでこの魔石という器官に魔力をためているそうだ。人々はその器官のあまりに綺麗な見た目から魔石と呼ぶことにしたらしい。これらは坑道などでも採集することができる、空気中に漂う魔素を吸収し、ためる石がある、これも広義的には魔石に入るらしい。
以上のことを整理すると俺達はまずリドルス近くの坑道にて移動型転移魔方陣を発見すればいいということらしい。
ただ唯一気になるとすれば店長がこの地図を見たことがあるといった点だ。明らかに手書きのこの地図を・・・、同じ作者か、店長がオスカーと知り合いか、なんとなく確認することはなかったがおそらく同じ作者なだけだろうと考えている。いや、願っている。じゃないと運命的な何かを信じそうになるのである。
とりあえずハクの服を買い足し次第リドルスに向かうということで一同は同意した。




