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無理を叱る甘い声(百合。真面目×自由人)
「……ミイさん」
お風呂から上がり、リビングへ戻った。
「どうしたの? 馨くん」
先にお風呂を済ませたミイさんが、ソファーで寛いでいる。
「あの、お願いがあるのですが」
彼女はこちらを見上げたあと、口の端を上げた。そして、
「ん」
ぽんぽんと自分の膝を叩いて、私を誘ってくれる。
「……よく分かりましたね」
「酷い顔してるからねー」
ミイさんのお誘いに甘え、私は彼女の腰に抱き着いた。
「いい子いい子」
優しい手が、私の頭を撫でてくれる。彼女のお腹に顔を埋め、深く息を吸った。
同じボディソープの匂い。寝間着のふわふわとした感触。
煤けて萎んだ心が、少しずつ柔く、丸く戻ってゆく。
「馨くんは真面目でいい子。でも、無理をするのはいけない子」
めっ、と甘いお叱りが降る。
「……はい」
今夜は、素直にそれを受け止めた。
END.




