おねむな君の体温を(百合。真面目×自由人)
晩ご飯のあと、洗い物をしていたら。
とん、と背中に何かが軽くぶつかる感触がした。
「! ミイさん?」
腕がするりと腰に巻かれ、ミイさんに後ろから抱き着かれた形になる。
「んー……馨くん……」
「はい、何ですか?」
「何だろー……何か、こうしたい気分ー……」
ふわふわとした口調で、ミイさんが言う。
「おねむです?」
「そうかも? わからんー」
そう言いながら、ぐりぐりと私の背中に額をこすり付けた。まるで猫さんだ。
(最近、お仕事忙しそうだったからなあ)
彼女自身が気付かない内に、疲れが溜まっているのかも。
スポンジでどんぶりを……今日は芋天きつねうどんだった……拭き拭き考えた。
ミイさんは、出来る限り自分の好きなように動く人だけれど、面倒見は良いし、責任感も人一倍ある。
というより、人の面倒を見るのが好きだから、率先して仕事を手伝っていると言った方が正しいかも知れない。そうするのが好きだから好きにやってる、というか。
(だからミイさん、たまに自分の疲れとか限界に気が付かない時があるんですよねぇ)
そのへんは、私が注意して見とかないと。
改めて気を引き締め、私は彼女の方へ振り返る。
「向こうで、もう少し待っていて下さい。すぐ洗い物を終わらせますから」
あとは洗い流すだけだから、本当にすぐだ。
「そしたら、一緒に寝室に行きましょう?」
「んー……」
もぞりとミイさんの頭が動いて、私を見上げる位置に動いた。
「このままじゃ、駄目?」
上目遣いにこちらを見る目は、やはり眠気でとろんとしている。
「馨くんの傍に居たいな」
ぎゅっと、私を抱き締める力が強まった。
「ぐっ」
上目遣いに抱き着きに、蕩けた口調。こんな可愛い恋人を前にして、お願いを聞かない人間って居るんでしょうか。
私には無理でした。
「いいですよ」
「やったぁ」
彼女の頭が私の背に戻り、すりすりとまたこすり付けられる。
愛しい感触に、胸が震えた。
「腕、濡らしちゃったら、すみません」
「いいよ。馨くんの寝間着、ガード出来たってことだから」
「それはどうも」
流水にさらされている手はとても冷たいのに。
私の頬や身体は、ぽかぽかと何処までも温かかった。
END.
食事の前にシャワーは済ませている二人




