これは特権だから(歳の差百合。年上×年下。どちらも成人済)
優しい手が、私の額に触れている。
小さな子どもにするように、私の頭を撫でている。
(すごい、きもちい……)
まるで、ちっちゃい頃に戻ったみたいだ。安心と心地好さに揺蕩う感覚。
まだこうしていたい。いつまででもこうしていたい。
しかし、その望みに反するように意識は浮上していって──……。
「……あ、起きました?」
「……。……!?」
「おはようございます、桐子さん」
目を開けると、恋人の笑顔が飛び込んで来た。
真上にあるそれに私は驚き、もう一度目を閉じて、それからかっ開いた。
「え!」
頭の下の感触……これ、膝だ。
彼女の顔が引いたのと同時に、私は慌てて起き上がる。
「ご、ごめん! ガチで寝ちゃった!」
今日は、お家デートの日。「最近忙しかったから、思い切りまったりしよう!」と、好きな配信者さんの動画を見ている最中、私がうとうとしてしまって、それで……。
「十分だけって約束だったのに」
芽瑠ちゃんの「膝、貸しますよ」の言葉に甘え、膝枕で仮眠を取ったのだ。
「そんなに経ってないから大丈夫ですよ。三十分くらい?」
「わー、重かったでしょ。ほんとごめん……!」
ますます慌てる私の唇に、
「!」
彼女の人差し指が当てられた。
「私、嬉しかったです。桐子さんがぐっすり眠ってくれて」
だから、謝っちゃ嫌です。
そう言う芽瑠ちゃんに、私は逡巡したあと。
「気持ち良かった。ありがとね」
お礼を言った。
芽瑠ちゃんの顔が、ぱああと明るくなり、笑顔が咲く。
「どういたしまして!」
なんて可愛いのだろう。私は手を伸ばして抱き締めた。
「本当に、ありがと」
「ふふふ、恋人の特権ですから。いいんです」
いつも甘やかしてもらってますし、という彼女に、「当然でしょ」と返す。
「それこそ、年上の恋人の特権なんだから」
「でもたまには、私も桐子さんを甘やかしたいです。桐子さんの甘える相手は私なんだぞって思いたい」
独占欲丸出しで恥ずかしいですけど……と恥じ入る芽瑠ちゃんに、一つキスを贈った。
「いいの、嬉しいから」
そんな可愛い独占欲なら、いくらでも欲しい。
それこそ、私だけに。
私たちは、触れるだけのキスをくり返しながら、お互いの独占欲を満たしていった。
END.




