肥満は乙女の大敵らしい
「ちょっと待ってくれエルミラ今なんていったの?」
「ええとですからこのバス次の道の駅によるらしいですよ。」
「ええと地域の特産物とかを取り扱う道の駅が近くにあるってこと?」
「ええそうですけど。そんなに驚くことですか?」
「いや気にしないでくれ。」
異世界の道の駅、そんなのまであるのかよ。本当にほとんど地球と一緒なんだな。異世界の特産品か、正直気にならないと言ったら嘘になる。面白そうだな。
「皆様、まもなくサントレア道の駅に到着いたします。本日はこちらで一夜を過ごしまして、翌日より出発いたします。」
「へぇ、道の駅で泊まるんだ。てっきり夜間も進み続けるもんだと。」
「バスの運転手を休ませるためだ。こうやってゆっくり行くことで、長距離バスの事故率は激減したらしいぞ。」
「へぇー、確かに2日も掛かるなら休憩は必要だよな。」
「そういうこったな。」
そしてバスは止まり道の駅に到着した。
腹ごしらえなどもあるので、道の駅にて食事をとる為にバスを降りた。道の駅の中はなんというか地球のまんまで、いろいろな物が売っていた。中でも目を引いたのはファイアリザードの串焼きだ。トカゲの串焼きみたいなかわいいものではなく、でかい、1.5mくらいある。
「あれっておいしいのか?」
「ファイアリザードは不思議なもので、死んでもあったかいんですよね。なんでああやって置いておいても冷めなくておいしいんですよ。値段は高めですけどね、火に耐性があるので焼くのが難しいんですよ。その技術料金といいますか、高いんですよね。」
「へぇ~おいしいんだ。よし!買おう。」
高いもんがまずいなんてことはまずないだろうし、世界樹亭とかで食ったのはごく普通の料理で異世界間0だったからな。こうやって挑戦するの面白いだろう。金に関しては問題ない。なんとも嬉しいことに魔女からの手紙に謎のカードが入ってたんだが、トレット曰くクレジットカードと同じような物らしい。
世界を救った魔女のクレジットカードなんて面白い、いくらぐらい入ってるのかトレットに確認したけど3か国分の国家予算ぐらいは入ってるだろうって言われた。実際そんなお金をどこで得てるのか聞いたところ、何百年か前、世界を救った英雄に対する報酬に関して、世界会議が行われたらしい。世界を救った報酬って世界を上げるくらいしかないのでは?という提案が出てでもそれではまずいってのはわかりきってる。じゃあどうするっていう話だけどこの世界の設備を使い放題できるくらいのお金を上げるのは?っていう提案が次に出た、でもその提案もそんな金なんてどこにあるのかという話になった。でもある国の王が一つ提案したらしい。世界を救った英雄に関しては架空予算を作ろうという、全くとんでもない提案を。全王様がそれに同意したそうだ、自国から出資したくない王様が多すぎる。
でもいろいろ制限があって、土地とかはこのカードでは買えないらしい。なんでも買わんでも土地なら各国の王様たちは面倒を見てくれるそうで、相談に直接行けばいいそうだ。これには常に英雄の位置を監視したいという王様たちの利己的な考えが見え隠れしてるのはすぐにでもわかるが。
「う、美味い!これがファイアリザードの串焼きか。」
なんというか鳥と牛の中間というか、鳥の肉に油をぎっしり足した感じだ。でもでかいなこれはさすがに食いきれないな。よし、バスの他の乗客にもふるまおう。
そして俺たちの好感度はちょっと上がった。でも正確には好感度が上がったのはエルミラだけだ。俺はコミュ障なのでエルミラに配るのを頼んだ、結果いざとなったら自分たちを守ってくれそうな太っ腹の美人戦士が誕生したわけだ。
「とりあえず、明日までは寝ますか。」
「そうだな。」
「そうしましょう。」
「グルルルルゥゥゥゥゥゥゥ・・・」
「おいおいエルミラ、まだ食いいたりなかったなら店の中で言えばよかっただろう。遠慮することはない戻るぞ。」
かっこいい先輩風にエルミラに話しかけたがその提案はエルミラの発言で意味をなさなかった。
「私の腹の音じゃありませんよ!女性に対して失礼ですよ!これはウルフコングの鳴き声です。」
ふむ確かによく見れば、ゴリラみたいな体に狼の顔が付いた魔物が10体くらいいるな。
「狼ゴリラ?何だよそれ?この世界にいるお笑い芸人の名前か?」
「それを言うならウルフバンクですよ!ていうかモンスターですよ!」
いたんだそんな名前の芸人が・・・。待て、今はそんな偶然に驚いている場合じゃない。
「ちなみに強いの?」
「冒険者ランクで言ったらAランクは必要ですね。」
「それってどれくらい?」
「世界を救った英雄が少し面倒くさがるくらいです。」
「け、結構強いんだな。」
ていうか警備体制どうなってんだ?運が悪いよりもこの世界の警備体制を疑うわ。
「私に任せてください。やっつけてやりますよ。」
エルミラが銀色の長髪を後ろになびかせながら前に出る。その手に黄金の巨剣が握られているのかと思ったが違うようだ。確かにバスを降りるときに剣は持ってなかったな。じゃぁあれはなんだ?
「たとえ剣が手元になくとも私にはこれがあります。この串が。」
そうかファイアリザードの刺さってた串を持ってたのか、ていうかあれで勝てるのか?なめすぎでは?
そうこう考えている間にエルミラはウルフコングの集団に突っ込んでった。
「トレット、俺の世界風にウルフコングを例えるとどんな感じの魔物なんだ?結構強いんだろう?」
「そうだなぁ、例えるなら狼のような強靭な顎と牙、俊敏さと集団性や知性それらをゴリラの10倍くらい力のあるやつに着けた感じだな。」
「それめちゃくちゃ強くね?」
「そうだな、数によっては魔獣災害に該当するぞ。」
「魔獣災害ってなんだ?」
「お前の世界風にいうと地震とか噴火みたいな脅威の発生原因が魔物だったらってことだ。」
「つまりめちゃくちゃやばいじゃん。」
「あの数ならまだセーフだ。でも確か依然キングウルフコングが出たときはその統率力とか数で、余裕で英雄が駆り出されてたけどな。」
エルミラが心配だ。すぐに助けに入ろう。そう考えて俺が前を向いたら血まみれで笑顔のエルミラが肩に媚びりついたウルフコングの腸を指でつまみ捨てながら笑顔で戻ってきていた。片手にはウルフコングの串刺しが完成している。
「食後の運動は大事です。肥満は乙女の大敵ですから!」
「あ、あぁそう・・・。」
俺はエルミラに失礼なことを言うときは命を懸ける必要があると、この日しっかりと脳に刻み付けた。
ちなみにこの様子を見たトレットは少し震えて、若干漏らしてた俺は仕方なく黙っててやることにした。この後だめ押しのように犬らしく鼻のいいトレットに脅されたのは言うまでもない。男子間の仲はだいぶ良くなった。




