何があろうと腕の中(同棲百合。恋人と姪っ子と。今回姪っ子出番無し)
「痩せようかなぁ」
「あ?」
寝る前。寝室にて。
隣で寝転ぶ美雨が、いきなりそう言った。
何か変なネット記事でも読んでいるのかとそちらを見れば、スマホも持たず仰向けで、真っ直ぐ天井を見ている状態。目も真剣で、これはやや本気で考えているのだと知る。
ちなみにガチ本気のときは、黙って行動を開始するのがこいつだ。
「そんな太ってもないくせに、何言ってんだお前」
私はスマホを置き、彼女の方へと向き直った。
「いやいや! 最近お腹の肉が摘まめるようになってきたからさぁ」
「元から摘まめるだろ」
私は彼女の腹を服越しに摘まむ。
「摘まめる量が増えたって言ってるの!」
美雨は言いながら、その手を叩いた。
「別にこれくらい構わねぇって」
寧ろ抱き心地的に今くらいがちょうどいい。
めげずに彼女の腹を触り、ふにふにと揉んでやる。ついでにそろそろと上の方へ手を這わせば、これまた強かに叩かれた。ちっ。
「だぁって、出来る限りナイスバティな可愛い子ちゃんで居た方が、さーたんの愛想も尽きないでしょ?」
ん? と小首を傾げる美雨に、私は呆れのため息を吐いた。
「お前、太ったくらいで私から離れられると本気で思ってるのか?」
「……さーたんのその言葉、嬉しいんだか怖いんだかわかんないよね」
美雨が眉を下げて微笑む。困ったような、喜ぶのを抑えているような、中間の笑顔。
そしてそのまま、こちらへ身を寄せた。だから私も、この腕の中に閉じ込めてやる。
「喜んどけ。愛情深い恋人で良かったなって」
「さーたんの愛は執念とも同義だからなぁ」
「否定はしない」
「出来ないの間違いでしょ」
まあそういうとこも含めて好きなんだけどさ、と美雨が仕方なさげに言った。
それなら問題ないと、私は彼女の額にキスをした。
END.




