欲求を満たす(百合。同棲中)
ずるるっずるっずるるるっ
ずぞぞぞぞ、ずずーっ
熱々の湯気。薫る柚子。醤油の香ばしさと麺のつるつるした食感。
二人並んで黙々と食べるラーメン、その美味さたるや。
「「っはー……!」」
ほぼ同時に食べ終わり、何となく無言のうちに席を立つ。
「ありかとうございました」
「美味しかったです!」
お会計の後に、しっかり感想を言う彼女が好きだ。私も倣って「美味しかったです」と言う。……彼女に比べれば、小声だけども。
店の外に出た途端、冬の夜風が襲ってくる。
しかし、すっかり温まった身体には、程よい冷たさで心地好い。
「いやぁ良かったですね」
「うん」
満足げに笑う彼女に、私はにっこり笑いかけた。
「気持ちのいい食べっぷりだった」
「……私?」
「うん。好きだなって思いながら見てた」
彼女が、お店の話してたのにと言いながら照れ臭そうに下を向く。可愛い。その気持ちのままに彼女の手を取った。
彼女は黙って握り返してくれた。
「今日は、このあとどうしようか」
「どうしましょうか?」
「もうぐーすか寝ちゃう?」
「そうですねぇ」
「それとも、別の意味で寝る?」
「……どっちにしろ、三大欲求ですね」
彼女の染まった頬を見つめながら、
「あなたと満たすなら、どっちの欲求でもいいわ」
私は言った。どちらかと言えば、別の意味の方が優勢なのだけど。
「どちらにせよ、早く帰りましょうか」
「ええ、帰りましょう」
私たちの家へ。
帰ったあと、どの欲が優先されるかはわからないけれど。
どちらでも、きっと私は満足してしまうのだ。
END.




