36/86
『私』が出て来ても(百合。片想い)
「今度、古書のイベントがあるのだけど……一緒にどうですか?」
彼女の好きな女を模して、余裕ぶってお誘いする。心臓? 実際はバックバクだ。
「い、行きます!」
彼女は、真っ赤な顔で承諾してくれる。
眼まで潤んで、本当に可愛い。
「ふふっ、良かった」
当然みたいに微笑んでみせるけど、本当は心からホッとしていた。
「それで……」
「?」
「イベント会場の近くに、パフェの美味しい店があるのだけれど……」
「!」
またも心音は大きく早く鳴っていく。
だって『パフェを食べたい』は、私の欲望だから。
いや、古書のイベントに行きたいも私の望みだけど、でもまだ『あの女』も好きそうなのだ。
しかし、甘いものは……どうなのだろう。
イメージとして、合っているのか。不安でたまらない。
そっと彼女の様子を窺う。
彼女の顔が……ふわっと綻んだ。
「喜んで! 一緒に行きましょう!」
私はホッとして、「嬉しい」と言った。
その声に、喜びが滲み過ぎてやしないか、少し、心配になった。
END.
『これは、ギャップ萌えに入るのか』(https://ncode.syosetu.com/n9047lt/31/)の『あの女』を模している女の子の心中。




