もう君に任せない(同棲百合。充希×清風)
近所のスーパー。
レジかごバッグの中身を確認し、少々配置換えをしてから、袋の口を閉じる。
そうしていざ持ち上げようとしたとき。
「清風、私が持つ」
後ろから伸びて来た手が、バッグを取った。
会計を済ませた(店員さんの手でバーコードを通した後、セルフレジで会計するタイプのレジだったので、私は先にサッカー台で整理をしていた)充希だ。
「別にこれくらい持ちますよ?」
「駄目だ。肩を痛めてるんだから、安静にしないと」
「……優しくされて嬉しい気持ちと、四十肩を突き付けられて苦しい気持ちがせめぎ合いますね……」
思わず押さえた肩は、いまだズキズキと痛む。
昨日、病院で『肩関節周囲炎、所謂四十肩ですね』と診断された胸の痛みもまだ残っている。
……別に、四十肩は付け加えなくて良かったのに、と思わなくもない。
「三十代でも四十肩になる人はなるから。今は無理しないのが一番。あとは再発防止を心がけること」
「はい……」
昨日と同じ慰めに、私はしおしおと頷いた。
「そのためにも月一と言わず、もっと清風の身体をケアしていくから、そのつもりで」
だが、きっぱりと言われたその一言には、
「そ、それは流石に」
と反論する。整体師という身体のプロの手を、休むべき自宅で使わせたくはなかった。
それにこちらは常々、彼女に甘え過ぎないよう気を付けているのだ。
しかし、そんな私の考えを見透かしたかのように、充希はにっこりと笑って言った。
「清風に任せていたら、どうしたってケアをサボりがちになることがわかった」
「……返す言葉もございません」
確かに、言われたストレッチを何度もサボって今の状態がある。
本当に返す言葉が無かった。
「諦めてくれ」
「はい……」
手を繋がれ、もう一度顔を覗き込むようにして笑い掛けられる。
年貢の納め時、という言葉が、思わず脳裏に過ぎってしまった。
……もちろん、全然嫌では無く。
ただ、彼女の愛に甘えてそのまま溺れてしまわないか、それだけが心配だった。
END.




