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私を、呼んで?(同棲百合)

「水樹」

 自分の名前が、好きだ。

「ねえ、水樹」

 貴女に呼ばれる、自分の名前が好き。

「ん、どした?」

 だから、呼ばれるとすぐに貴女の方を見てしまう。

 きっと、だらしなく頬が緩んでいるのだろうなあと内心苦笑しながら。

 でも、止められない。

「あのね、これなんだけど……」

 だって、私が振り向くと、貴女は心の底から嬉しそうに笑ってくれる。

 眉を下げ、眼を細め、ふにゃんという言葉が似合うほど柔らかに。

 にっこり笑ってくれるのだ。

 自分の行動一つで、誰かがそこまで倖せそうに笑ってくれるなんて。胸が躍って仕方ない。

 その上、私の名前をまるで宝物の如く、大事に口にするものだから。

 私はまた欲張りたくなる。

 もっと呼んで、というように、私は貴女の呼びかけに笑顔を向ける。

「水樹」

 敢えて別の用事をしたりして、ちょっと誘い込むようなズルをしつつも。

「なぁに?」

 私は、貴女を待っている。


 END.



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