勝者インタビュー(勝ち取ったものは?)(百合。先輩と後輩)
競技が終わればそれで終わり、と思っていたが。
そうではないのが、うちの学校だ。
『さて! 借りもの競争で一位になった人たちにインタビューです!』
競技にもよるけれど、放送部の勝者インタビューがある。
……借りもの競争なんて基本ネタ枠なんだから、そりゃインタビューするよなぁ、と私は諦観状態でインタビューを受けていた。
照り付ける太陽に、砂埃。観衆の眼。
さっさと自分の席に帰りたい。
『まずはやはり! ゴール直前でこけたものの、『借りもの』さんに抱えられてゴールイン! な、こちらのお二人にインタビューです』
明るい笑顔を浮かべる放送部員は、楽しそうに彼女にマイクを向けた。
『一位おめでとうございます!』
「ありがとうございますー!」
『いやあ、最後はひやひやしましたね』
そう。ゴール直前で、この子はずっこけた。二位の子が迫っていたから(ちなみに、恐らく借りものはしゃもじ)、私は後先考えずに彼女を抱き起こし、あと三歩のゴールへ駆け込んだのだ。
「もう駄目かなーと思ったんですけど、先輩に助けられました!」
『素敵な先輩ですね!』
「はい!」
にこっとこちらを見上げる後輩に、私は視線を逸らす。
が、マイクは容赦なく私に向けられた。
『先輩は、何故後輩さんを抱えてまでゴールを?』
「……この子が」
放送部員のきらきらした眼差し……またの名を期待の圧力に屈し、致し方なく口を開く。
「どうしても勝ちたいって言ったから」
そう言って、私を借り出した。
なら、勝つしかないだろうと単純に思っただけだ。
だから。
『おおー! 素敵な理由です!』
「えへへへ……」
盛り上がるのは止めて欲しい。
私は、手持無沙汰な左手で頭を掻いた。ちなみに、右手は彼女を支えている。
だって、彼女はまだ膝から血を流している。……支えないと、ちょっと不安なのだ。
『ところで、お題は何でしたか?』
「好きな人、です!」
堂々と彼女が答え、私は咳払いした。
……同じ部ですからね、とでも言っておくかと思ったのに。
「先輩はこんな風にとっても素敵な人なので! だから」
彼女は言葉を止めず、
「誰かに盗られたくなくて! この人は、私の」
何故か私にギュッと抱き着いた。
「好きな人、です!!」
おおおおおおー!!
インタビュアーと、観衆が湧く。
「……勘弁して」
私は、左手で顔を覆った。
……嫌じゃないのが、困りものだった。
END.




