↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
265/268

もう君に任せない(同棲百合。充希×清風)

 近所のスーパー。

 レジかごバッグの中身を確認し、少々配置換えをしてから、袋の口を閉じる。

 そうしていざ持ち上げようとしたとき。

「清風《きよか》、私が持つ」

 後ろから伸びて来た手が、バッグを取った。

 会計を済ませた(店員さんの手でバーコードを通した後、セルフレジで会計するタイプのレジだったので、私は先にサッカー台で整理をしていた)充希《みつき》だ。

「別にこれくらい持ちますよ?」

「駄目だ。肩を痛めてるんだから、安静にしないと」

「……優しくされて嬉しい気持ちと、四十肩を突き付けられて苦しい気持ちがせめぎ合いますね……」

 思わず押さえた肩は、いまだズキズキと痛む。

 昨日、病院で『肩関節周囲炎、所謂《いわゆる》四十肩ですね』と診断された胸の痛みもまだ残っている。

 ……別に、四十肩は付け加えなくて良かったのに、と思わなくもない。

「三十代でも四十肩になる人はなるから。今は無理しないのが一番。あとは再発防止を心がけること」

「はい……」

 昨日と同じ慰めに、私はしおしおと頷いた。

「そのためにも月一と言わず、もっと清風の身体をケアしていくから、そのつもりで」

 だが、きっぱりと言われたその一言には、

「そ、それは流石に」

 と反論する。整体師という身体のプロの手を、休むべき自宅で使わせたくはなかった。

 それにこちらは常々、彼女に甘え過ぎないよう気を付けているのだ。

 しかし、そんな私の考えを見透かしたかのように、充希はにっこりと笑って言った。

「清風に任せていたら、どうしたってケアをサボりがちになることがわかった」

「……返す言葉もございません」

 確かに、言われたストレッチを何度もサボって今の状態がある。

 本当に返す言葉が無かった。

「諦めてくれ」

「はい……」

 手を繋がれ、もう一度顔を覗き込むようにして笑い掛けられる。

 年貢の納め時、という言葉が、思わず脳裏に過ぎってしまった。

 ……もちろん、全然嫌では無く。

 ただ、彼女の愛に甘えてそのまま溺れてしまわないか、それだけが心配だった。


 END.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。