夢でまで、君は(百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子)
ふと夜中に目が覚めた。
部屋は暗く、けれど空気清浄機の小さな灯りで、何となく辺りの様子は窺えた。
横を見れば、恋人は当然、夢の中に居る。
すやすやとよく眠っている顔に思わず頬がゆるむ。とりあえずトイレに行くかと布団を抜け出した。
「んー……大社?」
「ごめん、伽羅。起こしたか」
戻って来ると、伽羅がぼんやりと目を開けていた。
「いや、……大社も、食べる?」
「何を?」
「これ……ぱふぇ……」
しかし、起きているわけではないらしい。寝ぼけたことを、ふにゃふにゃの声で言っている。
夢の続きか。
私は笑いを堪えつつ、
「もらおうかな」
と応えた。
あまり寝言と話してはいけないそうなので、これだけ。
すると、
「おいしい?」
と聞かれてしまった。少し迷ったものの、
「美味しい」
何となく応えてしまう。
私の答えに、伽羅がにっこりと微笑んだ。子どもが笑うみたいに、無邪気な笑顔。
「よかったぁ……」
おおこそに、たべ、ほし……すごい……おいしい、からさぁ……。
むにゃむにゃとそう呟いたあとは殆ど意味のある音にはならず、開いていた目も閉じてしまった。また、眠りの世界へ入っていった彼女を見ながら。
(……こいつは、夢の中でも)
私は口元を押さえた。
夢の中でまで、私に美味しいものを食べさせようとして。
私が美味しいと喜べば、心から嬉しそうに笑う。
ああもう。
なんて。
「……くそ、可愛い」
私は、寝転びながら一人身悶えていた。
END.




