ね、私だけだよ?(歳の差百合。年上×年下。どちらも成人済)
日曜日。
ここの高架下は、お洒落なお店や美味しいお店がひしめき合い、いつも明るくにぎわっている。
今、私たちが立ち寄っているこのお店もそうだった。
「ん~。焼き芋クレープおいしいです!」
クレープを頬張り、嬉しそうに微笑む恋人を見て、
「あはは、良かった」
私も大満足だ。真上を通る電車の音が、拍手喝采に聞こえる。
「このねっとり感がたまらないです」
「わかる。この舌に吸い付くような甘味が、ホイップとよく合うよね」
私も食べながら頷いた。焼き芋が甘いからか、ホイップの甘さは控えめで、だからこそのこのマリアージュなのだろう。うん。美味しい。
二人でにこにこ笑い合いながら、美味しいものを食べるこの至福感。
最高だ。
そのとき私はふと彼女を見て、思わず笑みを深めた。
「芽瑠ちゃん。ほっぺにクリーム付いてるよ」
柔らかほっぺに、ふわふわクリーム。
可愛い。
「わ、やだ、恥ずかしい」
私の指摘に彼女は慌てて、空いている方の手で頬を探る。
「このへん、このへんですか?」
見当違いのところを必死に拭う仕種が、また可愛い。
もっと見ていたい。
「あはは、違う違う」
けど、これで髪まで汚れたりしたら可哀想だ。
空いた手を伸ばし、
「ここだよ」
代わりにクリームを拭ってあげた。
「あ、ありがとうございます」
恥ずかしそうにお礼を言う芽瑠ちゃんに。
「……」
悪戯心が芽生えてしまった。
「ね」
「はい?」
にこっと微笑み、声を落とす。
「これ、食べる?」
そう言い、クリームの付いた指を差し出した。
途端、彼女の頬に朱が上る。
「そ、それは、そのっ」
「あはは、ごめんごめん。からかいすぎちゃった」
ああもう。可愛い。可愛すぎる。
好きだなあ。
「責任もって私が食べますよー」
そう言って、差し出していた指を戻そうとしたとき。
ぐい、と手が掴まれて。
「え?」
彼女の唇が近付いたかと思うと、
ちう
と指ごと、クリームを吸われた。
上目遣いに睨まれ、心臓がバクンと飛び跳ねた。
「美味しゅうございました」
「……恐れ入りました」
「ふふっ」
降参の意を伝えれば、恥ずかしそうに、けれど何処か得意げに彼女が微笑んだ。
まったく敵わない。
「他の人にしちゃ嫌よー?」
「しませんよ! ……桐子さんも、他の人にしちゃ駄目ですよ」
「するわけないんだよなぁ」
END.




