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嬉しいよりも先に驚きが立つ(百合。幼馴染み同士。女子高生)
幼馴染みの彼女と、私の部屋でテスト勉強。
それは、毎度恒例のこと。いつも通りのテスト前日の、はずだった。
……ちゅ
「……え!」
「何だ」
間近で朝子が問うてくる。うわ、相変わらず綺麗な眼。切れ長で、睫毛が長くて。本当に涼やかな美人さんだなぁ……じゃなくて。
「な、何して」
「……もしかして聞いてなかったのか?」
彼女が眉をしかめた。
「や、聞いてたよ」
唇を寄せる前に、確かに朝子は言った。
『私にキスされたら嫌か』
と。そう聞いてくれた。
もちろん嫌じゃないから、
『嫌じゃない』
そう答えた。
嫌なわけない。
だって、私は。
私はずっと、ほのかに彼女を想っていた。幼馴染みという関係よりも、もっと特別になれたらと。
そんなの、まさかあり得ないという諦めと共に。
だって朝子は、こんなに美人で、そして頭も良いのだ。そんな彼女が、幼馴染みで平凡な私を選ぶ? 夢物語だ。幼馴染み同士はあまりくっつかないとも聞く。
それなのに。
「嫌じゃないんだよな?」
「ない」
「なら、いい」
納得したようにそう言い引き下がった彼女に、私は何も言えず、まだ口をぱくぱくと動かしていた。
END.




