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長い呪文?

床に尻もちをついているメグミの肩を支える来海。

敵の6人の男女が少しずつ(にじ)り寄ってくる。


「メグミ、すまない!2分間だけ(しの)いでくれ!」来海が傷だらけのメグミにそんな事を頼む。

「長い詠唱(えいしょう)だね!わかった!」メグミは痛そうな足にグッと力を入れて立ち上がった。

その隣で来海は目をつぶり呼吸を整えると、両手をおへそのあたりで合わせ、長い長い呪文を唱え始めた。

「なむのこみなむかなしたこほこべなきのとう……」


そこに敵の男が飛びかかって来る!口からは黒いシミが吹き出す!

メグミが指を1振り2振りすると、一旦散らばっていた炎がまたメグミの元へと集まってきた。

そしてメグミ(かのじょ)が手を前に出すと炎はゴゥゴゥと燃え上がり来海とメグミの前に火の壁を作った。

飛びかかってきた男は炎の壁に焼かれ顔が黒焦げになったが、熱さを感じないのかそのまま火の中をくぐりメグミに組みかかってきた!

メグミは左手を伸ばすと自分の右肩に刺さっているナイフを引き抜き、飛びかかってくる男の顔面にナイフ(それ)を突き立てた!グサッ!

男は勢いのまま、メグミの上に覆い被さったがナイフが致命傷となり、そのあと力なく地面に崩れ落ちた。

「ごめん」メグミは、操られているだけのその男の命に()びた。


来海がまだ呪文を唱えているのを見て

「よーし!次!」と叫び、メグミは目の前の炎をうねうねと動かし生き物のように操った。


窓際のテーブル席の下から震えながら顔を出して戦いを見ている君香。

さっきメグミに飛びかかってナイフで刺された男が、間際に口から放った黒いシミがもやもやと天井に登っているのが見えた。

「メグミさん!上!」君香が大きな声で叫んだ!

天井から吊るしてある大きなシャンデリアに黒いシミが染み込むとグワっと大きく揺れて、メグミの頭の上に落ちてきた!

「わぁ!」メグミはとっさに横に飛び避けたが、左の肩にシャンデリアが直撃してしまった!ガシャン!

「痛い!」飛び避けた勢いのまま床にゴロゴロと転がるメグミ。左肩をおさえて悶絶している。

そのせいで操っていた炎も散り散りに離散してしまった。


炎が消えたのを見て、敵の男3人女2人は全員が同時に手をくるくると回し始めた。

「なにかヤバい、、」君香は最高に恐怖を感じた。


「…………えるまかしきかちなもん!」その時

来海がパッと目を開き、詠唱を終えて指で印をきった!

カイゼリアンの店舗の全てが10cm角のブロックに分かれた。

床も、壁も、天井もテーブルやカーテン、調理器具などの全ての物体が10cm角にバラバラと細分化されていったのだ。

お味噌汁にお豆腐を入れる時に包丁で”さいの目”に切るが、まさにあんな感じで細かい四角に切り分けられた。

傷だらけで倒れているメグミの周りのブロックはパラパラと動きだしメグミ(かのじょ)を取り囲むように積み上がり、ドーム形に覆って彼女を守った。

君香や、佳奈、そして残っているお客さんと店員たちも同じように周りのブロックに包み込まれるようにして守られた。


敵の5人が立っているスペースの周りもどんどんブロックに囲まれてゆき、あっという間に壁や天井が積み上げられて5人を閉じ込める小さな部屋のようになっていった。


来海が更にもう一声呪文を唱えると、その5人の小部屋と来海が立っている床とがフワッと上昇し始めた。


三日月に照らされたカイゼリアンは子供が作るブロック遊びのようにカクカクとした外観になり、敵の5人が入った小部屋と来海の乗った床だけがどんどんと空に昇っていった。


5人は力任せに小部屋の壁を内側から叩き壊し始めた。

バキッ!壁を思い切り壊した勢いで男が1人部屋の外へと飛び出した。が、

その時には既に小部屋は上空200mの高さまで達しており、飛び出した男はそのまま落下して地面に叩きつけられ命を終えた。

更に上がって上空300m。小部屋の壁と天井はほとんど男たちに壊され床だけになっていて、その上に乗る男2人と女2人が来海を睨みつけていた。

彼らの目線の先、10mくらい離れた空中に、、直径2mほどの床の上に立っている来海が見えた。


今、周りには

攻撃に使えるものが、、つまり呪文で動かせるものが空気しかなかった。その他には”床”くらいしか、、そうそれを使うしかない。

来海は、フワフワと登っていく床の上で敵の男女を見つめた。その表情はとても哀しそうであり、辛そうでもあった。

「すまない」来海は目を閉じてそう言うと、一言最後の呪文を唱えた。

()っ!」

敵の男女が乗っていた床がパラパラと崩れてゆき、彼らは東京タワーほどの高さから地面に向かって落ちていった。数秒後4つの鈍い激突音が下の方から聞こえると、来海は眉を震わせて自分の乗る床をゆっくりと降下させていった。


少し離れた場所でそれを見ていたカラスが、くるりと一回転して飛び去っていった。


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