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その手があるから生きてける(百合。学生寮)
ベッドの隅で丸まる私を、いつも優しく撫でる手がある。
頭を撫でて。泣いてるときは、そっと背を。
この手が無ければ、とうに人間をやめていた。
「……ありがとう、ゆう子さん」
いいよ、というように背を叩かれる。なんて優しいリズムだろう。私はうっとり目を細めた。
目を瞑る。今日も一日がんばった。
……先生には怒られたし、母からかかってきた電話もアレだった。それでも私、こうして生きてる。
「……もう少しだけ、がんばってみる」
いつものように、小さく宣言。
すると、ゆう子さんの手が私の肩をぽんと叩いた。
応援してる、と彼女が言外に言ってくれるから、私はまだがんばれる。
「ほんとは早く人間やめて、ゆう子さんに会いたい気はするんだけど」
駄目だよ、と見えない手が、私の肩をトントン叩いた。
……私の同居人は、目に視えない。
けれどその気配とリズムは、生きてる人よりずっとずーっと優しいのだ。
END.




