今更冗談とは言えない本気度で(同棲百合)
今日も今日とて爽やかな朝。晴れてるし、風は気持ちいいし、最高の洗濯日和だね、と思っていたら。
「ぅはよ」
「櫻子、おはよー……って、うわっ」
「人の顔見て『うわ』は無いだろ」
「だってすげぇ顔してるんだもん」
険しく寄せられた眉に、据わった目。への字に曲がった口。
愛しい恋人と言えど、ちょーっと怖い、暗雲立ち込めるお顔だ。
そんなお顔も好きだけどね!
「小牧ちゃんが怖がっちゃうよ。ちょっとは緩めて緩めて」
小牧ちゃんは、彼女の姪で、現在小学五年生。一緒に暮らしている。大人しい子だけど、芯の強い可愛い子だ。だから、実際怖がることは無いだろうけど、やっぱり、朝から見る大人の機嫌が良いに越したことはないからね。
「今日の仕事は最悪なんだよ……」
地を這うような声に滲み出ている『くそ面倒くせぇ』の感情。……うーん。これは朝から参ってるね。
じゃ、ここは一つ何か元気の出る冗談でも言いますか!
「大丈夫? おっぱい揉む?」
「……は?」
「なーんて、これは昔す」
「いいんだな?」
「え」
「揉んで、いいんだな?」
「え、えーっと、今はちょっと」
「帰ったら、揉む」
「揉むの?」
「揉み倒す」
真顔で宣言され、思わず深く頷いた。
途端、彼女の顔から暗雲が去り、静かな闘志が瞳に宿る。
「……よし」
そんな気合の一声と共に、櫻子は意気揚々と台所へと向かい、代わりに私が崩れ落ちた。
……どうしようかなあ、これ。
せめて週末まで延ばせないか、言い訳を考える。
END.




