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百花繚乱~一日一作短編集~  作者: 飛鳥井 作太


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それはいつか私が好きだと言った花(百合。真面目×自由人。馨×ミイ)

 一緒にまちを歩いているとき。

 あの人が、こちらを振り返る瞬間が一等好きだ。

 例えば、今。

「!」

 ミイさんが何かを見付けて、そちらへ向かってサッと歩き出した。

 私は、その後ろをいそいそと追いかける。

 気になったものへと一直線に向かうその後ろ姿は、美しい。ずっと見ていたいくらい。

 けれど。

「馨くん!」

 ミイさんが、振り返って私を呼ぶ。

 ……こうして何かに夢中になっているときでも私のことを思い出して、声をかけてくれる。

 その尊い一瞬を、私は本当に心から。

「はい、ミイさん」

 愛している。

「あっち。たぶん金木犀ある」

 ミイさんの隣に追い付いた。こちらを見上げる眼が、楽しそうに弧を描いている。

「そういえば、さっきから甘い香りがしてますね」

「見付けに行こう」

 彼女の手が、自然に私の手を取った。

「喜んで」

 私も微笑み、その手をギュッと握り返す。

 二人の足が、楽しげに揃って一歩踏み出された。


 END.


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