事情説明だよねー
ハクたちは今ゾーイのアジトの一室に集まっている。
「エルミラ、それにトレットも・・・あぁメールは見た。助けに行けなくてごめん。」
エルミラから見れば、ハクの隣にはゾーイ、そして謎の男がいる。
ハクはノイルから連絡が来た時、正直自分なら助けるのは容易だと感じていた。
トレットを装備している時のハクは次元関係にはかなり強いし、エルミラの魔力が全く感じなくなったのを知り、一瞬だけ別次元にいたのは気が付いていた。
だがそれと同時に術者の能力がそれほど高くないことも理解していた。
つまりハクはエルミラなら容易にその場から助かると理解していた。
余談だが、ハクがなぜ術者の能力が低いとわかったか、簡単に解説しよう。
そのためにレジスタンスとゾーイから衝撃の事実を聞いた瞬間に時を戻そう。
『ハク様、ノイル様から緊急事態だと連絡が入りました。』
わざわざZEROが音声で緊急事態をハクに伝えてくれた。
「おいおい本当かよ、今日は面倒な事態が次々降りかかるな。」
「緊急事態だぞ、対策はあるのか?」
トレットがいまだにガントレット状態でハクに問う。
「まぁ、なくはない。」
ハクは一度ゾーイとレジスタンスに視線を戻した。
「緊急事態だ、ゾーイ俺は解決次第アジトに戻る、すぐに君がくれた情報を仲間に伝えたいから一室用意してくれ。もちろん国側の人間に聞かれないようにしてほしい。」
ゾーイは腰に手を当ててハクの方を見る。
「随分と無茶ぶりだね、もちろんあたいは参加できるんだろうね?」
「あぁもちろんだ、君が立てているはずの作戦も聞きたい。どうせ俺たちは最後のピースだろ?」
「あんたどこまで知っているんだい?それともただの推測か・・・本当に驚かされるよ。」
ゾーイはただけだるげに首を振った。
「とりあえず時間がないんでね、仲間のピンチなんだ。俺はもう行くよ。」
ハクはさっさと歩いて行ってしまった。
路地裏にはゾーイとレジスタンスだけが残された。
レジスタンスの男がゾーイの方を向いた。
「俺もつれて行ってくれないか?あんたたちの話を聞きたい、俺はお前たちとレジスタンスの懸け橋になれると思うんだ。」
「たかがレジスタンスのこっぱしりのあんたが?」
男は必死にゾーイに抗議する。
「俺たちレジスタンスに上下関係はあってないようなものだ。それが嫌でレジスタンスになったんだからな!」
ゾーイは男の方を睨みつけるように見つめる、だが男は決してゾーイから目をそらすことはない。
「わかった、あたいからハクに伝えてあげるよ。とりあえずあんたはアジトに来な。もちろん裏から入ってきなよ。」
ゾーイは男と路地裏から去った。
一方路地裏から最初に出たハクはすぐ近く別の路地裏で立ち止まっていた。
「ZERO、エルミラの携帯をたどることはできるか?」
『ご案内開始します。ただしエルミラ様の居場所はこの世界と若干・・・。』
「次元がずれているんだろう?わかるよ、厳密にはモザイクがかかっているだけだと思うが。」
『かしこまりました、すぐにご案内を開始いたします。』
さすがのZEROもハクが焦っていることを察した。
ただそこまでエルミラの状況を理解していて、なぜ自分に案内を頼むのかはわからないが。
おそらくはより居場所を確実にするためだろう。
ハクはトレットの能力を使用して瞬間移動しまくった。
『ここが最後にエルミラ様の反応があった場所です。』
「・・・?この建築物が?」
ハクはエルミラの魔力の残滓をたどり、エルミラがが最後にこの建物の地下にいたことを悟った。
「これは・・・?敵の魔力なのか?地下の部屋に広がるこの空間が敵の能力だとすればさほど脅威ではないな。」
「助けないのか?」
「この程度の脅威でエルミラを助ければむしろ侮辱になるだろ?」
「そうなのか?」
トレットは明らかに不安そうだが、ハクはエルミラなら余裕で助かるだろうことは確信していた。
「そういえばZERO、ノイルの方はどうしているんだ?」
『携帯の反応を探るに、ノイル様はマリトルムから出て行ってしまったみたいですよ。』
「そうか、おそらくはエルミラを罠に嵌めたやつを追っていったんだろう。」
『その通りかと思います。でなくては急にマリトルムを出る意味もないので。』
「そうだな、ありがとう。」
ハクは以上の情報を整理した。
結果、まずノイルが敵に敗れるところは想像できない。
エルミラに関しては今罠のそばにいるので助け出すことは容易だが、その必要もなさそうだ。
「うん、ZERO二人の携帯にゾーイのアジトに戻ると連絡を残しておいてくれ。俺はそのまま戻る。」
『かしこまりました。』
「あとで怒られなければいいけどな。」
トレットはいつの間にかガントレットからもとに戻って、ハクの隣で頭をかいている。
「まぁそれはないと思うけど、一応祈っておくよ。それじゃアジトに戻ろう。」
ハクはゾーイのアジトに戻った。
そこからしばらくたってノイルとエルミラはアジトに帰還した。
ハクはトレットを装備してエルミラを治療した。
そして今に至る。
エルミラはゾーイのアジトにてゆっくりと口を開いた。
「でも助けようとしてはくれていたでしょ?」
エルミラは横目でハクを見た。
「ここ最近は随分感覚が鋭敏になっているみたいで何よりだよ。」
ハクは適当に返事をしておいた。
「それじゃ本題に入るが、今回俺がつかんだ情報について、この二人から説明してもらおうと思う。」
ハクはゾーイとレジスタンスの男に視線を向けた。
だがそこで一つだけ疑問に思いあった。
「そういえばお前名前は?」
ハクはレジスタンスの顔を見た。
「ん?あぁ言っていなかったか、俺の名前はザダンだ。」
「なるほど、俺たちの名前も紹介しておくと、俺がハク、犬がトレット、子供がノイル、女性がエルミラだ。」
「あ、あぁありがとう。覚えておくよ。」
ザダンは急な自己紹介に動揺したみたいだ。
「それじゃ話してくれ。魔人の件も含めてな。」
「・・・わかった。聞いてくれ。」
ザダンは話始め、徐々にエルミラとノイルは何かに納得がいったようにうなずいた。
そして次にゾーイの事情も説明され、今かなり厄介なことに巻き込まれ始めていることに気付いたようだった。




