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ちっちゃな自分が時間差で救われた話(同棲百合。恋人と姪っ子と三人暮らし)

一つ前のお話の二人(これだけでも読めます)

「ねー、さーたんのちっちゃい頃ってどんなだったぁ?」

「……何だ、藪から棒に」

「いやね、前にこのカフェでお隣だったお嬢ちゃんたちの会話をふと思い出してさ」

 窓に面したカウンター席で。櫻子はデザートプレート、私は季節のパフェをつつきながら、おデート中。

 小牧ちゃんは、仲良しのお友達の家でお泊り会。何でも、超大作すごろくを作るのだそう。私たちにも後日遊ばせてくれるとのことなので、今からめちゃめちゃ楽しみにしてる。がんばれ、ちびっこ達。

 話を戻して。

「その子たちがね、お互いのちっちゃな頃を見て、『ヒーローみたい』とか『お姫様みたい』って言い合ってるのが可愛くって♡」

「まあ、ちびの頃は、そういうのの真似やポーズを取りがちだもんな。そういうお前はどうだったんだよ」

 おおっと。私か。

 櫻子のちっちゃい頃エピソードが聞きたいな~と思って振った話題だったから、一瞬面喰らっちゃった。

「えー? 私は、ちびの頃から火傷痕これあったからさぁ。お姫様にもヒーローにもなれやしなかったよねー」

 あははと笑いながら、顔半分の火傷痕……今は帽子やカットバンで隠してるそれ……を指差す。軽く笑って流して、早く本題へ。慣れてるからこういうの。そう思っていたのに。

「関係無いだろ」

 彼女は、何でもない感じで、私の癖をバスンとぶった斬り言った。

傷痕それがあろうがなかろうが。なりたいものを真似るのに関係なんてない」

 それは、ちっちゃな私が多分言われたかったことで、けど残念ながらそんなことを言ってくれる人間は大人にも子どもにも居なくて。だから私にとって『憧れ』は、軽く笑って流していくものだった。

 ──ぽすんっ

「おい、外でくっつくな。何だどうした」

 そこまで思って、私は慌てて彼女の肩口におでこをくっつけた。

 危ない危ない。うっかり、泣いちゃうとこだったよね。

「……なーんでも? ちっちゃい頃に、櫻子たんに会いたかったなって思って!」

「何じゃそら」

「何だろうねぇ」

 そんな涙なんか曝したら、本題に入れないじゃん。私が聞きたいのは、ちっちゃい櫻子たんのこと。

 けれど、不思議と私の胸の奥は熱く、熱く。同時に滞ったものがスコンと突き抜けていったような爽やかな心地もした。


 END.






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