原書の図書館にヒントがあるらしい
「まぁあとは適当に探してみてよ僕はもう行くから。とりあえず僕ももうやることをやりたいからね。」
そう言い残すとノアはどこかに消えた。
あらためてこの【ウィッチライブラリ・エルダースクロール】を見渡すと先ほどの近未来的な【ウィッチライブラリ】とは大きく異なり、木造のかなり古風な明らかに生活感のある部屋だ。ベッドなども置いてある。そして逆にいえば本がおいてある様子はない。
「ノアはここを原書の図書館といっていたが、どう見てもただの部屋だよな。」
「私にもそう見えます。」
「それもそうだろうな、いろんな人間の匂いがするが、明らかに濃い匂いが混ざっている。誰かが住んでいた証拠だろうな。」
「やっぱりそうなのか。ちなみに扉を開けたらどうなるんだろうな。」
なんとなく気になったので扉を開け外を覗いてみた。
だがそこには何もない真っ白な空間が広がるだけだった。試しに足を一歩外に出してみたが、一応床はあるらしい。ただ何もないその空間を探検する意味はおそらくないだろう。
「ハクさんこれを見てください。」
エルミラが巻物を持ってきた。
「ん?これは・・・。」
ふと部屋見るとトレットはベッドの匂いををしきりに嗅いでいる。とりあえず巻物を開けると中にはこの部屋に入る方法が示されていた。エルミラが開いたファッション雑誌が別に特別なカギになっていたわけではなく、5回指を刺したその文字に関係があるようだ。エルミラが指をさした文字はゼラニウム、確か花の名前だったと思うが、なんとなく地球との既視感を感じる。
巻物にはこの部屋からの出方もしるされていた。出方に関しては非常に単純で、扉のドアノブを左に回しにして開けると元の世界につながるらしい。出口は大図書館に固定されているようだ。
この巻物にはほかに記されている情報はなかった。
「そんなにベットが気になるのかトレット。」
「あぁ、この部屋の匂いを嗅いだ時点で隠し部屋があるのはわかっていたんだが、このベットは人の行き来があった形跡が明らかに多い、ベットの下を確認したが特に変わった形跡はなかった。」
トレット、それもっと早く言ってよ。てか、部屋の匂いで隠し部屋がわかるっていうのは謎だな。
「魔力の流れをたどるのはどうでしょうか。」
「魔力の流れ?」
「この部屋にはほかに部屋がある様子はありません。魔法によって隠蔽されている可能性があります。ですのでその魔法の流れをたどればいいのです。」
「俺は魔法つかえないよ。」
魔法の勉強はしたいけど、案外大図書館に来たのはいい機会かもしれない。この機会に少し魔法を練習してみようかな。もともと魔法なんて存在しないと思ってたから少し楽しみでもあるな。
「私は勇者になってある程度魔法を使えるようになりましたが、細かい作業は得意ではありません。」
「いや、手はもう一つあるぞ。」
そういってトレットがこちらを見た。
「なるほどまぁ確かに手としては使えなくもないかもな。一応やっておこうか。」
トレットを装備して部屋を調べてみることにした。【次元干渉】を使い、次元膜に異常がないかベッドの周辺を調べてみる。
「なるほど、なんとなく違和感があるな。このベットで間違いないみたいだ。だがどういう仕組みなのかはわからない。」
ベット周りの次元膜を触ってみたところ、明らかに違和感のある個所があった。なんというかこう突起物みたいなところがあって、握れるのだ。・・・ていうかこれはドアノブじゃないか?突起物を握り、回してみると、ガチャリという音が鳴って、ゆっくりと次元を押すことができた。
「ハクさん・・・流石です。」
「ビンゴみたいだな。」
その部屋を形容するとまさしく書斎という言葉がふさわしい。壁面はすべて本棚になっていて、部屋の真ん中に机と椅子がそれぞれ一つずつある、大体6畳ほどの部屋だ。トレットを使ったことが正攻法だったか微妙だが入れたのならば問題はない。
部屋に入り、なんとなく部屋の真ん中にあった、椅子に座ってみる。とても座り心地のよさそうな社長椅子に我慢することができなかった。
ふと机の上を観察すると、そこには老人が描かれた小さな絵が写真のように飾ってあった。自画像だろうか、とても優しそうな顔をしたおじいさんだ。
「この人もこうやってこの部屋で座って、本を読んでいたのかな。」
顔の後ろに腕を組んで絵を眺めているとなんとなくそんな感想が出た。
「そうかもしれませんね。」
そんな話をするエルミラとハクをよそに、トレットは犬の良くやるポーズで耳をしきりにかいていた。




