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百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


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これは君だけにする仕種(百合。真顔系クール女子×ダイナマイトマッスル高身長女子。大社×伽羅)

 この二人のお話は、こちら(https://ncode.syosetu.com/n1682mt/)にまとめています。よろしければ。

 今日のデートは、あまり行ったことのない商店街に足を運んでみた。

 人通りが多い上に、普通に自転車も往来している賑やかなところだ。

 店先には気の早いクリスマスグッズが並び、目にも楽しい。

 いつものデートコースも悪くないが、たまにこうして馴染みのない場所へ行くのも、やはり面白い。

 隣を歩く伽羅《きゃら》は明らかにはしゃいでいるし、自分も割とテンションが上がっていた。

 きっと、顔には出てないだろうけど。

 伽羅には伝わっているだろうから、構わない。

「それで、そのときフォロワーさんがさ……」

 身振り手振りを加えて楽しげに彼女が話している最中。

 後ろからチリンチリンという音がした。

「あ、おい」

 伽羅は、話に夢中で気が付いていない様子だ。

 仕方ないので、彼女の腰を抱き、ぐいっと引き寄せた。

 そこへちょうど自転車が、シャーッと通り過ぎる。

 ……思ったより早い速度で、ひやりとする。

 この人混みで、やりおる。いやでも、周りの人は普通に避けているし、ここではこれくらいが普通なのかも知れない。

「ったく、危ないな。……大丈夫か? って」

 ふと見上げた伽羅の顔が、朱かった。

 困ったように下げた眉と、むずむずと動く唇。……照れているときの表情だ。

「顔、朱いけど」

「真顔で腰抱かれて、勢いよく引き寄せられたらね。そらね、ドキドキしまさぁね」

 お茶らけた口調だが、両手で顔を覆っているところを見るに、本当に彼女の心に何かしら刺さったものらしい。思わず、口元が緩んだ。

「本当なにあのスパダリ仕種! 他の女《ヒト》にはやらないでよ」

 だが、次の一言はいただけない。

「身長的に腰が抱きやすいだけだっつの。誰彼構わずやるようなセクハラしねぇわ」

 失礼な奴め。

(まあでも)

 伽羅が「何だよぉ、私には公共の場でセクハラしていいってのかよぉ。いや、安全のためだから全然構わないんだけどぉ」などとぶつぶつ呟いているのを聞きながら。

(ときめかれるのは、やっぱり悪くないな)

 そんなことを、こっそりと思った。

「はいはい。前見て歩こうね~」

「てか、いつまで腰抱いてんの」

「んー? このへんチャリ多いから、もうしばらくね」

「……いいんだけど、全然」

 お前だけだからいいだろ、と言えば、えっち、と罵られる。

 しかし、そう言う彼女自身が満更でもない顔をしていて、こちらも悪くない気持ちになった。

 今日のデートも、とても楽しい。


 END.




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