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恋人に厳しい季節がやって来る(百合。真面目×自由人)

「夏が来ますね……」

 夜。テレビから流れるニュースを見て、馨くんが眉を下げた。

 ドラマを見終わって、そのままつけっぱなしにしていたのだ。

「馨くん、憂鬱そうだね。まあ、私も嫌だけど」

 昔は、そこそこ好きだったはず。

 いやでもあれは、夏休み効果だった気もする。

 ひと月以上学校へ行かなくていいという非日常感が好きだっただけで、暑さとか湿気とか、夏のもろもろは、ずっと苦手だった。

「夏になると、ミイさんがくっついてくれなくなるんですよね……」

「それは……まあ」

 暑いし。

 今の時期ですら、もううっすら暑い。何なら、今も設定温度高めとは言え、冷房を付けているのだ。

 ひんやりしたエアコンの風にうっとりしつつ、しょげる馨くんを見た。

「馨くんも嫌でしょ? 暑いの」

「暑いのは嫌ですけど、ミイさんを摂取出来ないのはもっと嫌なんです」

 摂取て。私は薬かなんかか。

 薬なら、マジで用法用量守った方がいいから、夏場摂取しないのは良いような気もする。

 が、しおしおの馨くんは見てられないので。

「今年も、クーラーがんがんかけてイチャつこーね?」

 のし、と彼女の膝に寝転び、上目遣いでそう言った。

 馨くんの好きなくっつき方その五だ。ちなみにその十まである。

 するとわかりやすく、彼女の顔がパアアと輝いた。

 よし、元気出たな。

「ミイさん!」

「じゃ、アイスでも食べよっか。いま冷蔵庫に何あったっけ」

 元気が出たならオーケー。ということですぐ起き上がる。

 やっぱ、くっつくのはもう暑いわ。

「ミイさん~~~~~」

「アイス食べながらなら、くっつけるから」

「ミイさん!」

 食べてる間だけだけど。

 それでも彼女は、嬉しそうに私の後をついて来た。


 END.



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