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望外の喜び(歳の差百合。年上×年下。どちらも成人済。お泊まり)
日曜日の夜。
「あの、桐子さん。明日、桐子さんの使ってる香水をちょっと使ってもいいですか?」
お風呂上がりの芽瑠ちゃんが、上目遣いで聞いてきた。まだ毛先が濡れてたので、肩にかけたままだったタオルで拭いてあげる。
「いいけど……。芽瑠ちゃん、そのまま大学でしょ? いつもの私のだと、ちょっと感じ変わっちゃわない?」
もっと芽瑠ちゃんに合いそうなのも持ってるよ? とケースの中身を思い出しながら言った。
「いえ。あの」
ふいに目を伏せた彼女の耳の端が朱く染まる。
「明日、気合の要る発表があって……。桐子さんを傍に感じたいんです。駄目ですか?」
気合が要る発表。
つまり、大事な勝負時。
大事な時に私を傍に感じたい。
私を、感じたい。
恋人のそんなお願いに、喜ばぬ人間はいるか、否!
私は、思わず胸を押さえた。
「桐子さん!?」
「望外の喜びです」
「!?」
私の恋人が、こんなにも可愛い。
END.
発表の準備は先週の金曜日までに死に物狂いで済ませた芽瑠ちゃんです(土曜日からお泊まりだった)




