触れ合いながら昔話を(同棲百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子)
お風呂から上がると大社が、懐かしい曲を鳴らしていた。
「懐かしーのやってんじゃん」
正しくは、懐かしい曲でノーツを叩いていた。
「伽羅」
ちょうど曲が終わり、彼女が顔を上げる。
「私たちが話すきっかけになったやつだね」
「ん。ちょうど思い出してて」
隣いい? と聞くと、いいよと大社が少し横にズレてくれた。
「あのとき、大社と話したくてさ~。でもゲームもしたくって、ずっとそわそわしてたわ」
「同じこと言ってたな、そんときも」
「そりゃそうよ」
私は、あの日を思い出しながら笑った。
同じゲームをやってる! そう気付いた瞬間(運良く曲も終わっていたし)、叩いた肩。
振り返った大社は、驚いたように目を見開き、そして。
「だって、こっちに右手を差し出してきたときの大社、めっちゃ恰好良かったんだもん」
ふ、と目を細めて笑ったのだ。
いつも無表情だった彼女が、微かでも笑った。
あのときの衝撃たるや。
「え~?」
「いつ見ても真顔だったのに、そのときはほんの少し微笑んでてさぁ」
「マジか。恥ずかし」
「何でよ」
彼女の頬に、指先で触れる。彼女の目元がふわりとほどける。
「大社の笑顔が見られるなんて、いいことだよ?」
温かい。嬉しい。
「今も昔も」
「……まったく」
今度は、大社の手がこちらへ伸びて来た。
「可愛いこと言いおって」
そうして、わしゃわしゃと私の頭を撫でる。大雑把な癖に、何処か優しい手付き。
「きゃー♡」
私は身を竦めつつ、ふざけて声を上げた。
しばらくそんな風にじゃれ合っていたものの。
「まだまだイチャつきたいが、私はイベランを走らねばならん」
突如、大社が真顔に戻り、そう言った。私も真顔に戻り、頷いた。
「奇遇。私も」
それから顔を見合わせ、ふは、と同時に笑う。
「じゃあ今日は二人揃って夜更かしだー」
「おー。がんばろーぜ」
「ときどき、タッチさせてね」
「ノーツ叩いてないときな」
「そっちも触って良いよ」
「そのつもり」
「やだえっちー」
今日も今日とて、私たちはゲームをする。
もっと近い距離で。たまに触れ合ったり、キスをしたりしながら。
あの日の歌が連れて来てくれた今日を、思う存分楽しむのだ。
END.




