答え合わせは、まだ(百合。自覚…? 僕っ娘先輩×私っ娘後輩。有田×白山。高校時代)
寮の自室。晩ご飯も入浴も済ませた、のんびり時間。
後輩の白山が、漫画を読みに来た。
最近、彼女はよく部屋に来てくれる。
僕が「読みに来れば?」と誘ったのが切欠だ。何だっけ。そう。結構長く連載している漫画が気になってるけど、レンタルするのも買うのも難しいという話になって。その漫画なら、持ってるから読みにおいで、と誘ったのだ。
そこから、何となく習慣になった。
白山が遊びに来ているとき、僕は何をしているかというと色々だ。同じように漫画を読んだり、あるいは、ゲームをしたり動画を流したり。真面目に宿題をすることもある。
畳張りの部屋。時に寝転んで、時に長方形の卓袱台で向かい合って。お互い好きに過ごす。それは、とても居心地の好い時間だった。
今日も今日とて、彼女が捲る紙の音を聞きながら、僕は原稿の校正に勤しんでいた。文芸部部員の鑑。
「……ハク?」
「………………」
しかししばらくして、紙を捲る音がしないことに気が付いた。
画面から顔を上げると、白山が居ない。
机の向こう側を覗き込めば、漫画を片手に眠りこけている彼女が居た。
「ありゃま」
すやすやと寝ている白山は、いつもよりも稚く見える。
可愛い、と思わず頬が緩んだ。
それと同時に、得意げな気持ちにもなる。
何というか、そう。懐かない猫が、自分だけに懐いたみたいな感慨。
「いいねぇ」
小声で呟く。
このまま彼女が、自分だけに無防備な姿を見せてくれれば。そうであれば、どれだけ。どれだけ嬉しいだろう。
そんな感想が頭を過ぎって。
「え?」
僕は、目をぱちくりと瞬かせた。
何だ、今の。何、今の感想。
僕の脳から出て来た? マジで?
でも、そうだよな。この部屋には、僕と白山しか居ないもんな。
だったら、まあ、そうだ。僕の気持ちなんだ。
「…………まさかこれって」
浮かんだ答えに、一度首を振る。
いやいや。
独占欲が活躍する場は、何も恋愛だけじゃない。
友愛でも家族愛でも、活躍する奴なのだ。
ここは、一度保留しよう。
ゆるゆると、のんびりと。
探っていこうじゃないの。
だってこんなに、白山が可愛く思えるんだ。
END.




