黄色と青と、貴女と(百合。真面目×自由人。馨×ミイ)
洗い物を終え、リビングに戻ると、ミイさんが何か本を熱心に見つめていた。
「ミイさん、何を見てるんですか?」
「ん? 去年行ったゴッホ展のやつ」
彼女が、表紙を見えるように立ててくれた。深い夜色の、分厚い画集。
「ああ……。素晴らしかったですよね」
覗き込めば、そこにはちょうど展示の目玉であった『夜のカフェテラス』の世界が広がっていた。
「うん。ふと思い出して、見たくなったの」
澄んだ夜の青。瞬く星。カフェテラスから漏れ出る黄色の明かりは、賑やかさと温かさを感じる。
美しい青と黄色のコントラストに、改めて魅入った。
本物を間近で見たときの記憶も蘇る。
力強い筆致に感動し「すごいですね」と横を見たら、ミイさんは、きらきらと目を輝かせて絵を見つめていて。
……綺麗な青と黄色の世界と、眩しい瞳を、ほぼ同時に見ることが出来た。
「……ゴッホ氏には感謝しないといけません」
「素晴らしい作品を描いてくれて?」
「ええ」
「それなら、テオくんとヨーにも感謝だよ。がんばってフィンセント・ファン・ゴッホの絵を残してくれたんだから」
「本当にそうですね」
心の中で、フィンセント氏とテオ氏、ヨー氏に深く感謝を捧げる。
純粋に作品だけを楽しんでいるわけではないので、謝罪も添えて。
力強く美しい彼の絵を見つめる彼女の瞳は、相変わらず眩しく輝いていた。
END.




