どうも最初に回収する魔導書が決まるらしい
ハクたち一同は原書の図書館【ウィッチズライブラリ・エルダースクロール】をあとにした。
「ハクさんはそこが知れませんね。凄すぎますよ相変わらず。」
エルミラが自分の体を両手で抱きしめるポーズでそんなことを言う。
「俺はあったときからこいつはやばい奴だって気付いてたぞ。」
トレットはくしゃみをしながら興味なさげにそんなことをいう。
「やばい奴は意味合い違くない!?俺が変態みたいじゃんよ!」
トレットは目をそらした。
「目をそらすなよ、本当のことみたいになるからさ。」
そんな会話を楽しみつつ一同は【ウィッチライブラリ】から出て、近くにあったカフェに入る。どことなく簡素で、親しみやすいいい雰囲気をもったカフェだ。
「へぇ、いいところだな。」
ハクは周りを見渡しながら、窓際の一番奥の角の席に着いた。
なぜハクたちがこのカフェに来たかというと、オスカーからもらった魔導書の地図を早速開き、次の作戦を練ろうという理由だ。メニューを開くと非常に地球的でコーヒーだとかカフェオレだとかそういった見知ったものが並ぶ。相変わらず地球とほぼ変わらないこの世界にハクは親近感を抱く。
マスターがこちらに来る。
「ご注文はいかがなさいますか?」
「俺はコーヒー。」
「ベルガになさいますか、それともドルガになさいますか?」
ホットかアイスかを聞くかのようなノリで、意味が全く分からないことを言うマスターだな。やはり順番だけで考えれば、ここはホットかアイスかを聞かれているのだろうか。
「俺はベルガで同じものを、アイスで。」
トレットが同じ注文を犬なのにした。だが今はトレットの人間的一面に触れている場合ではない、今ベルガを選んだ後に、アイスといったのだ。つまりこの二つは熱いか冷たいかではない、つまり現状で言えばサイズの可能性が一番高い。問題はどちらが大か小かだろう。トレットは言ってしまえば犬だ、つまり大きいサイズは頼まない確率が高い、そんなに犬が水分をガブ飲みしているところを見たことがない。今は喉が渇いているからトレットと逆を頼めばいいんだ。だが普通に冷たいのが飲みたいな。
そしてハクはニヤリといやらしい笑みを浮かべる。ハクは気づいていなかったが、エルミラがその笑顔を見てかなり引いていたのは言うまでもない。フェイハラ(フェイスハラスメント)であることは間違いないその表情で告げる。
「遅れてすまない、俺はドルガでアイスを。」
ハクはすぐさまエルミラとトレットの表情をこっそりと伺う、二人の顔に特に驚いた様子などはない。どうやらうまくいったようだ。
「私はミルクティーをアイスでください。ベルガでお願いします。」
「かしこまりました。それではお待ちください。」
あのマスターはまるで英国貴族の執事のような動きだな、見たことないけど。
「それでは地図を広げますよ。」
エルミラが最後に【エア・シェルター】を持っていたので、地図もエルミラに預けていた。
エルミラが地図を広げるとトレットとエルミラが首をかしげる。
「どうしたんだ?」
「それがですね、今の地図とは全然違うんですよ。似ているところはたくさんあるんですけど、細かいところでだいぶ違くて、随分昔に書かれたようですね。」
「なるほどな~。読めなくはないんだろう?」
「そうですね。でも今の地図と照らし合わせてどこに何があるか確認しないといけないと思います。」
「俺もそれしかないと思うぞ。」
「う~ん、そうするしかないのかぁ~、面倒くさいなぁ。」
ハクが面倒くさそうに腕を後ろに組む。
「珍しいものを見ておられますね。随分と懐かしいものだ。」
マスターがコーヒーを持ってくると、机の地図を見てそんなことを言う。
「え?マスターこの地図がわかるのか?」
「私の祖父が昔話をするときはいつもこの地図を見せてきまして、あの頃はこうだったとか、あれが良かっただの沢山語られたものですよ。」
「マスター素晴らしいな、協力してもらってもいいか?」
「ええ、今の時間帯はお客様もいないものですから、かまいませんよ。」
確かにいわれてみれば店内に客以外の人はいない。マスターには申し訳ないがあまり人気がないのだろうか。トレットが何も言っていないので特に何かの影響でってことはないだろう。マスターが悪さしているとかね。
「最初はここから行きたいと考えているんだが、今現在ここは安全地帯だったと思うんだが。」
トレットが少しだけ不安げにマスターに聞く、トレットの頭の中にはある程度計画があるみたいだな。
「ここ・・・ですか?ここは今は地上にありませんよ。ある日突然空に浮いて飛んで行ったんですよ。」
マスターがそんなありえないことを言う。
だが地図をよく見るとその箇所にあるとされる魔導書が書かれていた。
「空の書・・・か。」




