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笑ってよ、私の為に(歳の差百合。年上×年下。どちらも成人済)
「ふっ、ふふっ、そんな、ふふふふふっ」
「いやあ、人の目が無くなるまで、ずっとそこに猫が居る振りしてたよね。やめるにやめれなかったわ」
「ふふふ、ごめんなさ、ふふっ」
芽瑠ちゃんが、口を押えて、一生懸命笑いを堪えようとする。
目端が朱く染まり、何とも愛らしい。
「桐子さんが大変だったのは、わかって、るんです、けど……」
笑ったら悪いとわかっているのに、止められない。
そんな感じなのだろう。
困った風に眉を寄せて笑っている。
「いいよぉ。私も得してるから」
それを見て、私も思わず笑っちゃう。
「?」
「芽瑠ちゃんのね、笑いを堪えようとして堪え切れてない、ちょっと苦しそうな笑い声、好きなんだよね」
「!」
恥ずかしそうに目を伏せる芽瑠ちゃんに、「ね」と話しかけ、その頬を柔らかくつっついた。
「笑ってよ」
私のために。
可愛い年下の恋人が笑い出すように、もう一度私は「ねこ」と言ってみた。
くふっ、と噴き出す声がする。
END.




