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季節外れのヘアピンと(歳の差男女。年上×年下。どちらも成人済)
週の初め。晩ご飯も済ませて、二人並んでソファーに座り、それぞれ本を読んでいたときのこと。
「あー。前髪切りてぇ。気になり出したら、めっちゃ気が散る」
週末が遠い……と、嘉助さんが項垂れた。
癖っ毛の嘉助さんは、伸びると髪がくりくりふわふわ広がって、とてもお可愛らしい。
撫でても気持ち好くて、私は密かに気に入っているのだけれども。
本人がそれを不便に感じるなら、どうにかした方がいいのは確か。
……そうだ。
「でしたら」
私は、キャビネットから自分の使うピンをいくつか取り出した。
「これで如何でしょう?」
嘉助さんに断りを入れ、それらを使って前髪を留めてみる。
「おひいさんのピン留め? いいの?」
「もちろん」
男の方が使うには、少々可愛らし過ぎたかも知れない。が。
「ありがと」
にこっ、と笑う彼の笑顔が露になる。その笑顔を飾る、コウモリとかぼちゃのヘアピン。
季節外れであることも含めて、なんとお可愛らしい……!
きゅんっと胸が高鳴った。
「……散髪の予定、さらに一週間延ばしませんか?」
あまりの愛らしさに、そんな提案をしてしまった。
「そーれはちょっと」
仕事中はピン出来ないからねぇ、と困った風に眉を寄せ微笑む顔も、また素敵で。
私は無言で嘉助さんに寄り添った。
END.




